先月10月18日、日本国内のフードテック企業「ネクストミーツ」社が"世界初の焼肉用代替肉"「NEXT焼肉」シリーズの新商品NEXTカルビ2.0を発売しました。私、その先行試食会に参加しておりまして、様子を見て来ました。速報的な情報は大手メディア各社が即日出してますので、私の方は今ごろのんびり触れてみようと思います……。
ネクストミーツと言えば、三軒茶屋・「TEN FINGERS BURGER の「“地球を終わらせない”バーガー」ですよ。いわゆるフェイクミート、植物由来の人工肉のパティを使ったバーガーですね。「代替肉の開発 代替肉を使用した商品の企画・製造」等がネクストミーツ社の事業内容です。
開発商品はハンバーガーだけでなく、「NEXTチキン」「NEXTハラミ」「NEXT牛丼」「NEXTメンチカツ」など多々あって、今回は「NEXTカルビ」を1年ぶりにバージョンアップとのこと。NEXTカルビ「1.1」が「2.0」にアップしました。私なりの理解ではポイントは2点……「肉が大きくなった」ことと「焼く際にジュージュー言うようになった」ことです。
従来の「1.1」が小間切れ肉とするなら、「2.0」はスライス肉に近い大きさになりました。これは実は技術の要ることで、主に大豆を細かくし、固めたもので出来ているので、普通ならば大きく作るほど形が崩れやすいワケです。大きさを保つのは非常に難しい。そこをタンパク質の含有量を増やす改良によって結着をよくし、サイズアップが可能になったと。スライス肉サイズに進化したことで、焼肉、すき焼き、さらには鍋など、料理の用途も広がりました。
世界的な潮流を見ても、「IMPOSSIBLE FOODS」も「Beyond Meat」も主力は"挽肉"の製品で、代替肉・人工肉市場においてスライス肉に挑戦している例は少ないそうです。ネクストミーツは異彩を放ってますね。
焼く時の音については「1.1」より「2.0」の方が確かにします。これも何らかの技術でしょう。油をしっかり引いて焼くのがポイントだそうですが、「やっぱり油は要るのか……」とはちょっと思いました。下味は付いてます。焼く際にもさらに味付けしたのか、けっこう強めの甘辛味でした。
焼き上がり……これが「1.1」です。見た目はほぼ肉ですよね。牛肉と言うよりは「豚肉の生姜焼き」的な? そんな外見ですが、口にした感想を素直に言うと、揚げた豆腐の仲間のような感じでしょうか。肉かと言われると、やはり肉ではない……そんな感じです。
こちらが「2.0」。これも率直に言うと、食味的にものすごく進化したワケではないです。進化の度合いは食味よりも見た目の方が上ですね。このサイズで食べられることに大きな意味があります。まさに"スケールメリット"。より「肉らしさ」が増して見えるという、今回そこが一番のポイントに思います。
ただ、複雑なもので、見た目が肉に寄れば寄るほど、むしろ「肉との違い」が顕在化して来ると言うか、「本当の肉ならもっとこうなのにな」とか「肉のこういう感じが無いよね」とかいった、食べるこちら側の要求・要望がどんどん高まってゆくという、そんな現象を覚えます。
そこにあるものを見ずに「ないもの」をつい探してしまうと言う。ないものねだり。ないしは重箱の隅。そんな悪いクセがついつい作動してしまうという。「似せれば似せるほど違う部分が気になる→そこを直す→また新たな違いが見えてくる→そこをまた修正……」という、この上昇スパイラルがいつまで続き、どこまで昇るかわかりませんが、少なくとも"今"はまさにその「途上」にあるんだろうな……という風に感じます。
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スパイラルの最後は、開発者・消費者双方が「よし、これだ!」と納得するレベルにまで達するのか。それとも、社長が言うように「肉よりおいしいもの」に大化けするのか。いずれにせよ、もっともっとおいしくなると思いますよ。もっと進化するでしょう。そんな前途有望、大注目の分野です。10月18日より公式オンラインショップで販売開始。Amazonでも扱ってます。今後が楽しみ!
2021.11.3 Y.M