年内にどうしても行っておきたかった店のひとつがこちら。私はこの店の名を「SHAKE SHACK」の日本上陸2周年記念バーガーで知った――東京・神田の鬼金棒(きかんぼう)。当ブログ"初"のラーメン店の紹介である。
「SHAKE SHACK」の2周年で「KARASHIBI Burger(カラシビバーガー)」をコラボした鬼金棒。意表を突くようなそのバーガーの味わいにまず驚き、そしてそこに思いもかけない「深み」があることを知って、ぜひとも店でラーメンを食べてみたく思ったのである。
まずはカラシビ味噌らー麺¥800。「まずは」と言うか、こちらは「味噌らー麺の店」なので、基本はカラシビ味噌らー麺一品、あとはトッピングの量の違いやその組み合わせから出来たバリエーションだ。
「カラさとシビれ」が別個に調整出来る。「カラさ」すなわち唐辛子の辛さ。「シビれ」すなわち山椒の痺れ。どちらも「抜き」から「鬼増し(プラス100円)」まで5段階を指定可能。実際には中間の「ちょい増」なども出来るそうで、2つのバロメーターを調整しながら、自分にぴったりの配合を見つけ出す楽しみもあるだろう。「カラシビバーガー」にもこの「カラ」と「シビ」の2つのスパイスが効果的に使われていた。なお、両スパイスとも卓上には置かれていない。好みでかけるものでなく、注文時に分量を指定する仕組みになっている。
さて、いよいよ、どんぶり鉢が運ばれて来た……。
まずは山椒の香りのよさ。スープを啜れば味噌の香ばしさとマイルドな旨味。
味噌は鬼金棒オリジナルの調合味噌。独特の"樽癖"がある百年物の木樽で天然醸造&熟成させた信州味噌に、厳選されたチーズ(!)、ピーナッツペースト(!)、ナンプラー、そして各種スパイス・香辛料を加え、何度も練り上げて作ったという奇想天外なる一品。豚骨・鶏ガラなどによる"動物スープ"と"魚介スープ"の「ダブルスープ」を強火の中華鍋で一杯一杯、注文が入ってから香味野菜・味噌・唐辛子などと合わせて仕上げている。
野菜はもやしの炒め。炒める際の香り付けにショウガとニンニク。てっぺんに店のシンボル「金棒」に見立てた素揚げのヤングコーン。これは脇に大事によけておいて「いいタイミング」で食べたい。さらに「カラシビバーガー」で大活躍した角煮チャーシュー。オープン以来継ぎ足して使い続ける"秘伝のタレ"に漬け込んだ一品で、八角が利いて甘くジューシーなまとまりに。これも香りがよい。そして、意表を突かれたのが「麺」――。
印象は太麺のたくましい、堂々とした食べ口なのだが、実はこの麺、「中太麺」「中細麺」「細麺」という太さの異なる3種類の麺を混ぜ合わせた「三種混合麺」なのである。食べている時には気づかなかった。こうすることのメリットは、スープやスパイスがよく「絡む」こと。なるほど、一種類の太麺だけだと、こうして箸で持ち上げた時にボロボロと抜け落ちやすいが、この三種混合麺は麺同士の絡みもよいので、箸ですくいやすい。麺の硬さも注文出来る。余談ながら、麺を持ち上げる↑この"自撮り"がエラク難しかったことを付け加えておきたい。
それでこの日は「カラ少なめ」「シビ増し」で頼んだ。「カラ」は厳選された6種類の唐辛子を特徴に合わせて調合&香辛料をブレンドしたオリジナル唐辛子スパイス。「シビ」は和歌山産ぶどう山椒と四川産花山椒に香味野菜を加え、低温でじっくり加熱して作った"痺れ油"。この「シビ」にはけっこうヤラれる。何と言うか、ちょっと酸味のあるような痺れで、食後に水を飲むと如何に口の中が痺れているかがよくわかる。後味は味噌のおいしさ。「カラ」を抑えた分、味噌の旨味をじっくり・おだやかに味わうことが出来た。
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顔から頭のてっぺんから思いきり汗をかきながら「アツアツを啜る」という行為――まず根本的にラーメンのそこが「イイ!」とあらためて思った。特に寒い冬場にはなくてはならない「季節感」がラーメンにはある。ハンバーガーには乏しい季節感がある。
そして唐辛子や山椒、味噌の調合から引き出される旨味や深味に、ハンバーガーにはない奥行きを感じた。私が一番気になるのは、このラーメンを外国人が食べていること(鬼金棒の客の3割は外国人)、そしてシェイクシャックのメニュー開発ディレクター、マーク・ロザッティ氏が痛く気に入ったということだ。「彼らにも理解出来る味なのだ」と考えてみると、今よりもっといろいろなアプローチの仕方がハンバーガーにもあるのではないかという風に思えてくる。
とにかくコレはクセになる。山椒の香りのよさと味噌の旨味――これで食べる一杯。シェイクシャックのマーク氏も惚れ込んだ一杯。これぞ日本のラーメンの実力! 日本のハンバーガーも続け!
→ # SHAKE SHACK [外苑前] のKARASHIBI Burger――日本上陸2周年記念限定バーガー、あす11月11日(土)400個限定販売!
― shop data ―
所在地: 東京都千代田区鍛冶町2-10-9
JR神田駅東口より歩3分
東京メトロ銀座線 神田駅3番出口より歩2分 地図
TEL: 03-6206-0239
URL: http://kikanbo.co.jp/
オープン: 2009年9月
* 営業時間 *
月〜土: 11:00〜21:30
日曜日: 11:00〜16:00
定休日: 無休(要確認)