2013年03月22日

【二ッ目!】 Hungry Tiger [横浜] のハングリーバーガー




 ここで時計の針を戻したい。2月28日、FMヨコハマで「プレミアムバーガースペシャルチケット」の放送があったその放送後……久しぶりに神奈川県を代表するレストランの味が食べてみたくなって、Hungry Tiger(ハングリータイガー)へ向かった。

 創業1969年。今年で44年目の老舗グリルレストランである。その長い歳月を超えて、ハングリータイガーで食事をすることには、いまだにステイタスがあるから素晴しい。今夜はちょっと「ご馳走でも食べようか」というときに行きたくなる店なのである。


 知られているのがハンバーグステーキの焼き方だ。


 以前の私の調べでは(今はいろいろと変わっているかも知れない)、つなぎ無しの大きなフットボール型ハンバーグパティを、800℃に達するチャコールブロイラーの高温の上で焼き、テーブルへ運んだ後、客の目の前で2つにカットして、火の通りの弱い内側を320℃の鉄板に押し付けて更に焼き、仕上げをする――というスタイルが有名。信州佐久の「菱屋海賊船」もこのやり方を真似たと言っていた。

 ハンバーガーは今も健在。と言うより、当今のブームに乗って以前より扱いが大きくなっている。ハングリーバーガー¥1,280。

 パティは220g。ほぼハーフパウンド。メニューブックに産地の明記は無いが、豪州産のようだ。つなぎ無し。


 ハンバーガー専用のパティなのか、それともハンバー「グ」と同じものなのか、確認すべく両方頼んでみたところ、どうも同じもののようだ。ハンバー「ガー」の方がより平たく成形してあるが、同じ肉を使い、グラム数も一緒。同じようにつなぎが無い。ミシッと目の詰まったパティで、一瞬ラクダ肉のハンバーガーのことが頭をよぎる、ややつくね系の硬さ。上にオニオンソテーが乗っているのが、いかにもグリルレストラン的。

 野菜も同様、ハンバーガー用にカットしているワケでは無いようで、サラダに使う野菜をそのまま転用している感じ。トマトはヘタを含んだカットだった。なので盛りの加減も適当。分量があまり考えられていない。こんなには要らないだろう。だから積むと何とも不恰好なバーガーになる。ピクルスは2枚。


 バンズにはオリジナルグラハムパンを使用。セットを注文する際「パンかライス」から選べる、その「パン」だ。それを確かめるべく、パンを頼んでいる人はいないかと周りをきょろきょろ見回してみたところが、ほとんどの人がライスを頼んでいたのが印象的だった。ブカッと大きなパンだが、余計な甘味が無くて食事向き。悪くない。

 ケチャップ、マスタードとともに添えられたオニオンソースは、これもハンバーグステーキにかけているものと同じである。そもそもがそれほど味の強いソースでは無いので、ハンバーガーの中に入れても「立つ」ことはない。コショウばかりが利き過ぎているようにも思う。

 肉の話に戻ると、ハンバー「グ」もハンバー「ガー」も、どちらも白っぽい色の肉で、率直なところ、あちらから迫ってくるような肉の力強さは無い。味わいの点で弱さを感じる。あれだけ大掛かりで華々しくい調理を見せられた後なだけに、その感想は尚更である。


 ハンバーガーについて言えば、もっと細やか且つ丁寧な設計をする余地はあると思う。パティにせよ、パンにせよ、野菜にせよ、既に店にあるものを転用すること自体は悪いこととは思わない。むしろ合理的である。ただ、今のままだとあまりにも「あるがまま」過ぎる。その「あるがまま」が結果としてプラスに働いていればよいが、現状そこまででもない。

§ §

 さてそれで――。

 これはシロウトの率直な疑問なのだが、上に説明したハンバーグステーキの出し方……遠赤効果を使いながら高温の直火の上でじっくりと焼いたものを、真ん中から2つに割り、内側を鉄板に押し付けてさらに焼くという……コレというのは、中に閉じ込めた肉汁が全部外に流れ出てしまうのみならず、その流れ出た肉汁の中で焼くワケだから、せっかく余分な脂をグリルで落としたのに、肉が脂まみれになってしまうワケである。肉をおいしくグリルするという点において、この方法は理に適っているのだろうか。

 テーブルに運ばれて来た後、鉄板上で"最終調理"が行われる間、客はナフキンを広げて飛び散る脂を避けるのだが、隣の席のその様子を見ると、相当量の脂がはねているだろうことが想像出来たので、白く上がる湯気の先を追ってみたところ案の定、スゴいことになっていた。

 パフォーマンスとしては華があって印象的なのだが、そしてそういうことを楽しみに行く店なのだが、果たしてそれがベストなおいしい食べ方なのかどうか。立ち上る湯気を見ながら、ふとそんなことを思った。



# 115 Hungry Tiger [横浜・保土ヶ谷]

2013.3.22 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 15:31 | TrackBack(0) | 【二ッ目!】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック