2006年04月06日

# 120 OATMAN DINER [埼玉・川越]



 都内はいつでも行ける――という思いが働くらしい。当企画ではどうもココ最近、ドーナツ化現象が進んでいる(ハンバーガーのページなのに……)。

 関東南部に住む者にとって、埼玉の風景はものめずらしいのである。どこまでも真ーっ平ら! こんな景色は神奈川県には無いのだ。佐藤春夫が「広い武蔵野が既にその南端になって尽きるところ、それが漸くに山国の地勢に入ろうとする変化――言わば山国からの微かな余情を湛えたエピロオグであり、やがて大きな野原への波打つプロロオグででもあるこれ等の小さな丘は、目のとどくかぎり、此処にも其処にも起伏して……」(『田園の憂鬱』)と描くところの地形が神奈川県である。

 東海道線の保土ヶ谷・戸塚辺りの風景を想像してくれたらよい。此処にも其処にもある起伏のてっぺんに、零れ落ちんばかりに家を建て、傾斜地を器用に使ってマンションを造って、小さな丘という丘は建物だらけ・ハコだらけ。自転車乗るにしたって平坦な道というものが無くってホント大変なんだから! それに引きかえ埼玉は、東武伊勢崎線に乗っても埼京線に乗っても見渡す限りの平野、また平野……。ヨダレが出るくらい羨ましく思っている神奈川県人は多分私一人ではあるまい。

 川越である。小江戸として有名だが、今回そっちまでは足を延ばしていない。街の規模としては八王子まではいかないか。町田くらいでつり合うかな? クレアモールという目抜き通りを歩き、筋を一本曲がる。この通り一本入った感覚というのには、少し吉祥寺テイストがあるような……と言ったら吉祥寺の人に怒られるかな? 住宅地の中にカフェやら洋服屋やらが入り込んでいるような状態。築云十年の老店舗をトタン板で囲ったガレッジな外観の(そういう意味ではココに似てる)その真横には、瓦葺・木造平屋建のこれまた古い住宅とその木塀とその庭木が並んで在って、この同居のスタイルというものには一種独特のサブカル的情緒を感じ……なくも無い……?

 店の隣がその民家であるため窓が大きくとれず、採光に乏しくて、昼でも少し暗めの店内。床・壁半分に木を使い、所々にサインボードなど貼って、それらをちょっと汚した感じのワイルド系(←語彙が無い……)。店内に唯一あるテレビではホワイトハウスもののTVドラマ。ライティングのキレイなドラマだったけど、何てタイトルだろ(……全く疎いもので)。お隣の席は中南米系と思われる男性2名(しかも2人してキャビンとセブンスターを吸っていた)、反対側の2人連れも、うち1名はきっと南方の血を引いているであろう面立ちで、偶然か国際色を豊かに感じる客の顔ぶれ。カウンターには酒瓶がワンサカ並んで夜はお酒の店である。BGM――最近のちょっと汚くて下手ウマなロックが有線で。

 チーズバーガー、サラダとポテトが付いて¥890(安い!)。ポテトはフレンチフライとマッシュポテトからチョイス。表面白ゴマのツヤツヤ、やや重めバンズ。裏にたっぷりマヨ、薄くチー、パティ、シュレレタと言うか千切りレタ、トマ、ちょっとピク、生オニ、マスタードたーっぷり、で下バン。多分焼いていないためだろう、バンズは皮が硬く張っていないものだからサクッと抵抗無くタテに裂けて、実に食べやすい。だからこそ千切りレタスと生オニオンのシャクシャクと、パティのふんわりとが活きてくる。やさしい噛み応えのパティはやや塩味だが、細かな粗さで食べ心地良好。黒胡椒が量のわりによく効き、チーズはどろ〜っとよく溶け、マスタードの辛味もよろしくて、わりと濃い味がしっかり付いたバーガー。バーガー的パンチがはっきり感じられて食べ応え十分! カレー風味の7種の春野菜&サワークリームバーガー¥1,040なんて創作バーガーにも意欲的。

§ §

 入り口のコンクリートに手形が5つ――きっとオープン当時押したものだろう。スタッフの決意と結束の証しである――イイね! 麗しいネ! アリゾナにある田舎町の名を冠したダイナーは小江戸・川越に今年で5周年!


