2015年03月06日

# 331 BeBu [虎ノ門]




 2010年に出した自著『ザ・バーガーマップ首都圏版』に、東京・竹芝のホテル「インターコンチネンタル 東京ベイ」にあったダイニングバー「C4U(シーフォーユー)」のことが載っている。

 いま思い返してもなかなかユニークな良い店で、淡路牛100%パティはグラムが8段階から、バンズは5種類から、サイドディッシュは4種類から、その他トッピングを好きにカスタマイズできるという実に斬新で、先取的な店だったのが、昨年『首都圏版』改訂の話が持ち上がった頃には、既に惜しくも閉店してしまっていた。

●ホテルのバーガー

 そこで『ザ・バーガーマップ東京』の制作に当たり、「C4U」に代わる新たな「ホテルのハンバーガー」を探したのだが、これがなかなか難しい……。


 名だたるホテルでハンバーガーを頼めば、サ税込み3,000〜4,000円はかかる。おいしい。が、その額相応においしいかと言うと、いや、それより安くてもっとおいしいバーガーが食べられる店を、私はいくらも知っているのだ。

 『バーガーマップ』という本自体、そんな選りすぐりの名店ばかりを集めたガイド本である。読者からすれば、1個3,000円のバーガーが載っていたなら、当然その金額にふさわしい、他の店以上の「逸品」を期待することだろう。が、そこまでのバーガーを見つけ出すことはついに出来なかった。だからホテルの掲載は諦めた――。

§ §

 この店の噂が伝わってきたのは2014年5月末に『ザ・バーガーマップ東京』を出した後のことである。噂の出所・内容からして「これは期待できる」と思った。食べてみたところ……おいしい。ココはおいしい! 2014年我が最大の収穫のひとつがこの店――BeBu(ビブ)である。

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2014年02月06日

# 321 THE OAK DOOR [六本木]




 さて、「ステーキハウスのハンバーガー」というヤツである。「おいしくあって欲しい」と思っている。目玉の飛び出るようなおいしいヤツに「いつか出合いたい」と私は思っている――。

 ついにこの日は六本木ヒルズのホテル「グランドハイアット東京」6FにあるステーキハウスTHE OAK DOOR(オークドア)を訪ねた。

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2007年06月01日

# 176 インターコンチネンタル 東京ベイ [竹芝]


インターコンチネンタル 東京ベイ
DINING BAR C4U


くちびるにミステリー、特集――"海にハンバーガー"


●今、最もバーガーに力を入れているホテル

 「新御三家」だなんて、そんなこと言ってるうちに時は2007年。でも「2007年問題」も今回全てスルーして、「今これだけハンバーガーに力を入れているホテルは、ココをおいて他にないでしょう」ト、言ッテルノハ私デスヨ……じゃなくてコレ、とある事情通の御言葉。

 そんな次第でウォーターフロント、竹芝へ。オーシャンビューです――C4Uですから。この手の当て字を見ると、プリンス……まぁいいや。


●C4U

 オープンして1年半ほど。ホテルは'95年の開業。入ると妙に広いエントランスホールがあり、それと直角に「I」の字を象った、青く自発光するバーテーブルとオープンキッチン。パティはこのよく見える位置でジュージューいわせて焼いている。

 オープンキッチンに対し、さらに直角にホールが続いて、窓の外には日の出桟橋、その奥にレインボーブリッジという陣容。なぜこんな不規則な間取りをしているかといえば、長方形の面積の中にフィットネスクラブ「B・Five」を内包しているからである。こんな肉汁滴る空間を前に果たしてフィットネスになるのか……まぁ、見なかったことにするんだろうネェ。あるいはバーガー頬張ることを夢見て頑張るか。それにしても……ん? 「B・Five」に? 「C4U」か……ヨシッ! わかった! (ト、手を打つ)


 店内下半分はカリフォルニア的落ち着きあるダイナー、上半分はギラッと派手なフレームの液晶モニターが計7面、常時異なるチャンネルをピカピカ映し出して賑やか――こういう所で観たアニメって頭にこびりつくんだよネ。

 一段上がってダークブルーのラウンドシートが3つ。背後の壁には鮮やかなオレンジ色の幕が引かれ、その壁一枚挟んだ向こうがフィットネスクラブ。どの席も海を"ハス"に見やる感じのオーシャンビュー。"海際"特有の、ガランと虚無な空気を微かに漂わせている。


