引き続き、東京・世田谷は祖師ヶ谷大蔵(そしがやおおくら)――ウルトラマン商店街のハンバーガーショップ、GIGGLE(ギグル)。全18品のバーガーメニューより、スモーキーチーズバーガー¥990。ポテト付。
前の記事でギグルのバーガーを"Tokyo-style"と評したのは、私の判断基準に拠るものである。
要は上下バンズの間に挟み込む食材や、かけるソースに種々工夫を凝らして、その全ての食材が和して醸し出す「全体の大きな味わい」をひとつの「完成された形」ととらえるような、それが"Tokyo"的、ないしはいかにも日本人的なバーガーの発想であるように私は思っている。個より全体、単体より総和――そうした作りにギグルは長けているように思う。
と言ったところでスモーキーチーズバーガー。中でもリピート率の高い人気メニューであるという。確かにちょっと気になるトッピングではあるし、そもそもスモークしたチーズがおいしくないワケがない。かなりな確率で事前に「当たり」が予想可能なバーガーである。
煮卵を割ったようなスモークチーズの中心に黒オリーブが乗っている。目玉のように見える。ココら辺りのビジュアルを彷彿とさせる。
目玉は計3つ、"三つ目"である。上にかかるネギは日本の青ねぎ、万能ねぎ。醤油のような色をしたソースはバルサミコをベースに、刻んだオリーブ、ニンニクなどが入ったオリジナルソース。
商品名はただ「スモーキーチーズ」というだけなのに、そこには名の挙がらないブラックオリーブが来て、さらに青ねぎが乗り……想像を超える二重三重のトッピング攻勢がみごと。
クンと香ばしいスモークの芳香(桜チップ。なお店でスモークしているワケではない)に、瓶詰めオリーブの「のぺっ」とした粘る食感の組み合わせがポイント。オリーブ独特の「ふっ」と抜けるような香りがたまらない。
バーキンのクセものサンドとは違い、ソースにバルサミコを使っていながら「キリキリ」「ヒリヒリ」とは来ずに、あくまでマイルドな旨味。一方でマスタードとレリッシュの酸味がよく利いている。チーズとオリーブの少し重めな味わいを、レリッシュの軽快な酸味が助ける格好だ。
パティは豪州産牛使用の100g。やわらかく、他の食材とよく馴染む。オニオンはザク切りと言ってよい粗さ。それら全ての味が行き過ぎ、落ち着いた頃に天然酵母バンズの甘さが利いてくる。もちろん薬味の青ねぎも効果大。
日本人らしい香りの豊かさを持ったバーガー。なるほど、この味は他所では得られそうにない。ギグル"ならでは"を感じさせる、工夫に富んだバーガーだ。
§ §
同じような味が「他所では食べられそうにない」、すなわち「コノ味はコノ店に行かないと食べられない」という要素を、私は特に重視したいと思っている。それがハンバーガーの概略から大きく外れた、突拍子もない「個性」である場合は論外として、今回のこのバーガーのような、ちょっとしたアイデアの積み重ねによって生まれたものである場合については、素直に面白く思う。ちょっとした「くすぐり」が利いた一品と評したい。
→ # GIGGLE [祖師ヶ谷大蔵] のハンバーガー
【スタンプラリー#10】 GIGGLE [祖師ヶ谷大蔵] のカラミティ・ジェーン・バーガー
# 296 GIGGLE [祖師ヶ谷大蔵]
― shop data ―
所在地: 東京都世田谷区祖師谷3-36-26 B1F
小田急電鉄 祖師ヶ谷大蔵駅歩7分 地図
TEL: 03-3789-4232
URL: http://www.giggle-tokyo.com/
オープン: 2008年7月21日
* 営業時間 *
平 日: 11:30〜15:30(LO15:00), 17:00〜22:30(LO22:00)
土日祝: 11:30〜22:30(LO22:00)
定休日: 水曜日(要確認)