昨年の11月が「ラムバーガー」、12月が「アジア風チキンバーガー」と来て、正月の1ヶ月を空けての東京・神楽坂MARTINIBURGER(マティーニバーガー)、2月のスペシャルバーガーは、何と「らくだ」……ディナーのみのセットでらくだバーガー¥2,200。イイ値段だが、ラクダ肉は牛肉の倍の値がするのだと店主・エリオットさん。
今回の記事は多岐にわたり情報が満載である。一つ一つの情報を簡潔・手短に載せてゆかないと、とても収まり切らない――。
まずこの夜は有楽町線の江戸川橋から向かった。店までの距離は確かに東西線の神楽坂の方が近いが、江戸川橋から行く方が店の背景を成す関口、山吹町、中里町の一帯の様子や暮らしぶりが伝わってきて、面白味がある。下の写真は夜の子育地蔵尊。よもやこんな間接照明が施されていようとは。
さてラクダの肉の話――確かに日本国内でも売られている。とある業者によると「ラクダバーガー」がUAEのドバイやオーストラリアで食されているという。本当か……と調べると、なるほど確かにあった、"シドニー"に。
なぜオーストラリアなのか? と疑問に思うところだが、こんなニュースを見つけた――「CO2削減で野生ラクダの殺処分を検討、豪州」。今回食べたらくだバーガーの肉の産地がどこであるかは聞きそびれたが、この感じなら99%豪州産だろう。
肩肉とモモ肉と「こぶ」が使われているとエリオットさん。「こぶ」は脂の役目をする。ラクダであるからには気になるのが「こぶ」の数だ。つまり「ヒトコブラクダ」なのか「フタコブラクダ」なのか――答えは「ヒトコブ」。オーストラリアで野生化したラクダは「ヒトコブ」である。英語で"dromedary"。
ラクダ肉はアフリカでも食べられる。中でもエリオットさんはモロッコでの食べ方について調べたという。
そう聞いて調べてみると、なるほど確かに食べるようだ。ウィキペディアのモロッコ料理の項にもその旨記されている。有名なタジン料理においてもラクダを使うことがある。但し複数の記事に「高価な肉」という書き方が見られる。
エリオットさんはそうしたモロッコでの食べ方をベースに、それになるべく従ったらくだバーガーのレシピを考えた。
パティは100g。ビーフと同じ200gにすると「味が濃過ぎるので」これぐらいで十分とエリオットさん。見るからに脂気が無く、色は黒め。業者の説明には「牛肉に似た味」とあるが、そんな感じは全く無く、鶏肉の系統ともまた違っていて、強いて言えば日本の「つみれ」を、それも長い時間火にかけて硬く締まった「つみれ」を思わせる。食べ口は硬いが、食べ難くは無い。
その黒くて硬い、表情に乏しいラクダ肉を、甘いソースとスパイスが華やかに飾る。「手作りハチミツシナモントマトケチャップ」と名付けられたソレを、「Taza-Ketchup」とエリオットさんは呼んでいた。ケチャップと絡めてトマト、オニオン、そして"date(デーツ)"――「棗椰子(ナツメヤシ)」がパティの上に乗っている。
さぁ今度はナツメヤシについて。なるほど「果実(デーツ、Date)は北アフリカや中東では主要な食品の1つ」とある。甘納豆の「白いんげん」のような甘い味で、ピクルス代わりにバーガーの"外"にも一つ添えられている。中近東では主食に、サハラ砂漠ではラクダや馬のエサにもするとある。
食後、指先に残るは甘いシナモンの香り――。甘いバーガーなのだが、クミンとシナモンが強烈に利いていて、甘さの中にもカレー並みな"締まり"がある。スパイシーかつエスニック。これだけ強いソースがかかっても没しないラクダ肉の強さに注目したい。
欲を言えばバンズをもう少しハードなものに変えたいところだが、ストックの問題もあり、出来なかったとエリオットさん。オニオンは白(黄タマネギ)、レタスは艶やかなサニーレタス。
§ §
牛・豚・鶏・羊のどれとも違う「ラクダ」独特の食感と食べ口を味わうことが出来る一品。その点で個性がよく立ったバーガーであると言える。2,200円という高額でも予想以上によく出るそうだ。よく考えたらラクダの肉を食べたのは、これが人生初。一食の価値はある。
そして帰りは神楽坂へ。赤城神社の横には蛍雪天神なる社がある。旺文社が近くに在るのだ。末筆ながら時節柄、受験生諸君の健闘を祈念したい――以上この記事中に、どのくらいの情報が盛り込まれていたことだろう(笑)。
→ # MARTINIBURGER [神楽坂] のアジア風チキンバーガー
# MARTINIBURGER [神楽坂] のWest Side(再食)
# MARTINIBURGER [神楽坂] のラムバーガー
# MARTINIBURGER [神楽坂] のBronx
# MARTINIBURGER [神楽坂] のBrooklyn
# MARTINIBURGER [神楽坂] のTHE MARTINIBURGER with ブルーチーズソース
# MARTINIBURGER [神楽坂] のWest Side
# 265 MARTINIBURGER [神楽坂]
― shop data ―
所在地: 東京都新宿区中里町31
東京メトロ東西線 神楽坂駅歩5分 地図
TEL: 03-6280-8920
URL: http://www.martini-burger.com/
オープン: 2010年10月15日
* 営業時間 *
火〜土: 11:00〜23:00(22:00LO)
日曜日: 11:00〜22:00(21:00LO)
定休日: 月曜日(要確認)