先日夜、前を通りがかった時に、その煌びやかな賑わいを見てまた行きたくなった、東京・恵比寿のステーキハウス、GOTHAM GRILL(ゴッサムグリル)。渋谷・丸の内のベーカリー「VIRON(ヴィロン)」や、昨秋銀座にオープンした高級食パン専門店「CENTRE THE BAKERY(セントル・ザ・ベーカリー)」と同じル・スティルの経営。
前に食べたのと同じ「アメリカンクラシックハンバーガー」¥1,260をもう一度食べる気でいたのだが、前には無かった北海道自社牧場ジャージー牛ハンバーガー、フレンチフライ添え¥1,890というメニューがふと目に入り、一転そちらに。「アメリカン……」は肉はオージー、パティのサイズは225g。片や「北海道……」はその名の通り、北海道の美瑛(びえい)放牧酪農場というところで育てられた国産・道産のジャージー牛を使っている。サイズ180g。
私の知る限りジャージーと言えば乳牛で――中でも岡山の「蒜山(ひるぜん)酪農カフェ・オ・レ」は私の好物の一つだが――そのジャージー牛の、乳ではなく「肉」を食べるものなのかと、疑問に思ったのだが、これは何の疑問も問題も無く、肉も食べる。普通に流通もあるようだ。
ジャージービーフパティは、やはり豪州牛パティと同様なチョップしたような粗さ・ゴツさ。擂り潰すように力を入れて肉を噛むと、一気には噛み切れずに歯が肉に弾き返される。その感覚こそ楽しい。中はみごとな赤味。表面から10ミリほどは茶色く焼けていて、中心の数ミリ幅だけが一層きれいな赤味を残している。
「VIRON(ヴィロン)」製のバンズはプレーンとシリアルの2種類。プレーンを選んだ。見ての通り裏側をかなり強く焦がしている。しかしこの焦げ方はこのパンに対しては少し無粋に思える。焦げの苦味ばかりが強く前へ出、そこへナツメグを思わせるドライな香辛料の味が混ざって、そのミョウな二者の味だけでバーガー全体の味が作られてしまっている。
その微量のスパイスがいけない。水分が飛んで身が硬く締まる炭火特有の焼き加減を強調して、より一層ドライに感じさせる方向に働いてしまっているのだ。食べ口のその渇きは野菜を乗せても、添えられたなめらかなケチャップ&マスタードを塗っても解消されることは無かった。少し食べ辛くさえある。
肉の香りや味がクンと迫って来るかと言えば、そこまででも無い。それを上回るバンズの黒いコゲと、口中を渇かすスパイスの利きがバーガー全体の印象を占めていて、本来中心を成すべき「肉」の存在はどうにも弱く感じられた。もっとNYスタイルのステーキハウス「ならではの」というところを味わってみたいものである。
― shop data ―
所在地: 東京都渋谷区東3-16-10
JR・東京メトロ 恵比寿駅歩4分 地図
TEL: 03-5447-0536
オープン: 2009年3月10日
* 営業時間 *
平日: 11:30〜15:00, 18:00〜24:00(LO22:30)
土日: 11:30〜24:00(LO22:30)
定休日: なし(要確認)