Halloween'12 ◆ OATMAN DINER [埼玉・川越] のハッピーハロウィンバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のベーコンチーズバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] が10周年記念パーティー開催
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のベーコンチーズバーガー EXTRA アボカド、チリ
# OATMAN DINER [埼玉・川越]、避難所でハンバーガーを焼く(後編)
# OATMAN DINER [埼玉・川越]、避難所でハンバーガーを焼く(前編)
# OATMAN DINER [埼玉・川越] でも被災地への義援金募集
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のチーズバーガー
# ロコモコ ◆ vol.2 OATMAN DINER [埼玉・川越] のヘルシーミートローフのロコモコ丼
# OATMAN DINER [池袋] のオートマンバーガー......のバリエーション
# OATMAN DINER [池袋] の夏野菜のラタトゥイユバーガー
# OATMAN DINER [池袋] のテリヤキバーガー
# 6月26日(土)、今度はOATMAN DINER [池袋]でDJ(?)イベント開催!
# OATMAN DINER [池袋] のサムライバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] が9周年記念パーティー開催
# OATMAN DINER [池袋] の新玉ねぎのグリル&チンゲン菜バーガー
# OATMAN DINER [池袋] のホワイトデー・バーガー
# OATMAN DINER [池袋] のバレンタイン・バーガー
# Christmas'09 ◆ vol.1 OATMAN DINER [池袋] の
リンゴのはちみつ煮&ゴルゴンゾーラバーガー

# OATMAN DINER [池袋] のサルサチーズバーガー
Halloween'09 ◆ vol.3 OATMAN DINER [池袋] のハッピーハロウィンバーガー
# OATMAN DINER [池袋] のオートマン・バーガー
# ガーリックバーガー ◆ OATMAN DINER [池袋] のガーリックバーガー
# OATMAN DINER [池袋] のメリークリスマスバーガー
# OATMAN DINER [池袋] の
自家製ローストターキー&スイスチーズバーガー

# OATMAN DINER [池袋] の7種類のチーズ&マッシュルームバーガー
# 本日11月2日、池袋に「OATMAN DINER IKEBUKURO」がオープンします
# Christmas'07 ◆ vol.4 OATMAN DINER [埼玉・川越] のメリークリスマスバーガー
# Halloween'07 ◆ vol.3 OATMAN DINER [埼玉・川越] のハッピーハロウィンバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] の4種類のきのことグリルドベーコンのBBQバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のベーコンチーズバーガー

― shop data ―
所在地: 埼玉県川越市脇田町14-1 アーバンM1F
     JR・東武 川越駅東口より徒歩5分 地図
TEL: 049-222-8398
URL: http://www.oatman-diner.com/
オープン: 2001年6月4日
* 営業時間 *
平日: 11:30〜15:00, 18:00〜23:00
金曜: 11:30〜15:00, 18:00〜24:00
土曜: 11:30〜24:00
日祝: 11:30〜23:00
定休日: 年中無休(12/30、31、1/1を除く。要確認)

2006.4.6 Y.M

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2006年03月30日

# 119 海賊島ハンバーガー [長野・佐久平]



 佐久まで行って来た。東京から長野新幹線で1時間――という行き方はせず、小淵沢から小海線を使い、八ヶ岳南麓の高原を抜けて佐久を目指した。

●菱屋本店

 この店に惹かれたのは、経営する菱屋本店の沿革の面白さによる。江戸中期・宝暦年間に始めた宿屋がその起りで、それが土産物屋、食堂など様々に派生しながら二百数十年後の平成十七年にはハンバーガーショップを始めたというのだから、ご先祖様もびっくり……ではなく、江戸時代の宿屋と現代のハンバーガーとが同じベクトル上に扱われていることに商いのチカラと言うか、何か不変の逞しさのようなものを感じたのである。日本広しと言えどこんな店もさすがにあるまい。にしてもである――なぜ長野県の小諸市にオリジナルなハンバーガーショップが突如現われたのか? そしてなぜこの内陸にあって海賊島なのか??

