秋の武蔵野――東京・吉祥寺、トルコ人オーナー・ジェムさんの店gem's burger(ジェムズバーガー)より、ベーコンチーズバーガー\1,400。パティは豪州産170g。ベーコン自家製。
その自家製ベーコンを使ったメニューがベーコンチーズバーガーしかないというところが面白い。まさしくこのベーチーだけのために作っているベーコンである。
7〜8日ほどかけて店でベーコンを作っている。塩漬けが約1週間、塩抜きに半日、季節により2〜5時間乾燥させた後、温度80℃で4〜5時間の煙燻。スモークチップはサクラを使用……但しチップに何を使うかは、ベーコン作りの工程全体から見れば「さして重要なことではない」と、これは松下シェフ。
そうして出来たベーコンを、ヒラヒラするくらいの薄さに切って2枚バーガーに乗せている。コゲ目のストライプが鮮やか。
もっと分厚い方が好みという人もいるかも知れないが、主役はあくまでパティであるという考えの下、「ベーコンを食べさせるためのバーガー」と言うよりも「ビーフパティをよりおいしくさせるための存在」として、ベーコンの役割を定め、分量を決めているワケである。
分厚くないがゆえにビーフとよく混ざり合うベーコン。
表面に脂を滲ます程度の強くない焼き加減で、カリッとした食感はむしろバンズの裏側から、そしてレッドオニオンのカリカリした歯応えからやって来る。擂り潰すようなビーフパティの食感にオニオンの辛味が乗り、ベーコンはそれに旨味と香りを添える役割。何のスパイスか、香ばしい深い甘味が、ふっとベーコンから漂う。
バンズは「もちっ」と「むちっ」と鈍い食べ口。口中に広がるパティやベーコンの味わい全てをそっと吸収するかのような甘味を持つ。チーズはモントレージャックが2枚。米国産のハードないしセミハードタイプに分類されるナチュラルチーズで、あまり熟成させないためコクは弱いが、でしゃばらず、やさしい塩味を穏やかに利かせる。
トマト以下野菜はどれも冷たい。溶岩石グリルで焼いた熱々の肉との温度差が相当あるが、かえってそれを楽しむ向きもあるだろうから、一概に良いとも悪いとも言えない。
ベーコン独りがスタンドプレイするバーガーでなく、「ベーコンチーズバーガー」という一個の集合体として実に好いまとまりを発揮する一品。後口はベーコンの脂の旨味。さらに後からビーフのコゲ味が追いかける。
§ §
「いい肉(=良質な肉)をいい値段(=手ごろな値段)で手に入れるのが難しい国ですねぇ」とは店主ジェムさんの言葉。なるほど、ヨーロッパの人には日本の食肉・精肉の流通事情はそう映るワケである。そうした制約ある中で、今後どんなおいしい「肉」のバーガーを繰り出して来るのか、楽しみである。
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# 263 gem's burger [吉祥寺]
― shop data ―
所在地: 東京都武蔵野市吉祥寺本町4-26-16 ライオンズマンション吉祥寺1F
JR・京王 吉祥寺駅歩15分 地図
TEL: 0422-36-5022
URL: http://www.gemsburger.com/
オープン: 2011年4月4日(プレオープン: 2011年3月3日)
営業時間: 11:00〜23:00
定休日: 水曜日(要確認)