続きです。マクドナルドに敵わないこと……それは「話題性」という話の続きです。
どんなに腕の立つ専門店でもマクドナルドに敵わないこと……いろいろ浮かぶと思います。値段。立地。席数。店舗の規模。事業規模。そして桁違いの広告宣伝力。全て当たると思うんですが、最近私が痛感しているのは、それらを全て掛け合わせて出来上がるもの……つまり、それが「話題性」なんですね。
話題性。マクドナルドは「共通の話題」になるんですよ。「ドリフ観た?」「逃げ恥観た?」「半沢直樹観た?」とほぼ同じレベルで「マクドナルドの新しいの食べた?」「フィレオフィッシュおいしいよね?」という話題が、世間話や日常会話の中で十分成り立つんですね。今なお。「かつてそんな時代もあった」じゃなくて、「今もってなお」通じるところにマクドナルドの凄さがあります。
それについては「羨ましい」です。敵う・敵わないを超えて、羨ましいです。で、ここからは、私の個人的な意見や経験がだいぶ入った話をします――。
私も過去に何度かテレビやラジオに出させていただいたことがありますが、何でしょう……「この店のこのバーガーがイイ!」と、グルメバーガー店のことをどんなに私が熱弁しても、果たして「それで皆さん足を運ぶんだろうか?」ということを最近すごく思うんですね。
ラジオを聴いていると、「コンビニグルメ」の話とか「簡単レシピ」「100均グッズのアイデア活用術」とかいった話題の方が、出演者やリスナーの反応もいいですし、正直、私も聴き入ります。それは「自分と関わりのある」話題だからです。だからすぐに乗っかれるし、誰でもすぐにエピソードが浮かぶので、メールも集まりやすい。つまり「共感力」が強いんですね。そう、「話題性=共感力」です。マクドナルドは「共感力が強い」んです。
そういう共感力のある話題がとにかく私は羨ましくって。一方で「自分がラジオでしゃべった内容は果たして役に立っているんだろうか?」と考えるワケです。「知る人ぞ知る」レベルの、ごく狭ーい世界の話をしたところで、それはどれぐらいの人にとって「お役立ち情報」になるんだろうかと。どれぐらいの人が「自分のこと」として受け取ってくれるんだろうかと。
背の高いバーガーとか、ヘンテコなバーガーとかを取り上げる方がグルメバーガーの企画的にはウケるんだろうと思います。でも、そういうイッちゃってるバーガーばっかり紹介すればするほど「現実離れ」してしまうんですね。「自分とは関係ない世界」の話になってしまうワケです。なぜか? ハンバーガーは、世の多くの人にとって「マクドナルドがリアル」なんです。現実なんです。ですから、現実とかけ離れたものばかりにスポットを当てると、結果としてリアリティが無くなるワケです。
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そこがカレーやラーメンとの違いです。カレーやラーメンの世界には「マクドナルド」は存在しません。その分、もっと日常生活に入り込んでますし、もっと専門店の存在が認められています。どちらの方向にも裾野が広いです。その辺がハンバーガーとは事情が違うところです。ハンバーガーよりも「深化」しているところです。長くなったので続きは次回です。 (つづく)
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# これからのハンバーガー
# ハンバーガーを注文する際の失敗と対策
# 冬のハンバーガーはとろけるチーズ!
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# 「ハンバーガー」と「ご当地バーガー」を分けて考えたい
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# 「変わったハンバーガーないですか?」とよく訊かれます