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2007年01月07日

# 159 パーク ハイアット 東京 [新宿]

パーク ハイアット 東京
ジランドール



●空中散歩

 新春恒例、元日のホテルでハンバーガー今年も年始の挨拶を滞りなく終え、向かうは新御三家(最早死語? でも「ホテル 新御三家」で検索して4,140件がヒット――YAHOO!調べ)の一つ、パークハイアット東京。ちょちょいと新宿まで。

 いや〜新年早々、胸の透くような眺めなのである! 特に41階、左右に書架の配された通路の続くその先は――なのですよ!! しかも正月一日、穏やかな午後の日の、白くパーッと輝くさわやかな冬の青空――52階のニューヨークグリルもそうですが、何と言うか――空中散歩? しかもただの「ハイ! 高い高〜い!」ではなくて、三方を囲むはグッとオトナでエレガントなこのインテリアですよ! 通路脇に置かれたソファの一角を占めて、地上41階のこの眺望を背にの〜んびりおしゃべりして過ごすのなんて、実にモォ素敵です! きわめてアーバンリラクゼーション! これぞ極上のひととき!!

 前にも書きましたが、こんな冬の日の空中散歩にはジャコ・パストリアスの“3 Views of A Secret”がオススメ。ラヴ・アンリミテッド・オーケストラの「愛のテーマ」でもフィフス・ディメンションの“Up, Up & Away”でもイイ。ランディ・クロフォードの“One Day I'll Fly Away”もイイ。とにかくオトナに優雅にジェットストリーム系で。

●バーンズ

 ジランドールは41階。「天井までの高い壁を埋め尽くした144枚のモノクロ写真」とはつまり、ブルーノート東京のエントランスのような感じでして、写真は仏の写真家ベラ・マーサー女史の作。その高天井の下、ダークオレンジのフロアの上に白いクロスを掛けたテーブルが整然と並ぶオープンな空間は、朝は7時から夜11時まで、まさにコンビニエントな使い勝手を誇る、文字通りのオールデイダイニング

 アラカルトのセサミバーンズのビーフチーズバーガー¥1,700(サ別)、英語表記には"grilled beef burger with cheddar cheese"と「セサミ」とは一言も出て来ないのだけど、それよりなぜ「バーンズ」と伸ばすのか? いや、そんなことより「バーンズ」と聴いて「アルヴァマー序曲」が思い浮かんだ人! 手を挙げなさい。

 そのタイトルどおり、バンズは上から下まで白ゴマがいっぱい。香ばしさと言うより、プチプチ・つぶつぶとした軽快な食感を終始発揮していて、「乗せ物」以上の存在感あり、美味。生地はてっぺんを押さえるとクーッと沈んで、またフクフクと戻るやわらかさ。弾力でなく、クッションみたいな感じ? 裏はサックリ焼いてある。口にすると舌の上に乗っかる瞬間に上品な甘〜い味がフッとするんだよねぇ。

 中はチェダーチーズが2枚、パティを挟むように上下にあり、さらに下に薄味のピクルス3、4枚、レッドオニ、鮮烈な赤を誇るトマト×2、レタス、下バンにバター。

●パティが絶品

 どこかなぁロースかなぁ。疑いなくステーキにして食べるような部位。この脂の具合、熟成の具合、旨味、やわらかさ、焼き加減――どれをとっても非の打ち所なし。とにかく滋味! 滋味! 黒胡椒以外、ソースや調味料は特にかかっていないのだけれど、本当に肉の味だけでじ〜っくりとバーガー1個いけててしまう旨さ。

 ピクルスの、控え目にしんみりと塩味を効かせた名脇役ぶり。辛さを抜いたレッドオニオンの適度な刺激。ただトマトは彩り鮮やかなれど、ややグズッとやわらか過ぎてすぐ崩れてしまい、隊形の維持という点ではマイナス。でもそのグズグズと崩れる感じが結果的にノド越しを良いものにして、バーガー全体がスーッとノドの奥に落ちてゆくのにプラスに作用していた。付け合せは、一般的なシューストリングカットのフレンチフライに、フレッシュトマトのイタリアンバジルソース。お供にカフェオレ¥950。食後のお代わりにはクッキー付き。ちょっぴりジンジャーが入っていて、後口良好!