●ステーキレストラン 菱屋海賊船

 菱屋本店の経営する菱屋海賊船というステーキレストランで出しているハンバーグが好評で、それを更にアレンジさせ……というのが海賊島の始まり。ではなぜステーキ屋が海賊なのか。

 ハンバーグステーキの名はドイツの都市ハンブルクでこの肉料理が盛んだったところに由来する――コレ定説。次に料理の起源だが、北アジアの遊牧民タタール人の肉料理であったとする説がよく知られている(異説もアリ)。その北アジアの料理が如何にしてヨーロッパまで伝わったか――諸説あるが、13世紀、タタール人が欧州に攻め込んだ際(バトゥの征西?)もたらしたとするものと、大航海時代に船乗りがハンブルク港に持ち帰ったというものと、二説をよく目にする。マクドナルドのHPでは後者を採り上げている。よってここでも後者で進める。

 北アジアの騎馬民族が考え出し、大航海時代の船乗りが運んだ――海のモノと山のモノとのコラボレーションによってコノ肉料理はハンブルクステーキと呼ばれるようになったのである。でまぁ、運んできた船の中には良い船もいればきっと悪い船もいたでしょ……ってことで、ココにハンバーグ伝来海賊媒介説が誕生する次第――歴史浪漫ですな。タタール人のタルタルステーキは生肉のタタキで(Mr.ビーンにも登場する)、ドイツのハンブルクステーキも同じく生で食べる。そのルーツを受けて菱屋海賊船のハンバーグも強く火を通さないレアな焼き加減が信条。テーブルまで運んだ後、高温の鉄板の上で二つに切って中を焼くのは「ハングリータイガー」式。

●トレーラーハウス

 その海賊船から生れ出た海賊島ハンバーガーはトレーラーハウスが店舗。インテリア/エクステリアの費用も含めオートローンが組める上、固定資産にならず、動力が付いていないので自動車税も係らないという¥スグレモノ¥店内外ともさほど極端には"海賊風"の造り込みはしておらず、かえってそれがライトな感覚で良い匙加減。海賊船をイメージした丸窓からは雪を戴く浅間山が見える。キッチンのお母さんも頭に赤いバンダナ巻いて少しだけパイレーツルック。BGMはスローなジャズヴォーカルやオールディーズがまったりと。



店舗はトレーラーハウス
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2006年03月07日

# 116 BONNET [静岡・熱海]



 此処は熱海銀座――通りからぷいと脇道に入ると、逆光を浴びた佇まいが何とも神々しく見えたものだ。マスターは東京生まれの東京育ち。進駐軍で働いていた。東京銀座の服部時計店(いまの和光ビル)が接収されて進駐軍のPX(Post Exchange, 購買部)になっていた頃、そこでハンバーガーと出会う。

 '52年、23歳のときに熱海の銀座にボンネットを開店。店名は壊れかけたワーゲンの……ではなく、帽子から。ハンバーガーを始めたのは55年とか6年とか、とにかく開店と同時では無いような口ぶりだった。当時は進駐軍が流行も、娯楽も、食べ物も、音楽も――あらゆるものの発信源だった時代である。その発信源のど真ん中に身を置いていたわけだから、それこそありとあらゆるものが強烈に魅力的で、刺激的で、多感な若者は乾いたスポンジのようにみるみるとそれらを吸収していったに違いない。

 どうして熱海で店を始めたのかは聴かなかったが、東京から来た若者が始めたジャズの流れるハイカラな喫茶店は、一目もニ目も置かれる存在だった筈である。熱海ゆかりの文人・著名人らもよく訪れたというから、時代の最先端をゆく彼らのウルサイ好みをも、きっと十二分に満足させていたことだろう。

