久々の肉弾編。「ステーキの店」などと聞くと、否が上にも期待は高まらざるを得ない。なにしろ肉の専門店である。専門店のつくるハンバーガーならきっと美味しいに違いない。
一口坂と言った方が適当な立地。店は一口坂にあるけれど、ステーキは一口ではない――ナンチャッテ……。定食メインのお手頃ステーキ店。肉っ気求めてのっそりやってきたサラリーマンが、黙々と貪り食らって独り静かに帰って行く、そんなお店。中央のカウンターを背の高い椅子が取り囲むさまは「さぁ飢えし者どもよ、がっつくがいい!」と言わんばかりの迫力を帯びている。このカウンター席がメイン、さほど大きな店ではない。ステンドグラス風ランプ、白黒タイルの市松模様、こげ茶を基調にした昭和懐古趣味的内装。要はペッパーランチに昭和レトロを振りかけた感じ? ※
しかしさすがはステーキ店、カウンターよりさらに一段高く「和牛サーロイン1g¥20」などと貼られたショーケースがいと誇らしげに客席を見下ろす。チーズバーガー¥1,100、サラダ・カップスープ付。焼き加減を選ぶことができる。いちげんさんルールに従いミディアム。サラダとスープは案外な食べ応えで肉の焼き上がりを待つには良い暇つぶし。
ココも上下パカッとオープンフェイススタイル。バンズの下にレタスどっさり――レタスというよりサンチュな盛り方だ。シュレッドオニオンはあまり味せず。トマトの下に水っぽくて独り味の浮いてるピクルスを挟み、次にとろけたチーズが2枚重ね。が、2枚でもなお味弱く――。そして本日の主役中の主役、パティ。黒胡椒で味付け。コノ黒胡椒はまるで計算し尽したかのような緻密な味をパティに添えて、柔らかく、クサミのない上質なパティをひたすらサポート。常に眼鏡の奥を光らせつ、パティのコンディションを冷静に管理しているかのような伴走ぶりである。が、その裏返しとして、このバーガーはガツンとしたパンチに欠けているように思う。
質だけ見れば今まで登場した中でも一、二を争うパティかも知れない。しかしそれがバーガー的インパクトに直結するかと言うと、それはまた別の話のようで……。もちろん美味しいには違いない。何もかけずに柔和な肉の旨味を楽しむべきパティ。穏やかな風味に満足したら、後半は調味料の応援を。バンズ裏面のカリカリは好い感じ。ただ下のバンズ(heel)は滴る肉汁とレタスの水分を受け止めるには直径が足りず、見るからに決壊寸前という感じだった。
ランチメニューでいうと「角切りステーキ130g」¥1,400「霜ふりステーキ150g」¥1,400「和風ハンバーグ150g」¥1,000 (以上サラダ・みそ汁・ライス付)、「ビーフペッパーライス」¥900 (サラダ・みそ汁付)――「ハンバーガー」¥950&「チーズバーガー」¥1,050は、価格的にはこの辺りと同価値というのがコノ店の判断。さぁ、あなたなら――? BGMはジャズ。向島・吾妻橋・両国などにもグループ店あり。
※追記:いやー全く調査が甘かった! コノ店の経営は株式会社ペッパーフードサービス――そう、かの「ペッパーランチ」の会社なのだ!!! さらに言えば'70年、向島に開業した「ステーキくに」こそがペッパーランチの原点となった店なのである……。てなワケで、ペッパーランチのヒットに乗じて今風に変えたステーキ屋……という私の見立てはもろくも費え去ったのであった。大変失礼致しました……。(2005.2.16)
2005.2.12 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 19:28
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ステーキハウス編
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