 市井のように袋など付いてきません。最近ホテルでワザと手を汚しながら食べるのが、一種快感のようになってきている私――スヌーピーでいうピッグペン的心理。なにぶん水分過多のため、例によっての政権崩壊。と言うか、あまりに無防備な気がする――水分に対して。あらかじめレモンを浮かべたフィンガーボウルが用意されてはいるのだが、でもそんなもんで収まるベトベトさではありません。後半はノコギリ刃のナイフとフォークが助さん格さん。でも崩して食べてもおいしいものはおいしいワ。コレはコレという解釈で。

 食後、オニオンやピクルスの抑えた刺激はキレイに消えて、見事に肉の余韻だけが後口に残る。ちょっと残り過ぎな気もするが、このたまらぬ旨みはさすが場所柄、また食べたくさせる魅惑のお味。BGMはいまどきなジャズヴォーカルが、ときにスタイリッシュに、ときにエキゾティックに。

§ §

 「世界で10番目、アジア地域では初めての「パーク ハイアット」ホテルとして、1994年7月西新宿に開業」して、以来13年。特に今年は、東京を中心に外資系ホテルが大挙進出する「2007年問題」として、その激戦が予想される年ではあるけれど、しかし外資系ラグジュアリホテルの先駆的存在として、さすがその佇まいには唸らせられるものがあります。ちなみに――ホテル名の由来が「新宿中央公園の隣にあるからパークハイアット」だと思っていた私は、新年早々相当なお粗末クンで御座います。そんなマツ飾りにもなりませんナ!

 本年もどうぞ宜しく――。


2007.1.7 Y.M

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2006年05月04日

# 127 パレスホテル [大手町]


パレスホテル
カフェ・レストラン Humming



 東京都千代田区丸の内1-1-1、丸の内は此処パレスホテルから始まる。開業1961年10月。こちらのパンもなかなか美味しくて、中でもコーンミールを使ったコーンブレッド\567は、とうもろこしのほんのりした甘さが特長の逸品。しかも余所では滅多にお目にかかれない。

 ハンバーガーを置いている店は地下。風薫る5月、1Fの"お濠と白鳥を眺めながら優雅なひとときを"テラスレストラン スワンなら、初夏の日差しが注ぐ明るいテラス席でゆ〜ったりと戴けるのだが、しかし肝心なハンバーガーが無いのだから仕方ない。渋々とB1Fのカフェ・レストラン ハミングへ。

 実物は歌うような字体なのだが、当然HTMLでは再現出来ない。まぁ正直申し上げて、外観も内装もファミレスとイイ勝負。パステルカラーのタイルカーペットに籐の椅子、2人用の白いテーブル無数にシンプルな白い壁。夜は4,000円のコースもあるが、基本は所謂洋食メニュー。美味しそうな写真を多用していて分かりやすく入りやすく、それこそファミリーで気軽に利用のできる安全かつ無難な選択といったポジション。

 但しサイトの文章がやや奇妙……「明るくさわやかな雰囲気で、軽いお食事をお楽しみください。また、世界のビール40余銘柄を取り揃えております」外光の一切入らぬ地下にあって、明るくさわやかもないだろう……とか、食事の軽い/重いを、そうはっきりと店の側で決められてもなぁ……とか、「また、」の使い方はそれでいいのか……とか、「取り揃えております」から何なのだ……とか。

 ハンバーガー サンドウィッチ\1,680、お供にカフェラテ\630。5月はハンバーグフェアなるを開催中だそうで、そんな流れできっと間違いのないものが出て来るだろうと半ば安心して座していると、まずカフェラテを隣のテーブルへ間違えて運び、次いで待望のハンバーガーは、厨房から一度姿を見せたかと思えば何かのミスに気付いてすぐ引っ込み、また登場、また引っ込んで再々登場の挙句、今度こそ直送されると思いきやコースを逸れて先輩スタッフのところへ行き、チェックしてもらってからようやくサーブされるという紆余曲折、波乱万丈の大サービス……あかんで、キミィ。

 付け合せはフレンチフライにパセリ。バンズの間に小ぶりなパティ。外にピクルス×2、シュレッドレッドオニオン、トマト。こんだけ。あまりに淋しい見た目だったので、今回少しコーディネートして撮影いたしました。他にケチャップ、マスタード、レリッシュの刻まれていた"ように思う"サルサソース。

 バンズはこれぞテーブルロールという光沢、ケシもゴマもナシ。裏バター。はっきりと、しかし上品な甘味があり、味のペースはこのバンズ。しかし下手な自己主張には走らない奥ゆかしさがある。パティはハンバーグ。ちょっとコゲあり。ナツメグの食べにくさはなく、野菜を挟んでいただくと案外と良い味に落ち着く。