 新宿辺りにある古い喫茶店を想像してもらったらよい。奥に長い店内――黒い床の上に、かつてクリーム色の背に赤色のクッションだった合皮張りの椅子が四席ずつ、ずっと奥まで並んでいる。白い壁には(多分)バロック風・華美なデザインのブラケットランプが等間隔に。このインテリアの規則的な連続が、奥に長い店の形を巧く活かした空間演出を成している。

 奥の壁はもちろん鏡。黒い階段を上った2階の暗がりから聴こえるBGMは、粋で素敵なムードミュージック。ちょうど腕の高さに壁から張り出す肘掛の、裏側から零れる蛍光灯の間接照明、そして店の中央に並ぶショーケースの明かりが印象的。

 ハンバーガーセット、ハンバーガー&コーヒーで¥700。単品¥500。底を二重にしたバスケットに紙を敷いて。手のひらサイズの小ぶりなバーガー。バンズてっぺんにピクルス、付け合せはフレンチフライ。裏マスタード、そしてソース(「コメダ」以来)、パティ、下バンにバター。レタス1枚と生のオニオンが外に。

 バンズは縁のコゲがサクサクと気持ちよく、辛い生オニのシャクシャクと相俟って、クセになる歯応え

 オニオンの辛味に次いでやや甘目のソース味が効いており、更にはそれらの味をサイフォンで入れたコーヒーの軽やかな酸味が中和するかのようにサラリとまとめ上げる。パティはハンバーグだが粘らずサッパリとしていて、ソースを用いたバーガーとして実に実に完成されている。まとまりある味覚に歯切れの良い食感。すごくしっかり・はっきりとしたエッジと主張を持った、表明するバーガー

 さてこの印象深い白いオニオン――日比谷三信ビルの「NEW WORLD SERVICE」もコノ味だった。意志を以って乾燥させないと、こういう風にはならないだろう。ワザと乾燥させて、以前書いた通りの「タテヨコの比がぴったりと合ったサイの目の食感」を出している。

 銀座のPXと日比谷のNWS――どちらもGHQ体制下の中心部に位置していたわけだから、PXでハンバーガーに出会ったボンネットのマスターとNWSは、あるいは同じモノを見たのかも知れない。つまり当時あったハンバーガーはほぼこんな姿だったのである……という仮説。

 さらにはこのバーガーのサイズ……六本木の「ハンバーガーイン」も横須賀の「ハニービー」も、仙台の「ほそや」も、佐世保の「ブルースカイ」も、どこもおよそこんな大きさだったことを、私は単なる偶然だとは思えないのである。

 偶然でないのなら、ではつまり進駐軍のハンバーガーは小ぶりだったのか――。あるいはコレが当時の日本人のスケール感だった――という考え方もという考え方もできようか。2006年の今、バーガーショップ/ダイナー各店が競って作るアメリカンサイズのバーガーとは大きく違う、このサイズ感――実は何かスゴイ曰くや背景が隠されているかも知れない……なんて、こんなことを書くうちに、もう一度店を訪ねてマスターからもっといろいろと当時の話を聴いてみたくなってきた。近くもう一度行くかも知れない。次回は三島由紀夫でもきっちり一冊読んでからにしますかな。

§ §

 いずれにせよ日比谷熱海、思いもかけない場所と場所から、思いもかけない歴史が垣間見えて、何か私の中では輪が繋がったような思いがするのである。……にしてもだ。こんな落ち着いた喫茶店で華麗なるストリングスサウンドなど聴いていると、身も心も洗われたようになって……本当に気持ちイイったらありゃしない! 要らぬ肩の力が抜けて、重心がスウーッ……と下がってゆくような、そんな感じを覚えるのである。壁に架かる黒いパネルに描かれたハンバーガーのイラストは一個当千

