![CAFE.ALPS [荏原中延] のハッピークリスマッシュ!! バーガープレート](http://hamburger.jp/thumbs/special773_15l.jpg)
フードカルチャー誌『RiCE(ライス)』のハンバーガー特集号が去年のちょうど今ごろに出まして、私も2ページほど頂いて、その記事の終わりに「2021年のハンバーガー界はこうなる」という"未来予想"を書きました。今でもまだ買えますので、ぜひご覧いただければと思います。
ライスプレス 『RiCE(ライス) No.17』
出版社: ライスプレス
価格: 1,540円(税込)
発売日: 2021年1月26日
それから1年。では「2022年はどうなるんだ?」という次なる予想を今年も発表すべきでは……とずっと思っていたのですが、すっかりタイミングを逃しまして、もう1月も終わりになってしまいました。まぁでも「発表しないよりマシかな?」と思い、今年2022年のバーガー予想を、今さらながらしてみようと思います……。

『RiCE No.17』に書いた2021年のハンバーガー予想はまずまず当たっていたかなと思います。まぁ、当たり前のことしか書いてませんのでね。水晶玉を覗いたりとか、そんな霊感的なことで占っているワケでなく、日々の"実感"に基づいて考えてますので。今年の予想についても「こうなって行くんじゃないかな?」という考えがしばらく前から浮かんでいました。では早速それを発表いたしましょう……今年2022年は出し方・見せ方が重要視される時代になると思います。
敢えて↑「時代」と書きましたが、2020年の11月に「BLUE STAR BURGER」、2021年5月に「BEX BURGER」、10月に「Cheeseness Burger ToGo」と、いわゆる「非接触型」のバーガー店が相次ぎオープンして、必要十分な内容のバーガーを極力「安く出す」というやり方で売り始めました。「安くて良いもの」ないしは「良くて安いもの」が市場に出回りだしたワケです。
![BEX BURGER [吉祥寺] のベックスチーズバーガー](http://www.hamburger.jp/thumbs/special772_26l.jpg)
日本の経済はただでさえ物の値段がジリジリ上昇し、対して賃金は上がらず、消費者の目はますます厳しくなって行っています。片や、牛肉・小麦粉・乳製品と、ハンバーガーに関わる原材料は値上がりする一方で、下がる要素は「ない」と見てよいでしょう。そんな中、大手・中堅外食企業は良いものを安く出して来ると。町場の個人店は値段ではそれに対抗出来ません。競えるのは「味」。そして「質」。しかし外食企業が手掛ける非接触型バーガー店のバーガーも、そこそこ高いレベルまで迫って来ているワケです。
要するに「高くて良いもの」が売れ難い時代になって来ました。時計とか宝石とか、そこまでの高級品なら別ですが、食べ物、分けてもハンバーガーのようなポジションのものについては、「良くて安いもの」がある以上、ただ「ものが良い」だけでは売れ難くなって来ているということです。ではどうすれば……というところで、「出し方」と「見せ方」の話です。
![Mikkeller Kanda [神田] のCHEESEBURGER](http://www.hamburger.jp/thumbs/special765_31l.jpg)
客の側からしてみれば、「ものが良くて安い」バーガーが簡単に手に入る以上、せっかく1,500円なり出してハンバーガーを食べるからには、1,500円出すだけの「理由」が必要です。さてそこで、2022年という"今"この時代において、その価格1,500円の理由付けは、中身に対する満足以上に、外身から来る「納得感」の方が重要なのではないか……という風に私は考えました。つまり、どんなに中身が良くても「1,500円に見えない1,500円のもの」は不要ということです。求められるのは「1,500円以上に見える1,500円のもの」か「1,500円に見える1,500円のもの」と……。
真っ白な無地のお皿の真ん中にただ「ぽつん」とハンバーガーが置いてあるだけ……というようなものに対して、客の側は1,500円という金額を出しづらくなって来ています。重要なのは、中身の価値にふさわしい「外身」――。店の側に求められるのはつまり、1,500円のものが1,500円に「見える工夫」ないし「見せる工夫」です。
![喫茶パーラー Neo 鎌倉 [神奈川・鎌倉] の“和”キーマカレーバーガー](http://www.hamburger.jp/thumbs/special773_86l.jpg)
理屈よりビジュアル。能書きより見た目――。「手間と原価がこれだけ掛かってるんで、このバーガーはこの値段するんです」という"理屈"で納得させるんでなく"視覚的"に納得させるという。「これだけの充実した内容ならこの金額は当然だよね」「むしろ安いぐらい」と、運ばれて来た内容を"見て"判断させるという。それがこれからの時代のスタンダードに私は思います。
そんな大それた工夫でなくて構いません。ムリして派手に見せると逆に見抜かれます。そういう"不要不急"は避けられる方向にあるので。ちょっとした工夫、アイデア、気遣いでも十分です。各店のキャラやカラーに合った見せ方・出し方がそれぞれあると思うので、それが表現出来ていればOKでしょう。
![Rise Burger [静岡・掛川] のダブルチーズバーガー TOPPING アボカド](http://www.hamburger.jp/thumbs/special768_00l.jpg)
インスタ映えに通じるものがありますが、大きく違うのは、見た目"ありき"のものを作るのでなく、中身の良さに「見合った」見た目を表現する――という点です。「中身の良さが伝わる見た目」とでも言いますか。中身は良いのに「見た目はしょぼい」は今後厳しいと思います。逆に、大した中身でもないのにヘンに気取った盛り付けなどすると、期待感との落差から、結果、大いに嫌われるでしょう。「中身にふさわしい見た目」を心がけて下さい。石焼き芋には新聞紙。揚げたてのコロッケは安い耐油袋に入れて「はい」と手渡されるぐらいがキャラに合ってます。安物には安物なりのふさわしい包装や盛り付けがあるということで。そこを間違えるとおかしな方向に行ってしまいます。
ということで、これからは「見た目」の時代です――。
![六本木うかい亭 [六本木] の鳥取和牛クアトロチーズバーガー トリュフ香るポテト添え](http://www.hamburger.jp/thumbs/special772_34l.jpg)
あと、メニュー表に「すべてのハンバーガーにはポテトが付きます」とか、パッと見てわかる位置に商品内容をはっきり「書かない」店がけっこう多いのですが、これは大書した方がよいです。とにかくわかりやすく。特にハンバーガー専門店を初めて利用するようなお客さんは、1個1,500円するハンバーガーなんて食べたことないので、ビクビクしてるワケですよ。不安でいっぱいなワケです。まずその「気持ち」を理解してあげて下さい。
1,500円は高いけどぉ……でも「どんな内容なんだろう?」というところがとにかく気になってるワケです。1,500円の中身が何より知りたいワケですから、探さないと見つからないような書き方でなく、太字でも赤字でも、とにかくハッキリわかるように示してあげること。そうすると安心しますので。そこの説明が足りていない不親切なお店が案外多いですね。初めての人にはどうぞやさしく――。
§ §
ということで、「ものさえ良ければ万事OK」という時代は終わりかなと思います。で、そんな中で、今年のラッキーバーガーですが……やっぱり「チキン」ですかねぇ。本当は「バーガー」じゃないんですけど。でも、チキンバーガーで一旗揚げてやろうという"動き"は見られます。とにかく私はおいしい「チキンサンド」が食べたいです。ということで、今年もどうぞよろしくお願いいたします――。
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2022.1.31 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 17:02|
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