 試みにケチャップとマスタードを付けてみたところ、これが……!!ホテルらしいまろやかなケチャップ、いやそれ以上にマスタードが味の引き立て役なのである。苦味よりも硬派な酸味の効いたマスタードはバーガーの味に幅を持たせ、深みを与えて、さらに食べやすくさせる――これぞまさに立役者。

 バンズとパティのみでも不思議なくらいまとまりは良いのだが、ケチャップとマスタードを加えればさらにマイルドなまとまりを見せる。ピクルスがまた歯応え良く、すっぱ辛いリズムを効かせる。\1,680はどうにも高いが、見た目よりは実のあるバーガー。カフェラテとの相性もなかなか。

§ §

 それにしても若きスタッフたちの動きはどうにもぎこちなくて、見ていてハラハラし通しだった。まさかコノ連休オンリーの短期バイトでもないだろうに(案外そうだったりして……)。サービス料が10%かかるワケだが、果たしてアノ寸劇以外、何をサービスしてくれたのかね?(ト言いながら、机の端を拳でコツコツと叩く)BGM――ほとんど聴こえないくらいにフルート曲が。

2006.5.4 Y.M

カフェレストラン ハミング カフェ / 大手町駅二重橋前駅東京駅
夜総合点★★★★ 4.0


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2006年01月02日

# 105 ウェスティンホテル東京 [恵比寿]

ウェスティンホテル東京
レストラン THE TERRACE


 >恵比寿ガーデンプレイス! 冬空のボサノヴァは寒いゾ〜!

 2006年正月1日、余りの寒さに人出も例年より少なく見受けられる渋谷を抜けて、暖と美味しいものを求めて恵比寿へ。

 閑散とした元日の町中で、正月休みでも確実に開いているお店を探すなら……ホテルなら間違いない。以前ココで何やらモゴモゴ言ってましたけど「帝国」「オークラ」「ニューオータニ」の"御三家"の次は"新御三家"を行ってみようと思う。

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2005年11月10日

# 099 ホテルオークラ [虎ノ門]

ホテルオークラ
DINING CAFE CAMELLIA



 またやってしまった。カメリアは別館だと何度も言い聞かせているのに、どうしても本館に入ってしまう。5階のメインロビーを1つ下り、連絡通路のじゅうたんの上を足を挫きそうになりながら歩いて、短いエスカレーターを上ると別館の1階に浮上する。カメリアは静かなラウンジスペースの奥にある。

 紅、ベージュ、チョコレート――暖色系でまとめたシンプルな椅子が並ぶモダンな空間で、老舗ホテルらしい「重古さ」はココには感じられない。ソファに着き、ハンバーガー フライドポテト添え¥2,300(大人1名、税サ別)とカフェラテ¥800(同左)を頼んだ。程なくしてまずコツと置かれたのはフィンガーボウル。底にほんの僅かばかり水を湛えるだけの上品さだ。BGM――無音。冷蔵ケースのサーモのような音が少し遠くで鳴っているだけ――静かなものだ。いや、何処かでフルートの音が流れていたような気もする。が、BGMと呼ぶに当たらないくらいの微量だった。客はまばら。むしろ9時を過ぎた頃に増え始めたろうか。今夜2度目のラッシュアワーかも知れない。サラダバー「大地の旬菜」が盛況な様だ。

 照明がすごく良い。天井を何本もの光の曲線が走り、グーッと大きく曲がっては他方から伸びてきたソレとぶつかり、何処へともなく走ってゆく。見渡すと、其処彼処に曲線が多い。この部屋は曲線で構成されている。少しデザインに丸みを与えるだけで、案外と安らぐものなのである。ふと手元に視線を落とせば、テーブルに敷かれた紙製のマットにも、そして運ばれたコーヒーカップにもソーサーにも、同様な曲線のデザインが施されていた。やがて白い四角い皿に乗ったハンバーガーが待望の姿を見せた。

 いい味だった。

 表面何も飾らないバンズはホテルらしい、気泡のやや粗いドライなもの。内側に塗られたバターで生地が黄色く見える。上品な辛さのレッドオニオンが、シャクシャクと常にリズムを刻んでいる。自然な甘さのトマト。細かく縮れたレタス。肉がまたものすごく上品である。柔らかい。キメ細かい。一切ザラつかない。しかし練りモノ的な歯応えの無さではない。一切任せたら本当に完璧な隙の無い焼き加減で出してきた。いつもの台詞「中はまだ赤味の残る……」がこれほど精緻に表現されたこともかつて無かっただろう。控え目ながら、でもしっかりと良い味を醸すパティ。

