さて、静岡に気になる店がもう一軒……今年1月に出来たばかりの店、Heart Beat(ハートビート)です。"SINCE 2022"とロゴにありますが、昨年末はレセプションやプレオープンを繰り返し、晴れて"正式"オープンしたのは2023年1月6日。年を跨いだという。場所は七間町(しちけんちょう)。昭和通りの路面店。旧JACKALまで徒歩1分、新Tequila'sまで3分の距離です。
店主・城塚さんは「東京でハンバーガーの知識や技術、アメリカンカルチャーを6年間修業」した人。どこの店にいたかと言うと……SHAKE SHACK(シェイクシャック)。私が"再三絶賛"しているお店です。
都内・横浜の主だった店舗で活躍。東京ドーム店、みなとみらい店、六本木店では店長を務め、さらにみなとみらい店はオープニングから従事。それらの活躍の末にワンランク上のディレクター職を打診されたところで、それを蹴って(笑)、「そろそろ地元で店がしたいので」と始めたのがこのハートビート。
シェイクシャックはとにかく「あたたかい」と城塚さん。そう、常に店員が楽しそうに働いてますよね。米本国の社長などからは「バーガー以上に『接客』が大事」「サービスはしなくていい。発揮すべきは『ホスピタリティ』」といったことを強く教え込まれたと。つまり外身だけでなく中身も、仕事場としても実に"ハートフル"な店で、だから「ハートビート」の"ハート"は、そのシェイクシャックの"ハート"を受け継いでいる――と言って、どうやらよさそうです。
シェイクシャックと言えば「スマッシュバーガー」の名店ですが(詳しく知りたい人はこちらやこちらを)、しかし城塚さんが強く影響を受けたのは東京・池袋「No.18」のバーガー。それはそれは上質で"きれい"なハンバーガーを出す店です。シェイクシャックとNo.18。並べると「対極」「真逆」のような二店ですが、城塚さんはそのNo.18に憧れて、肉もUSビーフに。同じようにブロック肉を店で捌いてパティを成形。近い積み方でハンバーガーを組み立てているという。コンセプトは女性をターゲットにした上品なバーガー。
バーガーメニューはレギュラー11品。3月から月替わりのバーガーを始めて毎月継続中。中からまずはチェダーチーズバーガー¥1,628(税込)を行ってみましょう。フレンチフライ付き。
パティはUSブラックアンガス120g。肩ロースのブロック肉を切り出し、いわゆる"ザブトン"に当たる部分は手切りに、ほかは5〜6mmの挽肉に。これらを合わせて円盤状にするワケですが、ポイントは、成形した"その日に"すぐ使うこと。パティを一晩寝かせません。ここがポイント。
バンズは「ブーランジュリー ル リアン」作。こちらも去年オープンの期待の新店です。北海道産「春よ恋」とデュラム粉をブレンド。静岡県産の平飼い卵、北海道産バター等々を使った特注品。ヒール(下バンズ)にオレンジマスタード、クラウン(上バンズ)にピクルスマヨネーズ。あとは厚切りのトマト。きっちり折り込んだレタス。チーズはチェダーが2枚。
感想……やわらかな肉に絡むチーズ。パティを寝かさず、すぐに使っているので、挽肉同士が"ぷりん"とくっつかずに、ゆるく「ふ〜んわり」結合しているのが一番の特徴。間に空気(エア)が入ったような柔和なパティで、こんなパティと出合うのはなかなか稀少です。多くの店は成形してから一晩なり置いて使ってますので。とにかく、その「ふ〜んわり」やわらかな食べ口と余韻が心地よし。そこへオレンジマーマレード入りのマスタードソースのゆるい甘味――その辺りは大変よし。
一方で、その最も手間暇のかかった入魂の「パティ」を前面に押し出して、存分にアピールするなら、それ以外の要素が「ここまで多くなくてもいいんじゃないかな」という気もします。例えば分厚く切ったトマト、たっぷり入ったレタス、そしてしっかり焼き込んだバンズ……。
「ジャッカル」でも「テキーラ」でも思ったんですが、ちょっとバンズに多くを求め過ぎと言うか、依存し過ぎと言うか、そこまでガッチリ&ストロングなものを作らない方がむしろ、自身の店の細かな工夫や技術をもっともっと明快に披露出来るんじゃないか……という。
と言うぐらい「バリバリ」しているバンズです。焼き色もかなり強め。そこはもっとトーンダウンさせて、パティのおいしさがもっとダイレクトに伝わるように、そのための「シュートコース」を確保してあげた方が、ハートビートの良さがより「出る」ように思います。伝えたいものがもっと伝わるでしょう。
でも、トマトもレタスもソースもバンズも、それだけ強い"要素"が多い中にありながら、それらを"貫いて"パティの旨味が感じられる点は大変素晴らしく。と言うことは、シュートコースがもっと空けば、この苦心の自家製パティの魅力がもっと伝わり、感じられるということですね。頑張れ!
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"Brooklyn Brewery"のビールはすべて"ボトル"で統一。あと、2つ目のおしぼりはハートフルな手書きメッセージ入りです。↓これ『オバQ』の"ドロンパ"ではありませんので。シェイクシャックで培った明るく陽気で気持ちのいいホスピタリティを体現するお店です。その魅力がもっともっと花開きますように。心よりのエールを送ります!
― shop data ―
所在地: 静岡県静岡市葵区七間町14-12
JR静岡駅歩12分 地図
TEL: 080-9490-8100
アカウント: https://www.instagram.com/heart_beat_shizuoka/
オープン: 2023年1月6日
営業時間: 11:00〜15:00(LO14:30), 18:00〜22:00(LO21:30)
定休日: 不定休(要確認)