これまた以前記事にしたことのあるバーガーである。日付は2011年の1月19日。なので約2年近く空いての再食ということになる。ハンバーガーの側および私自身の外的・内的変化を楽しみたい。
パティは2008年の創業以来一切変わりなく、豪州産牛のブロック肉から切り出して店で仕込んだ自家製、100g。サイズが変われば受ける"迫力"もまた違ってくるのだが、「酒の場のバーガー」というところもあり、今くらいがお手軽・お気軽サイズだろう。これを鋳鉄(ちゅうてつ)製の「スキレット」というフライパンでグリルしている。スキレットの底をウンと高くしたものが「ダッチオーブン」で、店主・中山さんはコレの使い手であるとは『GARAGE BURGERS CAFE』にも書いた。
以前よりナツメグの量が少なくなったような気がする。ケチャップ&マスタードも少な目だ。なので全体に味付けはかなり穏やかになった。もっと強い味付けを欲する人も中にはいると思う。私も少しだけそう思った。だがコレは「ひそっ」としたその静かさの中に噛み締める「味」のあるバーガーなので、調味料を足すにせよ、その前にその静かな「味」をしかと味わってみてもらいたいものだ。言わば、噛むほどに味が染み出る「スルメ」のようなバーガーである。
水の代わりに牛乳で作る自家製牛乳バンズの方は、時折マイナーチェンジしていると聞いている。最近もイーストを低糖用のものに変えてみたところ、膨らみ方が大きく変わったそうだ。2年前の記事にも「普段と違う『ふわっ』とした食感でしたが、またすぐ元に戻したいということ」などとある。
いずれにせよ、パティの食べ口にも近い「噛み締める」生地の食感がこのバンズの特徴だ。「ペタッ」とパティとフィットするような、吸い付くような感じがある。オニオンはグリルド。クタクタな焼き込みではなく、歯応えが残っていてアクセントになっている。チーズは変わらずチェダー。
§ §
以前から言っていたある種の「下品さ」は形(なり)を潜め、相反するもう一つの要素「上品さ」の方が今はより目立っているように思える。
どちらにしても、この翡翠色の皿、このバーカウンター、この店の雰囲気とすっかり同化し、店の雰囲気をすっかり纏っているようなところがこのハンバーガーにはあって、その纏う雰囲気も"込み"で、トラストサルーンにコレ以外のハンバーガーは最早私には考えられない。
至って素朴でシンプルな、ごくオーソドックスな作りのバーガーであるが、その中から滲み出すそうした味わいこそを「個性」と呼ぶのではなかろうか。やはり個性は意図して作るものでなく、結果として後から付いてくるものなのだ。
年内29日まで。年始5日から通常営業。
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― shop data ―
所在地: 東京都品川区大井4-10-7 アルテール大井1F
JR京浜東北線・りんかい線・東急 大井町駅歩7分 地図
TEL: 03-5742-3302
URL: http://www.trust-saloon.com/
オープン: 2008年5月10日
* 営業時間 *
火〜土: 18:00〜26:00
日曜日: 18:00〜24:00
定休日: 月曜日(要確認)