いまあのデニーズ(Denny's)でハンバーガーが食べられる。日本のデニーズ45周年を記念して開催中の「ハンバーグ王決定戦2019春」エントリー6品中の1品として期間限定販売している。リリースこちら。
デニーズのハンバーガーは2014年、40周年記念の「アメリカンフェア」で販売されて以来5年ぶり。グランドメニューにハンバーガーは無い。普段あるのは「おこさまハンバーガー(おまけつき)」のみ。ゆえに今回なかなか貴重な機会だ。だとしたら、5年前のデニーズのバーガーを「なぜ私は食べていないのか」と言うと、それは出版の準備でそれどころではなかったから――。
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デニーズはそもそも米国カリフォルニア発祥のレストランチェーンである。だからハンバーガーはむしろ主力メニュー。私が09年に出版した『HAMBURGER STREET 創刊号』の表紙のバーガーは、実はイラストレーターGAO NISHIKAWAさんがLAの"Denny's"で食べたハンバーガーがモデルである。というぐらいなので、日本のデニーズがメニューにハンバーガーを置くことは、私は大賛成。むしろなぜ置かないのか不満に思っていたぐらいなのだ。
そんな中、この春登場したのがAll Beef ハンバーガー〜メルトチーズソース¥1,199(税込¥1,294)。ところがこれが、運ばれて来た時点で既に「3つ」の間違いを犯していた……。
まず、メルトチーズソースのない「All Beef ハンバーガー」として注文が通っていたのがひとつ目。店員に伝えてすぐにソースを付けてもらった。そして次、商品写真を見れば一目瞭然だが、明らかにタルタルソースが乗っていないのが二つ目。コレについてはもう何も言わなかった。気を取り直して、こちらの写真を参考にチーズソースをかけ、さぁ「上下を重ねよう」と思ったところが、なんと……上下バンズが「逆」である。これが三つ目の間違い。肉が乗っていたのはクラウン(上バンズ)で、見本通りそっちにチーズソースをかけてしまったので、組み立てるとチーズの垂れる方向が「逆」に……なんだ、そのバーガー。
パティは豪州産「麦黒牛」使用のつなぎ無し。サイズは推定120gぐらいか。同じAll Beefでも「ハンバーグ&サムギョプサルステーキ」のハンバーグとは別物。厚みや"ジューシー感"なども考慮してバーガー専用にパティを用意しているとのこと。
つなぎ無しなのはよいとして、パティに「味」が付いている。ビーフパティに香辛料による味付け。ベロンと大きなベーコンに塩気。かけるチーズソースも塩気があるので、味付け過多。しかもどれもがビミョーに遠慮し合ったような「ぬるま湯」的な味の集合で、グズッとスッキリしない渋滞を起こしている。その解消法はマスタード。塗ると締まってまぁちょうど。黄色いバンズはブリオッシュ風で、ザラッと少しドライ目な生地感。
良い点はトマトとレタスが適当な大きさにカットしてあり、食べやすかったこと。チーズソースは写真のような流れ出す感じではなかった。もう少し熱しないとね。
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全体に「様子を窺っている」ような造りで、やはりと言うかどうしてもと言うか、ハンバーガーを専門としない店が作るハンバーガーは「まぁこんなモンかなぁ」という、その懸ける思いや傾ける熱量のほどがよくわかる一品に仕上がっている。100品近くもあるファミレスメニュー「の1つ」なので、そうなるのはまぁ当然だろう。
ひと昔前=10年前なら、これぐらいでもどうにか通用したと思うが、今は世の中のハンバーガーのレベルがグンと上がってしまったので。つまりこの10年、15年で、専門店とそうでない店との「差」がそれだけ開いたということですよ。投票はしますけどね。
→ 【フィッシュバーガープロジェクト】 デニーズのサーモンバーグサンド
2019.4.9 Y.M