2024年04月28日

# NHK「クローズアップ現代」のバーガー情報【補強】その4〜人手不足について




 4月17日放送のNHK「クローズアップ現代」――攻防!ハンバーガーの値段 業界の“舞台裏”で何がに入り切らなかった情報や考察を補足しています。

 ■NHK『クローズアップ現代』
 攻防!ハンバーガーの値段 業界の“舞台裏”で何が

 初回放送日: 2024年4月17日(水) 夜7時30分〜7時57分放送


 続きです。「持続可能な店づくり」を実現するにはどうすれば……が次の問題点です。これについて"現場の声"がぜひ聞きたくて、私はNHKの取材班とは"別に"都内のいくつかのバーガー店を訪ね、聴き取りをし、議論を重ねて来ました。その結果、辿り着いた答えは「人の育成と教育」――これがファイナルアンサーです。後にも先にも答えはこれ「しか」ありません。


 いやいや、それ以前に肝心の"人"が集まらないんだよ……というのが「クローズアップ現代」の内容でした。しかし例えば、人形町の「BROZERS'」には引きも切らず人が集まっています。しかも「将来自分でハンバーガー屋をやりたい!」という優秀・有望な人材ばかり。「そりゃブラザーズだからでしょ」という意見はその通り。そう、ブラザーズ"だから"集まるんです。でも「どうして」「どのようにして」集まるのか――。


 現在ブラザーズは求人広告を出していません。北浦社長曰く、広告は「安心感が得られるだけ」で実際の「効果は出づらい」と。だから出さなくなりました。

 では広告を出さずして、どうして人が集まるのかと言うと、まずひとつはホームページにある「独立者メッセージ」です。これを見て連絡して来る人が一定数いると。それから、2021年に刊行された北浦社長の著書『Zの精神』。この本を読んで「自分も働かせて下さい」と志願してくる人が後を絶たないとのことで、現在ブラザーズの求人募集は「本とホームページ」が広告代わりになっています。


 そのブラザーズOBの一人、東條さんの店である東京・潮見の「Skippers'」では、YouTubeの潮見スキッパーズチャンネルにて、店主東條さんが同店で働くスタッフへ向けてレクチャーする様子や、トレーニングの模様などをアップしています。これが非常に良い内容で。将来自分で店を始めたい人へのアドバイスなども配信しています。記事の最後に載せておきましょう。


 もう一例。こちらもブラザーズOBの店です。東京・学芸大学「Overwhelm」。聞いた話によると、店主佐藤リクさんのInstagramアカウントに「ハンバーガー屋やるなら働かせて!」というDMがある日送られて来たと。そしてはるばる秋田県から上京して来たのが、現在オーバーウェルムで佐藤さんと一緒に働く"坂本さん"です。

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 という三例を挙げましたが、これについて、大手外食チェーンに15年勤めて人材募集に詳しい東京・荏原中延「CAFE.ALPS」の橋本さんは「リクルートツールは今や無限にある」と。広告や貼り紙だけが求人活動では"ない"と言うことですね。定型文的なお決まりの募集でなく、本やweb、YouTube、SNSなど、あらゆる方法による求人募集が可能であり、かかる費用の削減もまた可能な時代なのだと。それがまずひとつ。


 そして、上記の例に概ね共通して言えるのが、ウチの店で働けば「こういう経験が出来る」「こういうスキルが身につく」、ひいては「将来あなたもこんな店が出来る」といった「将来像」「未来図」を具体的かつ明確に「示せている」点です。

 「人が足りないから手伝って」とか「土日入って」とか"じゃない"ワケです。店の都合は一切言ってません。言っているのは「将来あなたこうなれます」「一緒に働くとこうなります」という、働きたい人にとっての"メリット"です。


 「今はお金じゃない、『やりがい』の時代だ」と橋本さん。時給を上げても人来ないワケですから、つまり、お金じゃない。どんなに時給が高くても、自分がやりたいことと合わなければ、その仕事はしない。つまり、その人が「何に重きを置いているか」。お金よりも「やりがい」。ないしは「価値観」――。

 あるいは、お金よりも「時間」を優先させているとも言えます。今や「タイパ」なんて言われる時代なので。映画を早送りして観る時代。先に結末を知ってからその作品を観るかどうか決めるような時代です。お金も大事だが、それ以上に「時間はもっと大事」だと。だからこそ、無価値と思えることには時間を割かない……これが働く側の心理です。


 だからこそ、店の側は「結果=将来像・未来図」をまず明確に示すこと。すると「自分もそうなりたい」「そんな経験を積みたい」「そんなスキルを身につけたい」という志の高い"優秀な人材"が集まると。人手でなく「人材」です。忙しさの穴をただ埋めるだけの「人手」でなく、店主の負担を分散・軽減してくれるような、店主に代わって店に立ち、店を回してくれるような良き右腕・左腕――すなわち「良き人材」です。


 橋本さん曰く「リクルートに対するターゲッティングが正しくされていないと」このような人材は集まりません。この場合の「ターゲッティング」とはすなわち、「将来自分のバーガー店をやりたい!」というような具体的な目標を持ったイニシアチブレベル(主体性)の高い人、もしくは、自ら率先して主体的に行動出来る人「に」正しく狙いを定めた募集になっているかどうか――ということです。

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 以上が私が取材して得た、求人についての究極的な解決法です。ですが、ここまではまだ序の口。優秀な人材を得たら、次は「育成と教育」をせねばなりません。それはまた次回……。 (つづく)


 

# NHK「クローズアップ現代」のバーガー情報【補強】その3〜個人店の問題点
# NHK「クローズアップ現代」のバーガー情報【補強】その2〜チェーン店と専門店の新たな競争
# NHK「クローズアップ現代」のバーガー情報【補強】その1〜チェーン店の高価格バーガー
# あす4月17日(水)放送、NHK「クローズアップ現代」に出演します
# あす4月4日(木)放送、TBSテレビ「ひるおび」にコメント出演
# 3月1日(金)放送、テレビ朝日「マツコ&有吉 かりそめ天国」に制作協力!

2024.4.28 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 15:00| 【研究・考察】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする