都心の四月はぐずついた天気がずっと続いていて、いつまでもすっきり晴れない。この写真も本当はもっと気持ちのよい暖かな春の陽ざしの下で撮りたかった――が、まぁ仕方ない。東京・虎ノ門BeBu(ビブ)のコレは春の限定メニュー、その名もスプリング¥1,836。
ディル、クレソン、イタリアンパセリ、ラディッシュ、ラディッキオ(トレビス、またはレッドレタス)、シブレット――計6種のハーブからなる「スプリングハーブサラダ」とホワイトアスパラガスが乗る、まさしく萌え出でし春の若草を摘み集めたような一品。
運ばれるなりツーンと鼻を突くビネガーのにおい。ホワイトバルサミコとオリーブオイルを和えてサラダのドレッシングにしている。ハーブそれぞれも、あるいは苦く、あるいは青くさく、「春」の芽吹きを思わせる"草"のにおいをそれぞれに強く持っており、それはもう"イヤ"と言うほどに「春」を感じる。
――というこの時点で、人によりかなりはっきり好みが分かれるメニューだろうと思う。味についてはそうだ。だがひと口目、かぶり付いた瞬間のその「肉のやわらかさ」には誰もが一発KOさせられるに違いない。
豪州牛モモ肉のブロックをブッチャールームで出来る限りの粗挽きに挽いた自家製140gパティ。中心には噛む歯に「グリグリ」と小気味よい弾力を与える赤味部分を残しながら、その周りは「ふっわ」と空気を含んだかのような軽〜い食べ口で、その外と内の食感の"同居"がみごと。他のどの店のバーガーとも違う素晴らしい焼き加減だ。
バンズは打粉をかぶった特注。やはりかぶり付いた瞬間に立つ表皮の芳ばしさが好い。さらにパルマ産の生ハム。これは味よりも食感。合わせたチーズは「モッツァレッラ・ボッコンチーニ」という一口大のもの。そしてホワイトアスパラガス。
当初はグリーンアスパラを使ったメニューの案もあったが、「より季節を感じる」ホワイトに最終決定。フレンチの技法を使って丹念に茹で上げ、見た目そのままのジューシーなやわらかさが楽しめる。
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ちょっとめずらしい旬の野菜や手に入りにくい食材などを使った、なるほど一流ホテルらしい一品。だが前も書いた通り、無意味に高級食材を乗せたり、技巧に凝り過ぎたりせず、あくまで「ハンバーガー」の範囲に収まるメニューを出してくるところが好ましい。
ビブのバーガーからは「ハンバーガー」というリミットをよく知り、むしろリミットを逆によく活かして、その中で最大限ハンバーガーをアレンジしようという、そんな意識が強く感じられる。よくある高級ホテルの高級バーガーと違う、そこがビブの良さ。
→ # BeBu [虎ノ門] のカウボーイ
# BeBu [虎ノ門] でBeer Cocktails Evening!
# 331 BeBu [虎ノ門]
― shop data ―
所在地: 東京都港区虎ノ門1-23-4 虎ノ門ヒルズ1F
東京メトロ銀座線 虎ノ門駅歩5分 地図
TEL: 03-6830-7739
URL: http://tokyo.andaz.hyatt.com/ja/hotel/dining/BEBU.html
オープン: 2014年6月11日
営業時間: 11:00〜22:30
定休日: なし(要確認)