6月に開催された「Japan Burger Championship 2023」出場チーム中随一の異色チーム! 東京・世田谷は千歳烏山(ちとせからすやま)駅前のパン屋・Boulangerie Puku-gari(プクガリ)と肉屋・精肉柳屋(やなぎや)の連合軍。去年の6月からパン屋と肉屋の"コラボバーガー"を数ヶ月置きに販売していると前回記事に書きましたが、その最新の販売日が7月1日・2日にありました。売り出したのは……JBCにエントリーのバーガー!
販売場所は「プクガリ」です。完全予約制でバーガーの日は通常のパンの販売はお休み。バーガーの提供のみに専念する2日間です。事前告知のポスターには「予選&幻の決勝バーガー登場!!」とあります。予選のバーガーは「DOUBLE CHEESE」で、決勝が「KIZUNA」という名のバーガー。決勝には進めなかったので、実際にJBCで披露したのはDOUBLE CHEESEのみです。¥2,000(税込)。まずはそちらから行ってみましょう。
調理場に入れてもらいました。店ではこんな感じでパティ焼いてます。肉はもちろん精肉柳屋特選の仙台牛。中でも肥育農家・鈴木佑哉さんが育てた超一級の「鈴木牛」を使用。サーロインの脂身に肩、スネ、モモ、ネックなどを加えた9mm挽きの一度挽き。サイズ120gパティが"決勝用"で、その隣でチーズを被っている小さいのが"予選用"。サイズ60g×2枚を挟みます。塩はクリスマス島の塩。
一方、プクガリ作のバンズがこちら。奥が"予選用"、手前の大きいのが黒ビールを使った"決勝用"バンズ。予選用は甘さ控えめのブリオッシュバンズ。ツヤなしのゴマなし。業務用のベーカリーオーブンでトーストしてました。ヒール(下バンズ)にマヨネーズを塗り→レタス→パティ1→チェダーチーズ1→しその葉→トマト→パティ2→チェダーチーズ2→サルサソース→ハラペーニョソース→ローストビーフ→カマンベールチーズ→ブロッコリー→マヨネーズ、クラウン(上バンズ)……という下から上への積み順と構成。
率直な感想……まずはパティを60g×2枚にする必要があったか? 決勝と同じ120gパティ×1枚でよかったのでは?
と言うのは「直径」が出ませんよね。小ぶりなバーガーになってしまう。いかにもパン屋が作りそうな、すなわち、本格「でない」風に見えてしまうという。それが一点目。そしてパティを小さくすると中まで火がよく入って、仙台牛パティの持ち味である「じゅわっ」とレアな感じから遠のきます。その辺の焼き加減への影響が二つ目の懸念です。
肉のにおいは大変よし。期待が高まる良い香り。かぶりつくと、ひと口目の肉の感じは美味。柳屋特製・仙台牛のローストビーフの味も最初のひと口目"だけ"感じられますが、それ以降はいろんな味がその上に覆いかぶさって、何が何だかよくわからず。ローストビーフもいるんだか・いないんだか……。ちょっと乗せ過ぎですね。こんなにいろいろ乗せなくてよかった。
ブロッコリーを炒めた油の風味が邪魔です。苦味が欲しければ、炒めずにサッと茹でる程度でOK。パティ1の上の"しそ"も余計。焼き上がったパティは照り焼きソースに軽く絡めているそうですが、その上にサルサソース&ハラペーニョソースのダブルソースがさらに来るので、ここでもやはり「味の交通渋滞」を引き起こして、結果それぞれがあまり意味を為さなくなっているという。
最初の数口はおいしい肉の感じが掴める……正しくは「掴みかける」のですが、その味をもう一度確認しようとすると、いろんな味が次から次にその上へ降り積もって、あの"ピカッ"と光った仙台牛の輝きを二度と見つけられぬまま食べ終わってしまうという……そんな感じ。せっかくの仙台牛が「どこかへ行ってしまってる」感は否めず。
こんなに乗せなくてよかったですよ。頑張らないでよかった。仙台牛パティという「最強兵器」を手にしているワケですから。あとはそれに合う最高のパンを作りさえすれば「それでよし」ぐらいにシンプルに考えて欲しかったのですが、「JBC」というハンバーガーの大会への出場がそれを狂わせ、要らぬ手数を増やしてしまったのかなという……。
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ハンバーガーの基本は「パティ」と「バンズ」です。そして貴方がたは「肉屋」と「パン屋」です。その基本中の基本を最もダイレクトに司る人たちじゃないですか。まずはそこを押さえましょう。もっとシンプルに。原点は"そこ"です。 (つづく)
→ # 精肉柳屋×Boulangerie Puku-gari [千歳烏山] のレギュラーバーガー
― shop data ―
●Boulangerie Puku-gari
所在地: 東京都世田谷区南烏山6-27-6
京王電鉄 千歳烏山駅北口歩4分 地図
TEL: 03-3309-0022
URL: https://www.pukugari.com/
オープン: 2011年
営業時間: 10:00〜18:30(パンがなくなり次第終了)
定休日: 月曜日(要確認)
●精肉柳屋
所在地: 東京都世田谷区南烏山6-34-2
京王電鉄 千歳烏山駅北口歩4分 地図
TEL: 03-3307-2857
アカウント: https://www.instagram.com/seinikuyanagiya/
オープン: 1947年
* 営業時間 *
平 日: 10:00〜18:30
土日祝: 10:00〜18:00
定休日: 日曜日(要確認)