2015年09月15日

# 339 Gastropub GOZO [下北沢]




 新宿三丁目の人気店「Brooklyn Parlor」の初代料理長・小西さんが始めた店。Gastropub GOZO(ガストロパブ・ゴゾ)。去年2014年8月1日オープン。

 「GOZO」で検索すると、渋谷の「GOZO-Cafe(ゴゾーカフェ)」なる店が出て来るが、こちら小西さんの店は「ゴゾ」。伸ばさない。はるか地中海の島国マルタ共和国を構成する3つの島のうちの1つ「ゴゾ島」がその名の由来である。



●ゴゾ島

 オープン前のある時期、小西さんはマルタ共和国へ行っていた。長期のヨーロッパ旅行に際してマルタに暮らすフランス人の友人宅をその拠点に出来ないかと考えたのだ。


 マルタはマグロ漁で知られる。日本の商社の事務所もあれば、寿司屋もあり、公用語は英語。十何年勤めたブルーノートジャパンを退職したこの好機、折角なので今まで出来なかったような経験がしたいと現地でしばらく働く道を探ったが、就労ビザの取得はさすがに厳しく、3ヶ月、地中海の美しい島の暮らしを心ゆくまで堪能した後、心身ともにフル充電で日本に戻った。

 マルタから帰って、友人の店を手伝っていたところに「こんな物件あるけどやってみない?」と知り合いから言われたのが今のこの場所。だから物件探しはしていない。十数年来ずっと下北沢の住人だった小西さんの地元のアドバンテージと言ったところか。


 築40数年。住居を無理やりカフェにした店舗の跡。階段を上がった2階の店だが、玄関を入ったすぐから既にゴゾの店内である。今回のゴゾオープンのために床や天井を抜く大掛かりなリフォームをおこなった。厨房脇のタイル壁の一間はかつて浴室だった場所。

 凹凸の付いた壁のブリキ板は飾りでなく、建物本来の壁。古くなった壁板を剥がしたところ中から現れた。随所に見られる古材は、鳶職人の友人が九州から送ってくれた建築現場の足場板。

 照明、壁に下がる鍋、写真のパネルなどは、さる有名な洋食店が店じまいするに当たり、もらい受けたもの。ズッシリ重たいカトラリーが特にすばらしい。こうした昭和の老舗洋食店の格調高い道具や意匠が"DIY"な店内にうまく融け込んで、絶妙に「シモキタ」的なテイストを醸し出している。

●ブルーノート

 小西さんは九州は長崎県・島原の出身で、高校から福岡へ。その頃、中洲の「ハンバーガー リサ」はまだあったそう。福岡ではバーテンダー、酒を扱う仕事をしていた。


 22歳で上京して調理の仕事に。青山辺りのカフェを転々とした後、ブルーノート・ジャパンに就職。「ブルーノート東京」に8、9年。ブルックリンパーラーに3年半。他の系列店の応援にも出向いた。

 ブルーノート東京のキッチンにはステージの演奏が常に流れているそう。1stステージが終わったら、短時間で手早く出演者の食事を出さなくてはいけないので。舌もさることながら耳も間違いなく肥えたろう。好きなアーティストは誰か訊かなかったが、ゴゾの店内、マイルス・デイヴィスのLPジャケット2枚の間にジョー・サンプルのポートレートが飾ってあったので、きっと特別な存在であるに違いない。

 これが飲食歴20余年の小西さんが初めて構える自分の店である。ところが「どういう店をやろう」という青写真が全く決まっていなかった。そこでブルックリンパーラー時代にお世話になった木内酒造の専務に相談。そうして常陸野ネストビールをフィーチャーしたパブが下北沢に誕生した。

●ネストビール

 食事とお酒が両方イケる店。だからガストロパブ。英国にある店のスタイルである。ビール1杯から楽しめる一方、食事をしたければしっかり食べてももらえる――それがコンセプト。

 その点ブルックリンパーラー的でもある。いろんなメニューがあって、おしゃべり、お茶、食事、コンパ、いろんな使い方ができる。そんな現在知られるブルックリンパーラーのスタイルも、料理長小西さんらがゼロから工夫して確立・定着させたものである。


 ハーレーダビッドソンのために貯めたお金を投じて購入した冷蔵庫は、木内酒造でカスタムした特注品。樽生10本が接続可。現在10本中8本までが木内製。

 料理も多彩。「何屋なんですか?」と言われるぐらい品数豊富。「自家製ポークジャーキー」「焼とうもろこし パルメザンチーズ風味」「キノコとチーズのスペインオムレツ」「本日のお魚のタジン」「リブアイステーキ(200g)とフレンチフライ」「鴨むね肉のロースト ベリーソース」……これで十分伝わるだろう。「本日のパスタ」の麺は新代田のラーメン二郎より分けてもらっているもの。

 ハンバーガーは今春より開始。メニューは2品。本日チーズバーガー¥1,200。

●峰屋

 作りもサイズも雰囲気もおおむねブルックリンパーラーを継承しているが、トマトソースは入らず。底のマスタードのみ。


 パティは外国産牛100%・150g。産地は都度、肉屋任せ。脂の少ない赤身だけを「いいとこ取り」して自家挽きしている。ギュッまで行かない「キュッ」と硬めな結着。鋳鉄製の小さなフライパンでグリル。淡い絶妙な塩気に赤身の芳ばしさ。そこへ生オニオンの辛味。チーズの焦げ味と肉の芳ばしさが淡く重なり、じんわりとしたおいしさ。

 当初バンズは店で焼いていたが、個数の増加に伴い、8月より新宿「峰屋」に依頼。オーバー気味な発酵で横に広く、硬めに焼けてカリッとした歯応え。レタスもふんだんに挟み込まれて幾重にも食感が感じられる。

 じんわり迫る味わいに、しっかりとした食べ口でお腹にたまる一品。サイドはサラダかポテトから選択可。トッピングは今はアボカドのみ記載あり。

§ §

 南口商店街を下って行って、急に道が広くなる交差点を右に入って行った奥にある、下北らしい一店。フードメニュー、載っているだけでざっと43品。常陸野ネストビールのドラフトばかり8種類。そのキラーアイコンとなるか、ブルックリンパーラー初代料理長・小西さんが作る入魂のハンバーガー!




― shop data ―
所在地: 東京都世田谷区代沢5-35-8 2F
    小田急・京王 下北沢駅歩3分 地図
TEL: 03-6321-6311
URL: https://www.facebook.com/GastropubGOZO
オープン: 2014年8月1日
営業時間: 18:00〜26:00
定休日: 火曜日(要確認)

2015.9.15 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 21:23| 帝都編◆都西 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする