カルビの次はフォアグラです。フードテック企業「Dr. Foods(ドクターフーズ)」社が世界初の「植物性培養フォアグラ」を開発し、2つの商品を7月2日より販売開始。それに合わせて東京・表参道のWAYBACK BURGERS(ウェイバックバーガーズ)にてNEXTフォアグラバーガーを期間限定販売します。リリースこちら。
ドクターフーズは「ネクストミーツ」社の子会社です。ネクストミーツは昨秋発売の「NEXTカルビ2.0」や三軒茶屋の「TEN FINGERS BURGER」で販売された“地球を終わらせない”バーガーのパティである「NEXTバーガー2.0」の開発企業ですね。ネクストミーツは代替肉の研究・開発をおこなっているのに対し、ドクターフーズは「培養肉」の研究・開発をおこなう企業です。培養肉とは何か……という説明はウィキペディアをご覧いただくとして、とにかく昨年の秋には植物性培養フォアグラの量産化ならびに販売開始の具体的なスケジュールがあったようです。こんなリリースが出てます。
このたび発売されたのは「ヴィーガンフォアグラ(一切れ)」と「ヴィーガンフォアグラ(瓶詰め60g入り)」の2商品です。こちらですね。左が一切れタイプ、右が瓶詰めタイプ。要は"固形"か"ペースト"かの違いですね。開発したのはフランス人の生物学者、グイヨネ・アレクシ博士。量産化=商品化に当たったのは「マーマフーズ」。岩手県の食品企業です。この植物性のフォアグラ、カシューナッツを「麹」によって発酵させたものだそうです。つまり、日本の発酵技術ですね。温度などの条件を変えて二度ほど発酵させているそうで、するとナッツの味が消えて、動物的な味が現れるのだと。
そんな技術があるとして「なんでまたフォアグラ?」と一瞬思ったんですが、エシカルなんて言葉も言われるようになった昨今、特にフォアグラはカモやガチョウを無理矢理太らせて云々なんて聞きますんで、そういう意味ではかなり的確な技術の応用に思います。
そして、このたび発売の期間限定バーガーがNEXTフォアグラバーガー単品¥1,800(税込)。販売しているのは東京・表参道のWAYBACK BURGERS(ウェイバックバーガーズ)。米国コネチカット州発祥のチェーンにして、本年3月11日に日本に初上陸したばかりの新店です。いずれ詳細な取材をしたく思ってますので、今日のところはバーガーの話題に集中しましょう。
このバーガー自体がヴィーガンバーガーです。動物性食材不使用。パティはネクストミーツの「NEXTバーガー2.1」。バンズはほうれん草を練り込んだヴィーガンバンズ。そこへソテーしたヴィーガンフォアグラ(一切れタイプ)、同じくソテーしたマッシュルーム、生オニオン――という内容。かぶりつくと、ヴィーガン料理特有の甘い味付け。金山寺味噌的な甘味を感じますが、フォアグラにかかるのは和風バルサミコソース。味噌の使用の有無は不明ですが、パティ自体が大豆を主原料にしたものなので、その辺も合わさって味噌味に近くなるのかな……という気もします。
ヴィーガンフォアグラはねっとり食感。言われてみればフォアグラ的な余韻。一切れ丸ままの量が乗ってます。ソテーしていますが、「焼いて食べられる」のが最大のセールスポイントです。従来、加熱すると油が融け出してしまう難があり、それをどう改善するかが開発に当たっての大きな課題でした。それを乗り越えての今度の発売です。
パティは以前「NEXTバーガー2.0」を食べた時よりおいしく感じられました。と言うか、バーガーとして見た時のまとまり・収まりがすごくいいです。一個の「ヴィーガン食」として成立しています。1,800円は"やや高"ですが、この分野に興味のない人などは「これぐらいには仕上がるんだな」というのを確かめるのに適した一品に思います。
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バンズは「よもぎ」に近い風味がかなり強くて、そこは無くてもor抑えてもよかったような。バーガーは8月末まで販売予定。一方、「ヴィーガンフォアグラ(一切れ)」は450円(税別)、「ヴィーガンフォアグラ(瓶詰め60g入り)」は690円(税別)。「どこで売ってるの?」というのが気になるところですが、さぁどこでしょう? 追ってスーパーなどに出回るんじゃないかと思います。なかなか刺激的な試食&発表会でした。
2022.7.2 Y.M