2016年01月10日

# 347 Rich Garden [大阪・なんば]




 いま大阪で勢いのある店、続いてはRich Garden(リッチガーデン)。場所は心斎橋「アメリカ村」にあると言うが、果たしてどこからどこまでがアメ村か、率直なところわかりにくい。

●アメリカ村

 「ここからここまでがアメ村」と線が明確に引ける場所でもなく、また公式サイトが示すこの区画の中のどこも一様に古着やスケボーやアメカジのテイストを呈しているワケではないので、「アメ村の……」と聞くと、いつも「アメ村のドコ?」と言いたくなる。

 店の最寄り駅を特定するのが難しいエリアだ。距離で言うなら地下鉄四ツ橋線なんば駅26-D出口から徒歩3分が最短だが、路線の利用頻度を考えれば、御堂筋線のなんば駅25番出口から徒歩5分の方が妥当だろう。




 1960年代の後半より若者のカルチャーと密接に絡んだ、つまりけっこう俗っぽい場所である。店主・安藤さんが見つけた今の店の場所も、以前は黒人がTシャツを売る店だった。


 ←は道頓堀界隈のお決まりの写真……だが、あまりに定番過ぎて今回一枚も撮らなかった。だからコレは10年以上前に撮影したものである。

 10年前のアメ村はちょっと物騒(ぶっそう)で、敬遠される向きさえあったと言うが、今では家族連れが訪れるまでのお出かけ・観光スポットに一変……。


 →の左の一枚も上と同じ2003年に撮影したアメ村付近の写真である。「大阪帝国ホテル」という大変まぎらわしい名前のホテルがあって、13年後の今、そのすぐ近くにリッチガーデンがある。

 店主・安藤さんは大阪の生れ育ち。大学を出、デザイン会社に就職して、3年間を"名古屋"で過ごした――これが運命の分かれ道。

●ラーメン屋を経営

 ずっと飲食業がしたかった安藤さん。サラリーマン生活ではどうにも日々輝かない。頭の中に飲食のことがずっと引っ掛かっていたところへ「ラーメン屋しないか?」と誘われた。これぞ引き寄せの法則。


 「ラーメン屋にはすべてのノウハウが詰まっている」と考えた安藤さん。原価率の設定、ロスの回避……何冊も本を読み勉強した後、半年そこそこで会社を辞めて、そのまま名古屋で2年半、ラーメン店を経営。それも2店。

 つまり安藤さんは「ラーメン屋を経験してハンバーガー屋を始めた」という特異な経歴の持ち主である。

 2年半にわたりチェーン店2店のフランチャイズを経験した安藤さん。「これ以上ラーメンをしてもそろそろ意味がない」と思える時期が来たので店を手放し、大阪へ戻ったが、その胸の中には早くも「地元大阪でカフェを展開する」というアイデアを温めていた。

●ど真ん中にキッチン

 「カフェ」と言っても「どこまでがアメ村?」に負けないぐらいぼんやりと、あるようで範囲のない業態……。


 その情報収集の途中、雑誌『HAMBURGER STREET』を見たりなどするうちに東京・原宿の「THE GREAT BURGER」の写真を見て「やりたかったのはこの世界観だ!」と開眼。カフェという世界観にハンバーガーという輪郭が加わった。

 場所は角地の24坪。まさにイメージしていた広さ。その中央に、しかも少し斜めにキッチンを据えた。かなり大胆なレイアウトだ。利点は店内を全体に見渡せること。欠点は「動きにくい」。

 24席。みごとなまでに居心地の好い「カフェ」である。工務店の友人と打ち合わせてデザイン。インテリア・家具の類は全て安藤さんが揃えた。実は家具の販売もしている。ソファに注目。「値札」の付いたものは売り物である。実際に売れたものもある。限りなく低予算で模様替えしてゆくためのアイデアだ。


 名古屋から戻ってわずか半年後、2013年7月19日にオープンも、出だしは閑古鳥。軌道に乗ることなく半年を送るが、同年暮れから手応えを感じ始め、去年の頭ごろから利益が出始めた。それなりに「俗」な場所であるにも関わらず、そのオシャレな店内に魅せられて、客層の7〜8割は女性。週末には子連れ・赤ちゃん連れも来店する。

 ハンバーガーは12品+月替り1品。酒の「あて」になる一品料理が豊富で18品。52銘柄ある世界のビールは男性に人気。ごはんもの5品。スイーツはフレンチトーストほか3品。人気のパンケーキは終了。

●我流でやってみよう

 本日は基本のチーズバーガー¥900。ラーメン店はしていたがハンバーガーは初めての安藤さん。研究はもっぱら食べ歩き。どこの店へ「修業」しに行くでもなく、「ひとつ我流でやってみよう」と決意した。


 「ハンバーガーってこんなもんやろ」という侮りが最初はあった。しかしいざ作って食べてみるとどうも満足出来ない。ソースを変えたり、パン屋と打ち合わせをしたりするうち、最も大きく変わったのが「肉」である。

 オージーのモモ肉に和牛脂を加えた120g。中にガーリックパウダーと塩コショウ。当初細挽きだったが満足ゆかずに粗挽きに変更。電熱式のグリラーでグリルしている。

 パティが確立した後、次に積む順番を変更。それまでヒール(下バンズ)の上に野菜を乗せていたが、今は肉を上に。さらにソースを追究して静岡の炭焼きレストラン「さわやか」にヒントを得た「忘れられない」味のオニオンソースを今はヒールに塗っている。

 バンズは写真を持ってパン屋をぐるぐる30軒回り、各店が出したサンプルをもとに、色つや・形・風味を吟味の末、北堀江にある山本珈琲 堀江直売所に依頼。サイズ70g。焦げ茶色の表面から芳ばしいにおいが漂う。


 対して肉は「ぷり」「くたっ」とやわらかな食べ口。電熱特有のコゲの風味の中、赤身の味わいが感じられる。底に引かれたオニオンソースと混ざってか、若干「餃子」的な味付けに。オニオンソースは甘味も発揮。マヨソースも同様、甘味を引き出す好い役割。野菜がウンと冷たい。トマトはウンと厚切り。

 コゲが付けられるグリラーの特徴を活かしたバーガーで、そのやや力技な味付けともどもに「肉」のよさを楽しむことが出来る。店構えが示す通りの都会的な雰囲気に期待通り応えた一品。あとこれに造形美が伴えば尚好し。

§ §

 3月梅田に2号店をオープンすることを発表、いよいよ波に乗るリッチガーデン。ラーメン店2店の経営というその貴重な経験は、ハンバーガーだけを目ざしてきた店とは異なる経営センス、バランス感覚をもたらし、他とは異なる魅力を以後どんどんと放ってゆくことになるだろう。そんな大阪中が大注目の一店!




― shop data ―
所在地: 大阪府大阪市中央区西心斎橋2-13-5
    地下鉄御堂筋線 なんば駅25番出口歩5分 地図
TEL: 06-6210-5885
URL: http://www.richgarden2013.com/
オープン: 2013年7月19日
* 営業時間 *
平日・日曜: 11:00〜23:00(22:30LO)
金曜・土曜: 11:00〜24:00(23:30LO)
定休日: 月曜日(要確認)

2016.1.10 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 22:00| 西国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする