お待たせを……「この冬、各社の出すバーガーに"ある傾向"を感じている」件に決着を付けます。
§ §
日本は食べ物にやたらと「季節感」を持たせたがる。季節感など無くてもよい食べ物にまで春夏秋冬、四季折々のフレーバーを作っては「限定商品」として売りたがる傾向が極めて強い。そういう商売が世の大勢を占める中、我らがハンバーガーはむしろ極めてオールラウンダーな食べ物なので、「いつの時季が旬」とか、そういう発想がそもそも無いのだ。つまりハンバーガーに季節感なし――これがまず「前提」に思う。
だからこそ、例えば寒い冬には「鍋」や「ラーメン」などの温かい汁ものにハンバーガーは敵わない。その点は事実「弱点」として以前から言われてきた。特に「夏場」と「冬場」にハンバーガーは弱い。暑い夏はチリなどの「辛い系」が何となく定番化して来たが、問題は寒い「冬」の方である。
マクドナルド的な「冬」の定番は「グラコロ」。そういうものが食べたい気持ちは解かる。だからそんな感じの路線で、文字通り「冷え込む」冬のバーガー商戦に、何か局面打開の「強烈な一手が欲しいな」と思っていたところへ、ようやく見えたのが……チーズである。
各店が繰り出す冬の新商品の顔ぶれが何となくひとつ方向に揃ってきた。バーガーキングが「スノーチーズ WHOPPE」を、マクドナルドが「白星ダブルビーフダブルチーズバーガー」を、ウェンディーズが「マッシュルームメルトチーズベーコンエッグバーガー」を出して、そしてベッカーズが去年に続いて今年も「別格 ザ★オーバーフローチーズバーガー」を再発売したところで強く確信したのである。それは……冬のハンバーガーはとろけるチーズ!
冬にチーズ……。チーズの白を「雪」に見立てた「スノーチーズ WHOPPE」の発想はなかなかよかった。「白星ダブルビーフダブルチーズバーガー」も同じ路線。但し両者とも「とろける」ところまでは行っていない。その点、ウェンディーズの「マッシュルームメルト」は溶け出すチーズソースにシズル感があり、ビジュアル的な要件をより満たしている。チェーン店でないが、虎ノ門の「BeBu」でもラクレット風のチーズバーガーを出していた。そう、寒い冬場に重要なのはそのとろける「ビジュアル」である。各社各店、何となくその辺りに気づいてきたようで、来年はより一層「寒い冬にとろけるチーズ」の傾向が進むのではないかと想像される。
§ §
さてそんな中、ベッカーズ(Becker's)という店は冬場のみならず「常に」期間限定メニューにチーズを駆使して来た……という話を次回。 (つづく)
2019.2.26 Y.M