続きです。物価上昇によりハンバーガーはどうなる――という話を前回しました。要するに、物の価値が正しく評価される「チャンス」だということです。どんなに有名な店でも、価格に見合うサービスが提供出来なければ、自ずと客足は遠のくでしょうし、それは安売りの店にも同じことが言えて、つまり、「モノが良くないとね」と言うことですね。消費者は「中身」を見ますので。名前よりも「実」を取ります。インフレ下、その傾向は一層強まるでしょう。
となると、この状況は「いいバーガーを出しているのにイマイチ名前が売れていない」店が日の目を見るチャンスでもあるワケです。地味ながらもきちんと仕事をこなし、おいしいバーガーをしっかり出して来る。そんな「無名の実力店」が正当に評価される時でもあるワケですが……ソレと言うのは実は、私が食べログマガジンでずっと書いて来たことなんですね。「じっくり食べたいハンバーガー」において3年にわたり、ずーっと。
「知らない店ばかり出て来ますね」と言われたことがありますが、そーなんですよ。その通り! 100%狙って「無名の実力店」の発掘に励んでましたので。同時に食べログマガジン全体においても「食べログ3.5以下のうまい店」というシリーズで全く同じ動きをしています。こちらは今も継続中です。と言うのに加えて――。
これはつい最近のことなんですが、「食べログ」について複数の著名人が、奇しくも似たようなことを言ってました……「食べログの評価が低いのに『旨い店』こそツボである」「食べログを利用しないワケではないが、でも、おいしい店は自分で見つけたい」といった内容です。これは世の中全般の「気分」なんじゃないかと私は見ています。
行くといつも混んでいて、並ばないと入れない店とか。入店後も並んでいる人のことが気になって、落ち着いて食事が出来ないとか。そんな有名店へ行くよりは、いつ行っても空いていて、快適に食事が楽しめる上、味は有名店と同等かそれ以上、しかもその割りに「安い」――といった「無名の名店」へ行く方がお得感があり、優越感にも浸れるという……。 (つづく)
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# 『ON THE ROAD MAGAZINE』Vol.68 配布開始