2019年の最初は大晦日に発表した「2018年最も印象に残ったバーガー5つ」の補足からまずは……。
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選んだ5つの傾向は鮮明です。「食べやすさ」と「わかりやすさ」、まずはココに集約されます。
食べやすいこと。それは「持ちやすい」ことでもあり、「あれこれいっぱい挟まない」「なんでもかんでも高く積み上げない」、つまり「シンプルなもの」ということになります。1ヶ月に1度とか、半年に1度「しか」ハンバーガーを食べない人なら、その貴重な1度にはゴージャスなハンバーガーが食べたいでしょうし、スペシャルなハンバーガーが食べたいでしょう。その気持ちはわかります。たまに食べる人の心理はそうだと思います。
一方、私にとってハンバーガーは「日常的」に食べるものです。食べる頻度が違うワケです。例えば、外回りの営業さんがいつもかならず立ち寄る定食屋でいつも頼む、何てことない「ふっつーの生姜焼き定食」が仕事の合間の楽しみになっているとか、食べると元気が出るとか、ホッとするとか……私にとってのハンバーガーとは、ハンバーガーのおいしさとは、そういうレベルのものなんですね。
飛び切り「スペシャル」でなくていいんです。豪華でなくていいんです。でもその人にとっては、それが飛び切りの「ごちそう」なんです。ご褒美なんです。食べられるだけで幸せになれるんです。私にとってそういう位置付けにハンバーガーはありまして、年末に選んだ5つのバーガー中の4つまでが、そういう「日常仕立て」なセレクトになっています。
そしてあらためて思うのは「造りがシンプルなバーガーほど力強い」ということです。
ありとあらゆるトッピングをうずたかくパンパンに積み上げた上から、味の濃いぃ〜ソースが「どびゃ〜っ」とかかったバーガーの方が、一見パワフルに思えますが、いやいやいや、トッピングを最小限に絞り込んだ、それこそ「パンと肉だけ」レベルのバーガーの方が、その全パーツの機能が最大限に発揮された時の出力・威力、いずれもトッピングだらけのバーガーをはるかに上回る力強さがあります。
いっぱい挟んだバーガーの方が確かに「いろんな味」はすると思います。東西南北・天地左右、いろんな方向に向いた味がバラエティ豊かに働くことでしょう。その状態をもって「味に広がりがある」という言い方も出来ます。味わいの「数の多さ」の点では、確かに挟み込んだバーガーの方が上です。
トッピングの点数が少なくなればなるほど、当然、味の「頭数」は減ってゆきます。ですからバーガー全体の味の向く方向は「単一」になります。単一方向に向かう味になり、その分、味わいが多方面に広がらずに「シャープ」になります。鋭くなります。そして力強くなります。味の指向性が狭い分、「圧」が増すワケですね。ゴムホースの口をギュッと潰して、口を狭めた時の水圧の強い水のようなものです。
グン! と突き上げてくるような、グイグイ攻め込んでくるような、そんな力強いおいしさのバーガーが私は大好きです。一日中忙しく働き回ってヘトヘトに疲れ切った身体や、感性がすっかり鈍ってピクリとも動かなくなった心が「シャキーッ!」と思わず目を覚ますような、そんな力強いバーガーを私は愛します。
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そういう骨のあるバーガーを求めると、結局、シンプルに行き着きます。複雑怪奇なものでなく、単純明快、わかりやすいバーガー。食べやすく、持ちやすく、かつ、お値段もお安め。だから毎日の楽しみになる――。
皆さまそれぞれにとって、ハンバーガーはどんな存在・位置付けの食べ物でしょう。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
2019.1.4 Y.M