2015年12月13日

# 344 BURGERLION [大阪・阿波座]




 大阪でいま話題沸騰のコノ店、BURGERLION(バーガリオン)の登場――。

 近畿のバーガー好きの誰もがコノ店の名を口にする。場所は阿波座(あわざ)。地下鉄千日前線なんばから3駅。今回初めて降りたが、店主・西村さんも店をやるまでは降りたことがない駅だった。

 開業にするに当たり、(うつぼ)公園周辺が「環境がよい」と聞き、見に行ったところが確かによくて気に入り、そこで友達の友達に当たる不動産屋に物件を探してもらうも、見つからず。そのうちに「ウチのココ使い」と言われ、不動産屋の事務所だった場所を明け渡してくれた――(笑)。

 当初居抜きで考えていたので、ガスも電気もイチから通して予想以上に費用がかかった。だから外装にお金をかけられず……という話なのだが、同ビル3階に移ったその不動産屋の真っ赤なテント看板がモノを言って、自前で用意する外装よりはるかにわかりやすいランドマークになっている。



●Part1: 開業まで

 今をときめくバーガリオンが如何にして出来たか――以下はその検証のストーリーである。但しちょっと悶々としたところがあるので注意。


 マクドナルドのハンバーガーに野菜を足してみたり、ソース入れたり、またソレを友達に食べさせたりするうちに「うまいな」と言ってもらえる喜びを知ったのが西村さん中学生の頃。当時は焼き鳥屋か唐揚げ屋がやりたかった。

 高校生になってアルバイトを始めるが、「ただ決められた物を出す」という飲食の仕事に違和感を持ち始める。大学へ進学。歌、ラグビー、格闘技、何をやっても自己満足以上のものが出せない。「優勝した!」というような達成感が何をやっても得られなかった……と、またも燻ぶる西村さん。


 「男なら営業やっとけよ」と伯父さんから言われ、その通り卒業後は医療機器メーカーの営業を約3年……どうもしっくり来ない。これをずっと続けてゆくのも違うよな。では何やりたい……と、子供の時に思い描いた"店"をまた思うようになった。

 そこへ親しい友人が飲食の事業の話を持って来てくれた。だが頓挫。それで逆に火がついた西村さん、別の仲間たち4人と「仲いい友達ばかり集まってのんびり出来る店」を作ろうという話が進み、しかし進めるうちに一人抜け、二人抜け、気がつけば西村さんだけが借金を背負う状態に。会社も辞めたし「ここまで来たらとめられへんな」と退職後約7ヶ月でバーガリオンをオープンした。

●Part5: 佐世保、東京、大阪の名店

 当初焼き鳥屋にしようかハンバーガー屋にしようか迷っていた。近所のハンバーガー屋が4ヶ月で潰れて「向かないのかな」とも思った。


 だが佐世保へ行って人気店に行列が出来るのを見て「いけるんちゃうか」と思うようになり、さらに東京へ行ってその質のあまりの高さに打ちのめされる。それまで重ねていた試作・研究すべてし直し。大阪No.1のバーガー店「CRITTERS BURGER」とフレッシュネスバーガー(かつて「NICK&RENEE」の林さんが店長をしていた店)を掛け持ちして研鑽を積む――ここまでが前史。

 2012年10月、いざ開けてみると「おいしい」とは言われるが売り上げが伴わない。立地は悪くないと思っていたが、店の前を通る人は地下鉄に乗り込むばかり。平日で売って「定休日は日曜かな」と思っていたところが、地元住民などを中心にむしろ週末こそにぎわって、これも見込み違い――「完全に勢いで始めた」。

 2年目にどうにか上向くも「でもこのまま同じ感じで行っても……」と迷っていたところ、中小企業の集まりに誘われ、そこでどういう思いで開業したか、店を始めるまでの経緯を学生の前で発表する、という機会を得た。


 なんで店やりたかったん? ――20歳の頃、何度も友人と話した「アメリカでハンバーガー売るの面白いな」という夢の存在を思い出し、さらにこれをきっちり落とし込むため「理念」作りのセミナーに参加。ブレブレだった経営姿勢が以後どんなことがあってもブレずにカチッと決まった。

 今年2月に売り上げがポンと上がり、以降高水準で推移。具体的な「次」の計画も立てられるようになった――そして現在に至る。

●Part8: ジョジョリオン

 ハンバーガー28品。サンド3品。最初はいつものチーズバーガー¥950。

 パティはこの3年で3度変化。国産牛のみだったのが、今は国産牛の挽肉にダイス状にカットしたオージーを加えた120g。たまねぎ・スパイス入り。ガスの直火でグリル。


 バンズは土佐堀の人気店「にちにち」作。バーガリオンだけのために使っているという北海道産小麦にイーストはホシノ天然酵母。ショートニング不使用。無添加。

 角切りの肉が利いてグリッとした噛み応えのパティは、それに加えて少しとろけるような、ジューシーさが特徴。一方で肉自体への味付けはやや多く感じる。全体の味はマヨネーズ主体。バンズはクラスト(表皮)がプチッと弾ける食感。レリッシュにはたくあんとしば漬け、日本の漬物を加えており、なるほどそんな食感。オニオンもその中に。トマトは硬めで大きいものを厳選使用。チェダーチーズのとろけ感も好い。


 食べた一個の印象と満足を強く持たせようと工夫した、強めな味のバーガー。味を放つものの多い、すなわち出力の強い、豪華でにぎやかな一品。

§ §

 店名は『ジョジョの奇妙な冒険』の第8編『ジョジョリオン』より←正直私は全く興味ナシ。だが、何やら「輝かしさ」のある好い響きに思う。

 今の店を土台にもう少しダイナーとして広げた感じの店を近々やりたいと考えている――と西村さん。いま大阪で最も勢いのある店。夢はアメリカに店を出すこと。動静が注目される。




― shop data ―
所在地: 大阪府大阪市西区京町堀3-8-9
     市営地下鉄千日前線・中央線 阿波座駅歩2分 地図
TEL: 06-6450-8145
URL: https://www.facebook.com/Burgerlion/
オープン: 2012年10月1日
* 営業時間 *
月〜土: 11:30〜22:00
日曜日: 11:30〜20:00
定休日: 不定休(要確認)

2015.12.13 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 21:23| 西国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする