前回記事に引き続いて静岡Tequila's Diner(テキーラダイナー)の、"実はこちらが本命"BEEFEATER¥1,000。
英国のドライ・ジン「ビフィーター」のことではない。だがどちらも綴りは同じ。と言うか意味も同じで、公式サイトにも説明のある通り「BEEF+EATER(牛肉を食べる人)」というのが、つまりこのテキーラダイナーで最もシンプルなハンバーガーの名前の由来である。
一方でコレの和名「100%ビーフバーガー」はいただけない。ハンバーガーという食べ物自体が「ビーフパティをバンズに挟んだもの」なので、そこにビーフと付けるのはおかしい。だから以下「BEEFEATER」で通す。
テキーラダイナーのビーフパティは、オージー、US、国産(ほぼ和牛)とのべ3ヶ国、5種類の部位を組み合わせている。つい最近までは4種類だった。
「オージーのみずみずしさ、USのコク、和牛の甘味」と店主・テキーラさんはわかりやすく説明してくれたが、つまり5種類の部位それぞれに「担当」する役割があり「狙い」があって使っているということである。サイズは113g、4分の1パウンド。これを炭火で外は強く、中は遠赤効果でじっくりと赤味を残すやわらかさに焼き上げる。
これだけのことを考え、手を掛け作っているパティなのだから、余計なものは極力挟まず、まず「肉」のおいしさを最大限に楽しむような食べ方をしてみたい――という思いの行き着いた先が、このBEEFEATERという次第。テキーラさんも「是非一度野菜抜きで食べてみて」と言っている。
但しBEEFEATER、トマトは入っている。オニオン、レタスは入らずとも、トマトだけはパティの下に挟まっている。テキーラさんによるとこのトマトは「必要」とのこと。
実際に食べ比べてみると、トマト抜きでも成立はするが、そのまま抜かずに挟んで食べると、その1枚のトマトから放たれる淡くみずみずしい酸味がバーガー全体に行き渡り、生き生きとした味わいに感じられて、悪くない。
塩コショウはパティの中に混ぜてあるのだが、このBEEFEATERともう一品「ジャックダニエル&ペッパー」についてはグリルの際にさらに黒コショウをがっつりかけている。隙間なくみっしり詰まった牛肉には確かな噛み応えがあり、しっかりとした肉粒感(にくりゅうかん)が感じられる。だがやわらかい。
味はコゲの強い苦味とバンズの強い甘味によってほぼ二分される。BEEFEATERの場合、これにトマトの酸味が加わるから、「苦く」て「甘く」て「酸っぱい」という何とも複雑な味わいになっていて、正直その点でだいぶ損していると私は思う。本来もっと直球でガツンと来てもよい筈のバーガーだ。幾重にも味が覆い被さっていて、突き抜けないのが難点。
§ §
実は牛100のパティを食べ慣れない人のために、牛豚合挽きの「クラシックパティ」を使ったメニューが4品あった。だがそれもこの4年の間に役割をほぼ終えて、今では隅に追いやられる存在になっている。「一時期よりも、より『やりたい』感じになってきている」とテキーラさん。テキーラさんの思いが着実に伝わり、それに客が応えるようになってきた証拠である。
狭いながらもしっかりと「肉」を食べさせる店。今回食べられなかったステーキやベーコンなども次は是非食べてみたい。
― shop data ―
所在地: 静岡県静岡市葵区七間町8-6 ACTビル1F
JR静岡駅歩10分 地図
TEL: 054-255-7595
URL: http://notequila-nolife.com/
オープン: 2010年8月10日
* 営業時間 *
月〜土: 12:00〜14:00LO, 18:00〜23:30(フードLO)
日・祝: 12:00〜23:30(フードLO)
定休日: 年中無休(要確認)