 半分食べ終えたところで、残り半分はケチャップを付けて食べることにした。するとこのケチャップが見事バーガーに甘味を添えて、さらに食べやすくなる。食べやすい、しかしスルスルと喉の奥に流れ込む感じとも違う、適度な抵抗がある。パティにもある。バンズにもある。簡単に消えては無くならない、"余韻"とでも呼ぶべきものがあって、後を引く。食べ終わる頃ようやく気付いたのだが、このバンズ、包み込むような丸ーい甘さを微かに、しかし確かに放っている。どこかでマスタードがピーンと効いている。上品な線の中に浮かび上がる、マスタードの刺激とバランスが絶妙である。付け合せはフレンチフライ、ハンバーガーの中身と同様なレタス、レッドオニオン、そしてまるでラッキョ様のホワイトアスパラの酢漬け。

§ §

 コーヒーカップを手に取り、苦味の利いたカフェラテを口にする。

 ホテルオークラは東京オリンピックに先駆け1962年に開業。俗に「御三家」などと呼ばれるが、その1つ「ホテルニューオータニ」も同様に五輪に向けた'63年の開業、唯一「帝国ホテル」だけが1890年(明治23年)で、先の「両家」とは刻まれた年輪の数が全く違う。並べて語られることソレ自体が至極不思議であり、不自然である――というくらいにコノ御三家は同列に並べ難い。

 帝国はしかも、時の外務大臣井上馨が渋沢栄一らに諮って創られたというのだから、まさに歴史の只中から生まれ落ちたホテルである。そしてこのとき、渋沢らと共に設立に携わった大倉喜八郎の長男喜七郎がのち、このホテルオークラを創始することになるのである。大正12年にフランク・ロイド・ライトの設計によって建てられた帝国の旧館が現在、明治村に移築・隠棲していることは有名だが、片やオークラの建物は小坂秀雄が外観の設計を担当。現代建築愛好家にはあまりに有名なこの複雑な構造の建築は、平成の今でも私の現在地を危うくさせて止まないのである。

2005.11.10 Y.M

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2005年03月20日

# 044 ホテルニューオータニ [紀尾井町]

ホテルニューオータニ
コーヒーショップ SATSUKI



 前回「TRADER VIC'S 」に行った際には、このカフェラウンジの存在をまだよく把握できていなかった。ニューオータニのザ・メイン(本館)ロビィ階、正面玄関を入ってすぐ右手にある。スイーツが人気。今風、シックなと言うか硬質なデザインに、日本食料理店に続く通路との仕切に使われる笹竹の緑がミスマッチなジャポニズム。奥の壁には大きな錦絵風の絵が描かれている――藤棚に菖蒲、ツツジ……あぁ、店の名"SATSUKI"をイメージした絵なのネ? 女性スタッフの花柄上下・ひざ上丈スカートの出で立ちにジェームズ・ボンド的強い時代錯誤を覚える。BGMはあまりに当たり障りなくジャズ。

 帝国よりも客層が国際色豊かで、柱越しにフランス人老夫婦(←推定。食後、二人でカビ臭〜い匂いを放つ葉巻を吸っていた)のディナーを見やりながら、私はハンバーガーをば。ビーフ100%バーガーwith Cheeseで¥2,205にアイスのカフェオレ¥840。もちろんイイお値段。

 実はココ、土曜夜の定番、TBS『チューボーですよ!』に、ハンバーガーの回の街の巨匠として登場したことがある――残る二人は本郷の「F」、横浜元町の「S」(現在休業中とか)。そんな期待も抱きつつ待つことしばし、現われたバーガーは……ん? なんだ?? 金色のフィルムに包まれている。

 純然たる飾りか……とも思ったのだが、しかし包んでいた方が何かと食べやすいので、このフィルムのまま持って食べる。違ってたらドーシヨ……でもバーガー食べてるのは自分だけなので、間違っていようがまるで分かりゃしない! 問題無し! 平たいバンズは特製全粒粉カイザーロール(←推定)。表面はライトグレーのケシの実だらけ。裏バター(基本)。で、その向こうにキャベツ?? が横になっている。

 挟むのか――と最初思ったが、上のバン(crown)の側にはレタスが既に居るし、どう見てもサンドするにはゴツ過ぎる。尋ねてみると「キャベツには脂肪を分解する効果がありまして……」とのことから付け合せにしていると。味付け一切ナシの生キャベツだが、噛むと甘い。他に付け合せはポテトとタテに2つに切ったガーキンス? コーニッション?

