次はハンバーガー屋でなくサンドイッチ屋の話――。
当ブログのタイトルは「ハンバーガーストリート」だが、サンドイッチも同様に取り上げることにしている。
むしろサンドイッチは今すごく興味のある分野で、昨今アメリカ料理が大きく見直され、その紹介・導入が相次ぎ進む中で、サンドイッチにもアメリカ的なスタイルが取り入れられて、コンビニのサンドイッチでさえ以前のような「三角」「四角」だけでは済まなくなってきたことは、皆さまも感じておられる通り。
だから「サンドイッチをサンドイッチとして」掘り下げる店は、ハンバーガーでないものをハンバーガーとして扱う例よりむしろはるかに積極的に、進んで・勇んで取り上げたいと思っている。
ということで以下少し短い記事だが、大阪は西区・西本町にこの秋オープンしたGood Time(グッドタイム)について。
最寄り駅は地下鉄御堂筋線・四つ橋線・中央線の本町(ほんまち)。オフィス街の中心からはやや離れたところに位置。今年9月1日にオープンしたばかり。店主は女性、山城さん。大阪出身。
山城さんは東京は世田谷・三宿(みしゅく)にあるサンドイッチレストランの老舗「FUNGO(ファンゴー)」にいた人。大阪でハンバーガー屋を始めたいと計画、「とりあえず東京行こうと思って」都内の店を調べるうちにファンゴーを知った。
キッチン仕事が勉強したかった山城さん。ファンゴーなら「中(厨房)も外(ホール)もどちらも出来る」と聞いて、一人で食べに行き→会計時に履歴書提出(笑)→そのまま面接→採用。2年半勤務。
お父さんが沖縄の人で、沖縄へ行くと「A&W」などよく連れて行ってもらった。店の空気感が好きで、その辺からハンバーガー好きに。
当初、友人と2人でやる予定でいたのが計画変更、急遽山城さん1人ですることに。先延ばしにするか迷った時「やりたい方が勝った」。そうなるとサンドイッチの方がよりいろいろ出来るし……と、生まれたのがグッドタイムである。
イートインは諦めて6坪くらいの小さな店を考えた。今の場所は6.5坪。今年1月に建ったばかりの新築マンション1階で、求めていた「全面ウィンドウ」の条件にも適い、一番初めにいいなと思った物件。即申し込むも先約あり。ところが審査の結果、こちらにチャンスが巡ってくるというラッキーな展開に。
近くに靭(うつぼ)公園という大きな公園がある。やるなら「公園のそば」と決めていた。ファンゴーのようにすぐ向かいではないものの、至近。テイクアウトして園内のベンチで食べられる距離。おかげで公園利用客の利用は多いそう。お客さん一人一人と対面できる規模の、地域に愛される「ローカルショップ」を目指していた山城さん。その思いはまさに叶ったようで。
持ち帰りのみ、イートインスペースのない店である。店内はほぼキッチン。敢えて「見せる」厨房でライヴ感を出し、テイクアウトまでの工程を見て楽しめるような空間に工夫。だからキッチンと待合スペースとの間仕切りは「窓枠」のみ。これは米国で実際に使われていた年代物の本物である。その周りをカフェ風な雑貨・アンティークでコーディネート。メニュー表や貼り紙も一々オシャレ。店舗デザインは和泉市のFolkさん。
テイクアウトの包装、半透明に透ける袋のセンスも実に秀逸。見ればかならず「私も欲しい」と思わせる、女性らしさ・女の子らしさを随所に感じる可愛らしいラッピング。なお↓"手タレ"は滋賀・大津「AUNTY-MEE burger」の店長。
この場所・この業態、正直オープン前は不安だった。しかしいざフタを開けてみると完全に期待以上、おかげさまで大反響とのこと。犬を連れたご婦人や、遅めの昼食をとる勤め人、近所の外国人など、訪ねた平日の昼下がり、来店者は引きも切らず、途絶える瞬間は無かった。近所に外資系の企業があって、そこの社員も広めてくれているという。
サンドイッチは現在11品。パンは1種類。近所のパン屋作。サイドメニューにフィッシュ&チップス、フレンチフライ、オニオンリングなど揚げ物も付けられる。本日は看板メニュー自家製ベーコン(BACON SANDWICH)¥800。
ベーコンおよびコンビーフはファンゴー譲りの自家製。店の外に置かれた黒いスモーカーが白煙を上げていれば燻製中。分厚く切ったその自慢のベーコンがゴツゴツと挟まる。その他にんじん、赤・黄パプリカ、レッドオニオン、細切りのレタスなど、どれも敢えて"エッジ"を利かせて、コリコリ・シャキシャキと歯応えを強く感じさせる調理の工夫。それらが「はち切れん」ばかりに挟まって、みずみずしく、そして非常に「立体」を感じさせるサンドイッチ。そう、2015年のサンドは、かつてのような「三角」「四角」の平面的・二次元的な食べ物では既に全く無いのである。
§ §
ずっと以前から決めていたものという店名が秀逸。クラシカルなテイストのこれまた秀逸なロゴデザインは、和歌山のBAUM ART STUDIO西村さんの作。そして店内BGMのフランク・シナトラは今さら言うまでもなく秀逸。
きっとこれまであまり大阪に無かったであろう、新しい時代と感覚の訪れを告げる店に思う。山椒は小粒でもぴりりと辛い――そんな店。
― shop data ―
所在地: 大阪府大阪市西区西本町1-13-33
大阪市営地下鉄 本町駅歩4分 地図
TEL: 06-6538-0317
オープン: 2015年9月1日
* 営業時間 *
月〜金: 8:00〜17:00
土・祝: 11:00〜17:00 ※パン無くなり次第終了
定休日: 日曜日(要確認)