# BONNET [静岡・熱海] のチーズバーガー

2006.3.7 Y.M

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2005年10月29日

# 098 Uncle Sum [神奈川・相武台前]




 しまった……! 100店目前の秒読み体勢に入り、残り3店はココとココとココ……と、全部決めていたのである。ところが……

 配達記録付きの郵便物を管轄の座間郵便局まで取りに行くことになり、無事その用を遂げた後、さてもうちょっと足を延ばして小田急電鉄相武台前駅でも撮りに行きますか……と純粋に「駅写」的興味から、未だ降りたことのない駅へと自転車を走らせた。まだ昼食をとっていなかったし、折からの小雨が少し強くなってきたところでもあったので、撮影を終えたらファミレスでもどこでも目に付いた店に入ってゆっくり休もうと思っていた。やがて目的地・相武台の駅前と思われる街に入った。と……、目に飛び込んで来たオレンジ色の看板には「Sasebo Burgers」とある……ん? サセボ? ……えっ、佐世保!? 残り3店の綿密なる計画のことが一瞬頭を過ぎったが、しかし相武台前なんて滅多に行く場所では無い。店を目の前に引き返す手も無い。これを機に行っておかねば二度手間……と計画の変更を決定、昼食はココで。

 西口駅前、降りてすぐ。変わった造りで、建物1階・長方形の店舗面積の一角にタバコ屋があって、その部分だけお店の面積としてはしっかり欠けている。つい最近までハンコ屋さんだったところで、店を閉めた後すぐの今年9月初旬にオープン。なかなかに狭く、席数は14ほど。カウンターの前に立つと内部をすべて見渡せてしまうキッチンは最近オープンした割に新しくないので、きっと中古で買い揃えたのだろう。体を入れ替えてどうにか作業できるほどの細ーくて狭ーいキッチンで、かつホールとの間に壁も仕切りも何も無いので、これではスタッフは逃げも隠れも出来ないわなぁ。ちょとカワイソ……。壁の所々にサインボードなど貼ってあるが、全体としては殺風景。逆にこの狭さといい、安い造りといい、かつタバコ屋の存在も手伝って駄菓子屋テイストでイイ感じ。小学生の女の子3人が宿題している姿がまさにぴったりハマる、これこそが佐世保テイスト

 ベーコンエッグバーガー¥360に+50円でチーズ紙に包まれて登場。なので開けるとベチャ〜っとケチャップやらマヨネーズやらが内側に付いていて、いかにも佐世保的コノ熱さとゴチャマンとした感じも佐世保的表面何もないバンズ、裏マスタード、レタス、エッグ、マヨネーズ、オニオン、トマト、ベーコン、チーズ、ケチャップ、パティ、下バンズ。黒胡椒がかかる。伊藤パンのバンズはふんにゃりと柔らか過ぎて芯がない。ちょっと力入れて持てばそのまま千切れてしまいそうなバンズだ。パティの持つ塩味が余計なのか、佐世保バーガーという意味では甘味に欠ける。パティは中が薄赤く良い焼き加減だが、しかし表面のコリコリしたコゲの感じは……やっぱりハンバーグだなぁ。本場に比べ、全体にも一つ締まりが無い……かな? でもこの価格設定と駄菓子屋的店の雰囲気に免じて(?)良しとしますか。「『らりるれろ』系の手作りバーガーです」とあるのだが、それは中野の「ZATS BURGER CAFE」が佐世保の「LOG KIT」から指導と材料の提供を受けている――というのと、同じような関係にあるということなのだろうか。その辺訊いてみたかったのだが、割りと絶え間なく客が来るものだから、結局チャンスを得られなかった。確かに「らりるれろ」もこんな方向性ではあったかな? ちなみに「アンクルサム」という店……そう言えば佐世保の街を歩いていて確かに前を通りがかった"ような"気がする。が、佐世保の方は居酒屋、相武台のコノ店との関係は不明。"見せ方"にしろ"名乗り方"にしろ、端々に何かこう、もう一つずつ思慮の足りないようなところが見え隠れするのは大変気になる("系"はどうかな)。しかしまぁ「始めて2ヶ月」と言えばそろそろ問題が浮き彫りになってくる頃でしょうから、その辺の見直しも含めて今後に期待いたしますか!

