「アルデバラン」というのは星の名前ですね。おうし座のα星。なぜこの名にしたのかは聞いてませんが、とにかく東京・六本木のALDEBARAN(アルデバラン)は、そんな星の名の付いたハンバーガー店です……なんて、雑誌の記事みたいな書き出しになってしまいましたが(笑)、今回はこのままの調子で進めましょうか。
六本木ヒルズのそば、ホテル「グランド ハイアット 東京」の道を挟んで真横に位置するお店です。地下1階の店ですが、その入り口からして非常に"劇的"。階段を降りると芝居の稽古場のような店内です。オーナーの"マタドール Yusuke"氏はこの場所に以前からあったバーのオーナーでした。そのYusuke さんの親友の弟がシェフの"ミノタウロス KAYA"氏……ま、通称「ミノル」さんですかね……千葉は松戸の名店「R-S」で長らく腕をふるっていましたが、アールズを離れて誕生したのが、このアルデバランです。オープンは2018年6月。今で3年と4ヶ月。
「アールズ継承バーガー」を公に謳うお店です。バーガーメニュー全9品の筆頭に来る看板メニュー、リアルバランバーガー¥1,700(税込)は、あのアールズの「リアルバーガー」のアルデバラン版。違いはローストオニオンと独自のスパイスの追加。このローストオニオンは、一日の営業の最後に、牛肉を散々焼いて旨味とにおいがたっぷり染みた状態の鉄板で蒸し焼きにしています。ミノル氏曰く、鉄板は「スパイスの一種」という位置付けだそうで、オープンから3年4ヶ月の間に染み込んだ牛肉の油や出汁、旨味、においが鉄板を育て、鍛えて、最近はかなりイイ感じに仕上がって来ているとのこと。つまり、アルデバランを語る上での最重要キーワードは「鉄板」であると。
パティは全幅の信頼を寄せる肉屋が厳選した和牛使用の180g(アールズは170g)。テリヤキソースはアールズのレシピと同じ。あとは先述のローストオニオンにフライドエッグ、マヨネーズ、チェダーチーズ。生野菜はナシ。もう一点、アールズとの大きな違いはバンズです。アールズは天下の名店「Zopf(ツオップ)」のバンズですが、アルデバランは都内の卸専門のパン店のものを使用。これを20分以上もかけて鉄板上で焼いて、出しています。なぜ20分? 生地の水分を飛ばすことなく表面を焼き固めるための時間とのこと。
かぶりつくとまずは、ふっと抜ける甘い香り。そして焼けた牛のにおい。甘いです。ハンバーガーが甘い。バンズは裏がゴワッと硬め。表面も同様にゴワッと。油で揚げたような硬さで、正直ちょっと邪魔な食感。その底で牛肉の風味は確かに機能。「クリクリ」とした粒感の挽肉で、「のめっ」と融けたチーズとの絡みもよく、フライドエッグもよくて、そのすべてが混ざり合った後味もなかなか好し。口中に味わい深い旨味が残ります。細いのとモッサリ太いのと2種類を組み合わせたポテトが大変効果的。
全体に塩辛さのないバーガー。バンズの「ゴワッ」とした食感と抜ける甘味が印象に強くて、その2点にだいぶ注意が持って行かれているように思います。正直ソレ「なし」で食べてみたいかな……。
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松戸の味を六本木に持って来ると「こんな感じに変わるのか」という驚きと発見のあるバーガーでした。都会的と言えば大いに都会的。なお、現在は予約制で、15分ごとに焼き時間を取って注文を受けています。次回は……チーズかな?
― shop data ―
所在地: 東京都港区西麻布3-2-9 サンライズ六本木B1F
東京メトロ日比谷線 六本木駅1C出口より歩6分 地図
TEL: 03-6434-7800
URL: https://www.instagram.com/aldebaran_burger/
オープン: 2018年6月1日
営業時間: 11:00〜21:00(LO20:00) ※売り切れ次第終了
定休日: 月曜日(要確認)