 バーガーに戻る。レタスとトマトの間にマヨネーズドレッシング。焼き目の縞模様が鮮やかなオニオンは焼き加減絶妙甘くてジューシー。チーズはチェダー、こいつはなかなかの存在感。ビーフ100%パティは挽肉ではない一片の肉をよく叩いて柔らかくしたモノで、ゆえにミンチとはまた違う、繊維質のしっかりとした噛み応え。

 「ベーカーバウンス」のパティを連想させる。軽く胡椒程度の落ち着いた味付けで、味の勢力図としてはレタ×トマ×オニの野菜トライアングルにやや押されているようにも思える。良い意味でむしろ野菜サンドと言って過言でない。しかしそれはみずみずしい感じではなく――きっとパティの肉感やカイザーロールの食感もあるだろう――やや潤いに欠ける印象。付け合せのキャベツも同様で、ウソでも霧吹きでシズルをつけるといった演出もなく、絵的に見て、皿全体からデザインは感じるが、しかし"食べ物"の生々しい迫力はない――といったところか。

 けっこう食べ応えがあり、最後は手で持つのに疲れて生まれて初めてハンバーガーにナイフとフォークを使った。帝国のバーガーと比べると若々しく、今様イヤ、下手するとウェンディーズ辺りよりもトレンドを感じられるバーガーかも知れない。

§ §

 ケチャップはデルモンテ、マスタードはFrenche's が瓶ごと出て来る――お気軽・カジュアルな線を意識してのことかも知れないが、しかし食器ひとつ見てもいまひとつ御三家的風格が感じられないのは残念。

 あと私のした質問に答えられないという失態を二度までもしてしまったのは大きい(キャベツの質問は除く)。1. チーズの種類は何? (食前)と2. パティはミンチじゃないんですネ……(食後)というのと。そんなに難しい質問? チーズの種類についてはこのトコ尋ねればどこでも即答だったモンだから、ついそんなノリで確認したんだけど……。

 おかげでパティに関してこれ以上詳しい情報を入手し損ねた、う〜む……。一応ピンでテレビで紹介されたメニューなんだからねぇ〜。なんとなく2,000円の元の取り方が解ってきはじめた今日この頃……。

2005.3.20 Y.M

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2005年03月06日

# 040 帝国ホテル [日比谷]


帝国ホテル
レストラン ユリーカ



 カリフォルニア・リゾートをイメージしたカジュアルなレストランユリーカのハンバーガーサンド……一度メニューから消えたのだが、無くなってみると要望が強く、この3月晴れて復帰……なる情報を聞きつけて行ってみたところ、まだない……となればダメ元で聞いてみる他ない。「ハンバーガー食べたいのですが、いただけます?」(ユリーカの)フロントの女性は即答OK!

 というワケでむしろメニューにないものをつくってもらう優越感に浸りながら。しかもココはコノ国を代表するホテルの中のホテル――なんという我儘!なんという贅沢!


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2005年01月16日

# 031 ロイヤルパークホテル [水天宮前]


 新企画は漢字タイトルを諦め離れ、"ホテル編"。1階ロビーにつらなるラウンジのバーガーに開拓の目を向けた次第。と言うか、たまたまホテルの1階を通りがかったときにハンバーガーがメニューにあることに気付き、ほぉ……と思ったのがそもそもの発端である。

 たかがハンバーガーごとき、なにもホテルで食べることはないだろう……との意見に私も賛成する――がしかしひょっとして?感が最もニオッテ来るのは案外この辺り。それに、中華料理やイタリアンでハンバーガーが出てくるシチュエーションよりは、ホテルで食べる方がナンボか自然だろう。

 だがご想像のとおりなにぶんお高い。片っ端から試してたのではさすがに身が持たぬ……によって、「1.この国を代表するホテルのバーガー」「2.パンが美味しいと定評のあるホテルのバーガー」、この辺りに絞り、かつタマ〜に――所謂「自分へのご褒美」程度の頻度でもって――臨むことにしたい。……とか言って毎日通ってたりして……


ロイヤルパークホテル 
コーヒーショップ シンフォニー



 第一弾は近場で。こちらの地下1階ロイヤルデリカで売られるパンには定評がある。


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