§ §

 さて店から300mも行けば、そこは外国=キャンプ座間なのである。確かに駅前には米国人の姿が少なくない。駅からベースまでの途中にある店ということで、米兵とそのファミリーたちを意識している部分もきっとあるだろう。と言うかコノ立地、それ以外の理由は考えられないあるいは「基地編」に加えても良かったのだが、しかし「基地編」は米軍からハンバーガーの作り方を教わった跡や、米国文化が周辺地域へ及ぼした影響の様子などを窺う企画であって、キャンプ座間の入口に佐世保バーガーを輸入してきたような状況ではコノ場合、むしろ話は逆である。また佐世保の○○の支店――ということなら当然「佐世保編」も考えたが、どちらでもなかったので結局「地方編」と。


2005.10.29 Y.M

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2005年09月21日

# 089 J.J.MONKS [七里ヶ浜]



 9月に入ってもまだ収まりのつかぬこの夏の陽気・この陽射しの中、誘われるように南下、心は湘南の海へ――。タイムリーな話題としては江ノ電300形が本年9月を限りに引退……ではなく、304&354号車のみ74年間のお勤めを終えてラストラン。海上には白い帆影が無数、サーファー達もまだまだ夏モード!


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2004年12月11日

# 025 ほそや [仙台]



 初! 仙台! 祝! 楽天? ――仙台だけに牛タンバーガーなど期待される向きもあろうが左にあらず。市営地下鉄匂当台公園駅下車。三越のある一番町通りを一本入ると、そこはディープな歓楽街=国分町。東京で言えば新宿のような雑然とした街の一隅に五十年営む喫茶が今回の目的地。

 なにせ前フリがすごい――「1950年創業」「日本で最初のハンバーガー」「100万個達成!」(どうもホントらしい)……「ハンバーガーとステーキの」と聞いていたので、カウンター席しかない古めかしい店構えは大いに意外だった。どう考えても肉料理が出て来る店とは思えない。しかしカウンターの上には肉の冷蔵されたショーケースが煌々と誇らしげに輝いている。マスターはゴルフが趣味。来客もシニアゴルフの仲間かその妻か、はたまた商店街の顔なじみか――店も人も程好く古い。

 まずハンバーガー¥280とコーヒーを注文。ハンバーガーはマスターが、コーヒーは女性(続柄は??)が入れてくれた。このコーヒーが美味しい! 深みのある苦さ、そしてさっぱりとした後口――むしろコーヒー"が"美味しかった。女性から注文が飛ぶと老マスターの手元でジューッと音がし始め、ほどなくカウンターの向こうからハンバーガーが。手渡された瞬間、バーガーの乗る皿が温かい辺りが行き届いた心配り。

 やわらかな甘さのバンズ。中身はオニオンスライスにパティのみ。あとはケチャップ&マスタード――で以上。実に実にシンプルな構成。辛〜いオニオンと苦〜いマスタード、ケチャップはいわゆる市販のアノ味(いや、少しアレンジしてるかな……)。パティも、そのケチャップのわかりやすい赤色の下に染まれば普段家庭で食べ慣れた、お母さんのつくるハンバーグのよう。でもこのノド越しの良さは肉が良い証拠だろう。和牛100%

 次にチーズバーガー¥320。オニオンが消え、チーズとレタスとマヨが加わる。チーズもこれまたわかりやす〜いチーズで、むしろヘタに手の込んだチーズより主張がはっきりしていてよろしいかも。分厚いことこの上なし。

 強〜いケチャップ&マスタードの味でいただくハンバーガーは、系統としてはマック寄り。味がベターッと平面的。せっかくの焼きたてパティのお味がケチャップにかき消されてしまっているのは残念だが、創業54年のズシリと重みある店の空気にどっぷりと身を浸しつつ、マスターと常連たちの半世紀にまたがるトークを傍に聞きながら味わう老バーガーもたまには悪くない。BGM……なし。代わりに常連たちの会話と総合テレビ午後4時台のバラエティ。

 ※そうそう、去年12月、再び仙台を訪ねた折、とある飲食店の店員さんとちょっと話し込んでたら「ほそやさんはフルキャストスタジアム(楽天ゴールデンイーグルスのホームスタジアム)にもお店出したんですよ」なんて教えてくれた。未確認情報ながら一応追記(2006.1.23)

2004.12.11 Y.M

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