野田へ行って来ました。チーバくんの突き出た鼻の部分です。キッコーマンの本社で有名ですね。その細長い野田市の中でも愛宕(あたご)駅という、"アーバンパークライン"なる愛称が付いた東武野田線の駅ですが、その駅前5分の場所が今回の目的地です。
事の起こりは……モスとミスドのコラボ店「MOSDO!」の店舗披露・試食会で初めて新三郷駅で降りまして。埼玉県三郷市の駅です。私は出先で必ず「おいしそうなパン屋」を探して寄るようにしていて、この日も「ベッカライサカツジ」という店を見つけて訪ねたところ、どうも店構えに覚えあり……「ツオップに似てるな」と。
ツオップは「R-S」にバンズを焼いている千葉県松戸の名パン店です。店員さんに訊くとその通りで、ツオップを出られた職人さんの店であることがわかりました。予備知識なく訪ねての大ヒットです。
で、ふとレジ横を見ると、ハンバーガー店のものと思しきショップカードが置いてあります。訊くと「バンズを卸している」とのこと。そこで紹介されたのが……というのが「キャビン」へ至る流れです。千葉県野田市のBAR CABIN(キャビン)は愛宕駅前5分の住宅地の中にある店です。それも入り組んだ、道の広くない住宅地で、その一角に突如として現れます。
きっと誰しもの身近にそんな「謎のバー」が一軒や二軒あると思います。前を通るたびに「どんな店なんだろう?」「誰が行くんだろう?」と思いつつ、ついぞ入ったことがない地元の「バー」……キャビンはまさにそんな「バー」です。
扉を開けると……息を呑む店内! 完璧! まさにキャビン=山小屋の趣き。それも単なる"山にある小屋"でなく、趣味の空間、とっておきの空間、特別な空間……そんな空気と佇まいをみごとに表現しています。バーは「非日常空間」ですから。満点の作り込み!
店内の"見えているもの"はすべて店主・杖崎さんの自作・手づくり・DIY。工期は半年ほど。杖崎さんはアメリカ車、ハーレー、映画、音楽etc……アメリカ好きで古いもの大好き。「新しくてOKなのは携帯電話ぐらい」と。医療に関わる仕事を"脱サラ"して「キャビン」を始めたのが2017年の11月の末。だからもうすぐ7周年を迎えます。
自宅1階を店舗にした「場所ありき」な店で、「この町・この立地で何が出来るか?」を自身の"スキル"と照らした結果、「バーならば」1人で回せて、フードロースも出ない……と決定。この立地なら「"2軒目"のバーになるだろう」と考えた杖崎さん。オープン時刻を19時以降にし、薄利多売でなく「厚利小売」の店を目指したところ、予想を超える様々な客層が訪れ、日に日に女性客も増えて、結果、「野田にはない店になった」という、ここまでが第一章……。
ところが、新型コロナの緊急事態宣言において夜の営業が出来なくなり、そこで考えたのが昼のバーガー。2021年の8月からスタートしました。
肉は地元の後輩の肉屋へ依頼。バンズは近所の主婦から「サカツジのパンがおいしい」という情報を得て相談に行ったところ、快諾。野菜は地元野菜――。米国テキサスに親戚がいる杖崎さん。「食べるのを躊躇するような」本場のバーガーは子供時分に経験済み。目指すはそっち系。現在バーガーメニューは昼が6品、夜は1品のみ提供。中からまずはチェダーチーズバーガー¥1,730(税込)を。
パティはオージー165g。12mmの超粗挽き肉と手切り肉を半々ずつ合わせ、そこに牛脂1割。塩コショウは焼く際に。調理はグリドルで。チェダーチーズは3枚≒50g。結果、メルトしたチーズが「びろ〜ん」とパティを覆って「チーズお化け」のようになってしまったのがちょい残念。せっかくのおいしいパティだったので、もっとよく見たかったですね。パティの上にBBQソース、ヒール(下バンズ)に"ソース"。
かぶりつくと「スッ」と口に入るバンズの歯切れのよさ。粗挽き・ハンドチョップ半々のパティはミディアムレア、ローズピンクな焼き加減。やわらかく口に入って「バラッ」と細かくほぐれる食べ心地……ジューシーで美味! その前後で「ザクザク」するのは微塵に刻んだ生オニオン、「カリカリ」当たるのはフライドオニオン。レタスはホットドッグのような細切り。立派なトマトも含む生野菜は地元野田産&利根川の向こうの茨城・岩井産。
BBQソースは米国製のものに"スモーク"をかけたオリジナル。その効果か、「ピン!」と張ったような風味が、"べしゃっ"とせず、香り高く利いている。ヒールの"ソース"はケチャ、マス&マヨをベースにクラッシュした「タイム」を加え、さらに栃木産の"とあるソース"を隠し味にしたオリジナル。
あらためて「サカツジ」のバンズは、表面シャリッと、食べ始めは歯切れよく、最後に「もっちり」とした生地感を残すのが特徴的。165gパティを支えるバンズなので100gぐらいあるかも。てっぺんに店名の焼き印。この日のポテトはジャガイモとサツマイモの2種混合。どちらもカリッと揚がって美味! 野田で造っているクラフトジン「TL ピアス トーキョードライジン」で作るジンソーダ¥900(税込)と合わせたところ、これがイイ〜香り!
ごっつそうに見えて「スッ」と入る食べやすさ。ミディアムレアの潤い豊かな食べ口。ボリュームあり迫力あり、なかなか食べごたえのある、そんなバーガー。
§ §
率直に、予想の「上」を行くものが出て来ました。素晴らしい店内と香(かぐわ)しいジンソーダで食べられて大変満足です。これ以上の贅沢はなし! そして食べ終えて一歩外へ出ると、東武野田線の駅の裏という……(笑)。そんな、"音楽とウヰスキーとジンと燻製"の店。この日のBGMはシャーデーのライヴ!
― shop data ―
所在地: 千葉県野田市野田524-25
東武鉄道野田線 愛宕駅歩5分 地図
TEL: 090-4822-7872
アカウント: https://www.instagram.com/bar__cabin/
オープン: 2017年11月
* 営業時間 *
ランチ: 11:00〜14:30(LO14:00)
バー: 19:00頃〜疲れるまで
定休日: 水曜日・木曜日(夜は不定休、要確認)