8月6日月曜日にフレッシュネスバーガー 日比谷店1店舗&100食限定で販売された、「カレースター」の異名を取る研究家・水野仁輔氏調理の「基本のチキンカレー」のカレーライス¥1,080について、詳しく――。
記事の中でカレーライスに触れたことはかつてあったが、「カレーライスでひと記事」立てるのは、当ブログではこれが初めて。フレッシュネスにおいても皿に盛り付ける形でライスを提供するのは初だそうで。まさに異例の出来事。そのきっかけとなったのが「スパイスカリーチキンバーガー」の発売だ。
カレースター水野氏の監修により誕生した同商品。その使っているカレーソースを「ライスにかけて食べましょう」、しかも水野さん「自ら調理しましょう」――という異例の企画である。題して――フレッシュネスバーガーで水野仁輔のカレーが食べられるぞ!
このためにフレッシュネスは炊飯ジャーを新調。炊いたお米は100合、つまり1食=1合。カレーは水野さんのラボで調理してフレッシュネス日比谷店に持ち込み。その調理から提供までの「時間差」を計算に入れて、鶏肉はわざと「煮込まず」、なるべく「大きく切って」いる。火が入り過ぎると時間の経過とともに身がどんどん崩れてゆくのと、カレー味が滲み込む一方で、鶏肉そのものの味がしなくなるためだ。そんな目にも大きな鶏もも肉が3片、4片、ゴロリと入っている。
いざ食べてみると……おや? 甘くない。「スパイスカリーチキンバーガー」と同じカレーソースをライスにかけるものと思っていたのだが、そこを水野氏は「敢えて」レシピを変えて来たのだ。バーガーのカレーソースとは味が違う。
バーガーのカレーソースは甘い。フルーツチャツネ、はちみつなどで甘味を持たせているのだが、そこを「わざと」水野さんは甘くさせなかった。「今日食べて今日おいしいでなく、今日食べて明日おいしいカレー」というのが水野さんの思うカレーの理想である。だから敢えて「おいしくし過ぎないように気を付けている」というのだが、これは一般には伝わりづらいかも知れないが、大変重要なポイントである。
なお、これは「二日目のカレーがおいしい」という意味ではない。この日出されたカレーはむしろ逆。煮込んだり、時間が経過することにより増す「旨味」を追求するカレーでなくて、強く鋭いスパイスの風味や香りを重視したカレーだ。
使われているのは、まずホールスパイス(原形のまま)――1.シナモン、2.クミンシード、3.クローブ、4.メース、5.アジョワンシード――これらはまずはじめに油で炒める。次いでパウダースパイス(粉状)の、6.コリアンダー、7.カルダモン、8.パプリカ、9.ターメリック、10.フェヌグリーク、11.ローステッドレッドチリ――これらを途中で加える。ここまでスパイス11種類。仕上げにガラムマサラ。
とにかく甘味を排除したカレーで、大きく切った鶏肉に象徴されるように「ゴロッ」と粗いところがあり、でも雑な作りとはまた違って、要所要所にきっちりエッジが立っている。その粗削りな質感に「職人」の仕事を感じた。
よく考えたら赤や緑の彩りも何もない。商品と言うにはなかなか素朴。わざと彩度を落としてくすませたような、そんな一皿。
スパイスの専門家が"本性"を覗かせて作ったカレーは、町のカレー屋やエスニック料理店で食べるものともまた違う、硬派な、ストイックなものだった。お金には代え難い、貴重な体験である。
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カレーは記憶に残る。そして甦る。それは香辛料の放つ「香り」の力。香りは記憶に残るのだ。スパイスの調合によって作られた複雑な香りは、記憶の中で再現することが難しく、だからこそ気になって、また食べたくなる――それがカレーの魅力、カレーという食べ物の「常習性」だと私は思う。
ということでこの夏、カレーの「魔力」にしてやられた。
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