今回はいつものように店に話を訊いて書いた記事では無い。久しぶりに黙って食べに行ったものである。たまにはそれも好いかと思う。今後もっと詳しく書ける機会があるかも知れないが、それはそれ、今は自分で調べた限りのことを書いてゆく。
店の名前をRIGOLETTO BAR AND GRILL(リゴレット バーアンドグリル)という。『リゴレット』とはヴェルディが作曲した有名なイタリアオペラのタイトル。中でも最もよく知られているのは「女心の歌」。「乾杯の歌」は同じヴェルディの作曲だが『椿姫』。所蔵のCDをあらためて調べてみたが、『リゴレット』は持っていなかった。
というワケで、スペインのバールやタパス、イタリアのナポリピッツァや生パスタなど、両国の"おいしいところ"を組み合わせた「スパニッシュイタリアン」なるスタイルの店で、経営は株式会社HUGE(ヒュージ)。
「リゴレット」ブランドのカフェ/レストランは東京都内と仙台に計9店。1号店は吉祥寺。六本木ヒルズの店は5店目のリゴレットで2008年オープン。ハンバーガーを扱うのは六本木店が最初にして、かつ唯一のようだ。
「一番大切にしていきたいものは、この『オペレーション力』です」という新川社長がグローバルダイニングのご出身とあって、ある種「前時代的」な、豪奢で煌びやかな店の構えで、「六本木ヒルズ」というこの場には実にふさわしくよく合っている。席数164の大人のための「ファクトリーレストラン」は、外から見ると大衆酒場のように大勢の人の影がざわざわと詰まって見えるが、ひんやり冷えたワインセラーを通って中へ案内されてみると、ライティングなどの工夫によるものか、案外と個々の空間が確保されている。
バーガーメニューは8品。六本木店のみにハンバーガーがあるのは、おそらく外国人が多い「六本木」という場所柄とそのイメージを意識してのものだろう。中からリゴレット・バーガー¥1,200を。
パティは豪州産牛使用。サイズ120gと、今となっては小ぶりな方で比較的軽く食べられるが、感心したのは、特に何も頼まなくても、メニューに明記されている通りみごとな「ミディアム」に、中に赤を残すやわらかな焼き加減に仕上げてくることである。だが「グジュッ」とした噛み応えにはならず、また表面が硬く焼かれているため、食感に一定の輪郭が感じられる。その点すばらしい。
バンズは上下ケシの実だらけ。ふわふわしており頼りなげではあるが、意外にそうでもなくて、間に肉を挟んで最後までサポート態勢を維持。バンズだけになると初めてほのかな甘みを利かせる。
オニオンはグリルド。最初この出汁(でじる)がややしつこくも感じたが、優しく「ゆるっ」ととろけたチェダーチーズがちょうど「チーズソース」のようになってオニオンのエキスとゆるやかに絡み、それが肉を包み込むようなコンビネーションを形成している。
だが後半、どうもこのオニオンの方ばかりが目立ってきてしまい、肉の味はもう一つ隠れ気味。画竜点睛を欠くとはこのこと。焼き方がみごとなだけに、なおのこと物足りなく感じる。塩胡椒・シーズニングでもう少し肉を立たせてもよいだろう。薄く何枚も重ねた"葉"はグリーンカールか。ピクルスは浅漬かりのピンと酸味が利くタイプ。ハンバーガーと同量ぐらいにポテトがドッサリ。
§ §
窓の外は毛利庭園。その向こうに東京タワーという眺望。比較的若い客層が多いだろうか。平日は朝5時までやっている。一度朝まで居てみたい気もする。
― shop data ―
所在地: 東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ ウェストウォーク5F
東京メトロ日比谷線 六本木駅歩5分 地図
TEL: 03-6438-0071
URL: http://www.rigoletto.jp/
オープン: 2008年5月12日
* 営業時間 *
月〜土: 11:00〜翌5:00(LO翌4:00)
日・祝: 11:00〜23:00(LO22:15)
定休日: なし(要確認)