2016年05月23日

# 351 自由が丘バーガー [自由が丘]




 自由が丘(じゆうがおか)と言えば、昨年7月にオープンして以来「BAREBURGER」が話題だが、実はよく似たコンセプトの店が既に2008年から自由が丘にあった。開業から8年を経て今もっと注目されてよいその店の名は……自由が丘バーガー(じゆうがおかバーガー)。

 そのコンセプトはオーガニック。そしてナチュラル。この小さな自由が丘の町に日米のオーガニック&ナチュラルなバーガーショップが奇しくも2店並び立っている。



●オーガニック

 今ようやく時代が追い着いてきた感じだろうか。オーガニックに関して自由が丘バーガーはそれぐらい動きが早かった。「ハンバーガーをやるならジャンクでなく、オーガニックを」――これは店主・村上さんのお嬢さんの提案である。


 だがバーガー1個完全オーガニックは出来ない。特にレタスが難しい。今はなるべく農薬を抑え、有機の土を加えて栽培した茨城のレタスを使っている。トマトは農家直。たまねぎは淡路直。ジャガイモはニセコから。全国の生産地に足を運び、卸してくれる農家を自力で当たったりもした。


 調味料やドリンクもオーガニック。カントリーハーヴェストのオーガニックトマトケチャップは中でも人気が高い。有機栽培珈琲、有機栽培紅茶、国産有機レモンのレモネード、有機みかんジュース。さらに有機農法ビール(※JAS有機ではない)にオーガニックワインまで。

 出来上がってきた店のロゴデザインを見た時、「体にやさしいもの、チェーン店とは違うものを出そう」と決意。だが、ただ体によいというだけでは受け入れられない。自由が丘という場所は「皆さん舌が肥えているから」「食べておいしいものを作らないと」と村上さん。

●レイラ

 ここで歴史を――。


 自由が丘育ちの村上さん。1975年、20歳のときに南口でコーヒー&スナック「レイラ」を開業。アメリカンスタイルの店でハンバーガーも出して雑誌に載った。全部手作りに出来ないかとバンズ作りにも奮闘。自由が丘にマクドナルドが出来たのはその数年後のことである。

 なしにろマクドナルドがキラキラ輝く高級店だった頃の話である。お隣・田園調布にKFCが出来て皆して買いに通った時代である。ハンバーガーなんて食べたことのない人がほとんどだった。「自由が丘にウェンディーズが出来たのは大きかった」と村上さん。

 話戻って。続いて村上さんは六本木に進出。バー「クレイバー」を出すがヒルズ建設に伴い立ち退いて、西麻布に移転後は「オールドレイラ」というカウンター10席の小さなバーをやっていた。そして「そろそろ自由が丘へ帰りたい」と戻ってきたのが8年前――。

●テラスの店

 ビル4階の店で、いざ上がってみると想像よりこじんまりしている。手狭な中をうまく工夫している感じだ。


 席数18席。店内はテラスがほぼすべて。バーカウンターのスツールは昼間は下げている。

 気候のよい初夏の今ごろはテント屋根は畳まれ全開。青空の下で食事ができる。でも台風が来たらアウト。椅子机は雨に濡れても大丈夫なものを選んだ。「ここはアウトドアの店」と村上さん。


 さらに2015年6月19日、羽田空港第2ターミナルビルに2店目を出店。この2号店は「仕込み場」としての機能も兼ねており、羽田オープンから最初の約1年、村上さんご夫妻は朝6時に行ってまず羽田の分の仕込み、ついで自由が丘の仕込みをして運んで来るというハードワークをこなした。

 そんなナチュラル&オーガニックのハンバーガーショップ。自由が丘店のバーガーメニューは全8品。鶏魚の"非"バーガーなし。好感! 本日は自由が丘チーズバーガーR¥1,240。

●スチームコンベクション

 パティはレギュラー160g、スモール95g。大分産の国産牛使用。最初は和牛だった。ブロックで仕入れてミンチに。これを羽田でやっている。中にスパイス。


 そしてここからちょっと変わった調理法。スチームコンベクションで加熱後、バーナーで炙っている。オニオンも同様。バンズはトースターで。さる老舗ベーカリーの特注。無添加・乳製品不使用・天然酵母。サイズ80g。「オリジナルバンズ」と「くるみとライ麦バンズ」の2種類あり。

 チーズは専門店に頼んだチェダーとステッペンを自前でブレンド。溶かして滝が流れるように見せた。「ワッ! と思わせたい。そこは原価考えない」。

 サイドのポテトは通常はニセコ産の無農薬のキタアカリ、この日は十勝産有機栽培のサヤアカネ。ランチは無農薬のサラダと季節のフルーツ付き。


 変に角なくトゲのない、しかし"厚み"を感じるバーガー。ライトで軽快、ヘルシーな雰囲気をまといながら、食べどころはしっかり押さえていて、正しく着地点を持っている。なるほど、土地と場所・客層を熟知した味の組み立てだ。

 合わせた「国産有機レモンのレモネード」¥490がおいしかった。味の出方がすばらしい。

§ §

 こうなると気になるのは第2ターミナルの羽田店だ。何でもオンシーズンには桁外れな数が売れるそう。来月16日で一周年なので、それにあわせて取材しようと計画中。どうぞお楽しみに!



# 自由が丘バーガー [自由が丘] の人生バラ色? ピンクバーガー

― shop data ―
所在地: 東京都目黒区自由が丘1-3-15 4F
     東急電鉄 自由が丘駅歩3分 地図
TEL: 03-6459-5133
URL: http://jiyugaokaburger.com/
オープン: 2008年11月1日
営業時間: 11:30〜16:30(LO16:00), 17:30〜22:00(LO21:00)
定休日: 月曜日(祝日営業。要確認)

2016.5.22 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 14:38| 東京編◆東部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする