街全体が冷蔵庫のように冷え込む真冬の夜、十三夜の月が天高く冴え冴えと輝く寒空の下をわざわざ訪ねて行ったのは他でもない、この日、横浜・北山田(きたやまた)Bigmamacafe(ビッグママカフェ)が開店15周年を迎える記念日だったからである。
15年前、店が在るこの辺りは今以上に何も無い場所だった。店の先は"山"で、車が打ち棄てられた薄暗い雑木林の向こうから、猫とも赤ん坊ともつかぬ泣き声が聞こえてくる"危険地帯"だった――と、当時を知るスタッフ・Kanaさんは語る。なので店の周りは路上駐車し放題。しかもその停めてある車がどれもアメ車ばかりで、まるで違う世界に迷い込んだ感覚だったという。
地下鉄が開通する十年も前の話である。本当に何にも無い所にぽつんとコノ店しかなくて、ちょうどルート66の行く手に一点ダイナーの光が灯っているような、まさにオアシスのような佇まいだった。
そんなちょっと「ヤバイ」店が出来たという情報は、近所に住むKanaさんの耳にもすぐに入った。お隣の奥さんと一緒に恐々「一杯だけ」飲みに行ったのが、うら若き主婦・Kanaさんがコノ店に足を運ぶようになった最初である。
それから一年空いて、今で言う「ママ友」連中の飲み会があった折、その二次会の場所を探していたところ、今で言う「イケメン」が店の扉をスッと開けて迎えてくれた――とKanaさんは言うのだが、後日店主の織茂さんに聞いてみても、そんなイケメンスタッフのことは「知らない」という。狐か狸に化かされたか、はたまた何かの"霊"の仕業か。ともあれその「幻の」イケメンに誘(いざな)われて以来、Kanaさんはビッグママカフェを頻繁に利用するようになった。
ハンバーガーは15年前からメニューにあった。但し私が初めて訪ねた2008年当時のソレは、率直に言ってそう評価出来たものでは無い。ビッグママカフェが今のようにパティ・バンズとも手作りするようになったのは、その後のことである。
この夜は普段滅多に頼まないアボカドバーガー¥1,175。祝杯は景気の好い名前のカクテルをと、テキーラサンライズ¥675で。
ここで明言しておく。私は「アボカドバーガー」という食べ物をあまり評価していない。アボカドのおいしさは解る。だが焼いた牛肉の上にアボカドを乗せた時、ソレがさらに牛肉をおいしくするようなことはなく、また逆にアボカドのおいしさを牛肉がより一層引き立てるということもない。つまりビーフパティとアボカドを一緒にするメリットが今ひとつ見出せないのだ。
中には「ただ乗ってるだけ」のアボカドバーガーもある。元々強い味を持った食材では無いので、肉や何やの味に隠れて何処かに飛んで行ってしまっているのだ。そうなるとアボカドはただの「いろどり」に過ぎなくなる。
もしアボカド「が」食べたいのなら、別にハンバーガーにする必要は無い。肉が味わいたければプレーンな"ハンバーガー"を頼めばよいし、アボカドが味わいたいなら、はっきり言ってバーガー以外にもっとおいしい食べ方はいくらでもあると私は思う。昨日記事にしたブラックアンガスを使った店の一番人気が「アボカドチーズバーガー」と聞いて、銘柄牛の肉云々より世の中結局アボカドなのか……と、ひどく落胆したものだ。
形だけ・見た目だけ、人気とイメージばかりが先行したメニューのように私には映る。ハンバーガーにアボカドを挟むことの必然性がもう一つ見えて来ない……と散々ハードルを上げたところで、ではビッグママカフェのアボカドバーガーはどうなのか――(笑)。
顔を近寄せると、まずプーンとコショウのにおい。肉を焼く際、ミルで挽いているという。なるほど実に香りが強い。香りに切れがある。この粗挽きコショウの強さが、結果としてアボカドを巧く引き立たせている。
上のマスタードマヨネーズもよく合う。全体にかなり刺激の多いバーガーだが、その中にあって、ソレ自身では輪郭のはっきりしないアボカドが上手い具合に浮かび上がって来ている。歯応えパリパリのオニオン(生)も辛味がバチッと決まっている。
オージービーフのブロック肉から切り出して挽いた自家製パティは120g。少しオイリーだが適度な肉粒感。白神こだま酵母を使った天然酵母バンズは、自家製であることを忘れる出来映え。表皮(クラスト)に塗るツヤ出しの卵を減らしたためか、皮の突っ張りが無くなって食べ口がやわらかくなった。端がサクッとドライにトーストされている。
決め手はミルで挽いたコショウ。酒の店のバーガーらしく味は強め。それでもアボカドは消えず・埋もれず、果敢に肉に絡みつきに行っている。味付けの点でアボカド向きなバーガーであると言えるだろう。
§ §
「いつかカウンターに座りたいね」というのがKanaさんのママ友ウチでの「夢」だった。テーブル席から仰ぎ見るカウンターにはちょっとしたステータスがあり、座るにはちょっとした勇気が要った。それが今ではすっかりカウンターの「中」の人になってしまったKanaさん(笑)。
こうして店にとっても、Kanaさんが初めて訪れた日から数えても、15年が経った。その間に20世紀は21世紀に変わっている。まさしく「世紀を跨ぐ」物語である。
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― shop data ―
所在地: 神奈川県横浜市都筑区北山田2-4-20 ヴァンクレールU 1F
横浜市営地下鉄グリーンライン 北山田駅歩2分 地図
TEL: 045-592-3331
URL: http://www.bigmamacafe.com/
オープン: 1998年1月25日
営業時間: 11:30〜15:00, 19:00〜26:00(LO25:30)
ランチ(火木土日のみ): 11:30〜15:00(LO14:30)
定休日: 月曜日(要確認)