2012年10月15日

# 294 GRAND BURGER [京都・出町柳]




 『カラミティ・ジェーン』ハンバーガースタンプラリーをやってみてつくづく思ったが、近畿一円は根っからの観光地である。「それを言ったら東京だって」という意見もあろうが、例えば東京と京都を比べた場合、観光地としての性質がまるで違うのは今さら言うまでもないことだろう。歴史ある寺社仏閣・景勝地のすぐ近くで、中には世界遺産のそばで店を構えるハンバーガーショップもある。

 というワケで京滋遠征の続き――古都京都の"偉大なるバーガー"、GRAND BURGER(グランドバーガー)。



●京都御所

 場所は京都御所の東隣。住所は「京都市上京区寺町通今出川下ル真如堂前町107」。


 店の一本裏手の道がすぐ御所(正しくはそれを取り巻く京都御苑)の外縁と接している。電車で行くなら地下鉄烏丸線今出川駅より京阪の方が近いようだ。

 出町柳(でまちやなぎ)から賀茂大橋を渡り、今出川通を真っ直ぐ御所の方へ。「河原町今出川」の大きな交差点もそのまま直進(この一角にマクドがある)、御所へと至る一本手前の道を(これが寺町通)左に折れて少し入ると店に行き着く。「今出川下ル」とはまさにそのこと。

 ところで「真如堂前町」という地名だが、実は京都市内に二ヶ所ある。

 一つは店のある上京区真如堂前町。もう一つは左京区岡崎真如堂前町。調べてみると、真如堂(しんにょどう)とは真正極楽寺(しんしょうごくらくじ)の通称で、寺は現在左京区の岡崎に在るが、室町時代以来の戦乱で洛中を転々とした、そのときの名残りが地名・町名に残っている――という説明が寺のホームページにもはっきりと書かれていた。安土桃山時代、豊臣秀吉の命で今出川下ルに移転されたのだという……知れば知るほど、ますます京都らしい。


●デニーズ

 そんな足元まで歴史の滲みついた町に在る。御所を見学した後、"敢えて"ハンバーガーショップに立ち寄るも良し、食後に鴨川べりを散策するも良し。同志社大学も近い。


 店主・岡さんは京都に生まれ、通勤は自転車で10分という地元京都の人である。

 高校生のとき、岩倉の喫茶店でアルバイトをしたのが岡さんの飲食歴の始まり。大学生の頃は朝パン屋でパンを焼き、夜はレストランで働いた。ホテルやフレンチで調理もサービスも経験する。そうしてアルバイトするうちに「食べる仕事」が好きになって、就職したのがファミリーレストラン――関西では無名の「デニーズ」である。

 岡さんが言った「関西では無名の」という枕詞が気になり調べてみると、確かに東京都内で70店を誇るデニーズが大阪府では10店、兵庫県に6店――これが近畿地方のデニーズの全てで、京都・滋賀・奈良・和歌山はゼロである(※兵庫以西にデニーズは無い)。必然、岡さんが勤めたのは首都圏だった。


 東京や神奈川で店長を3〜4年。中目黒、調布、小田原などの各店に勤めた。

 その後神戸のホテルの日本料理でしばらく。また東京に戻り、フレンチやビストロ、ホテルなどで働くが、「次はもう飲食やめようか」と思い、東京を引き払って京都に戻る。ところが離れてから飲食業の楽しかったことが思い返されて、知り合いの多い京都で始めた店がコノ店――というワケである。

 東京にはのべ10年ほど。その間、食べるのが好きでよく食べ歩いた。その中でハンバーガー専門店にもたびたび出合い、「東京にこんなにあるのだから、関西でも増えるだろう」と読んで出したのが経緯。東京で店を出すという選択肢もあった。候補地に考えていたのは世田谷、三軒茶屋の辺り。ちなみに叡山電車の駅は二軒茶屋


●女性にやさしく

 京都で始めるに当たり2〜3ヶ月、市内を自転車でぐるぐる見て回った。


 考えていたのは高級住宅地。やはり高所得な街の方がハンバーガーもよく出るだろうと。そして角地。出来れば大通りでない、一本入った隠れ家的な場所で。特に女性はあまりに外から見え過ぎる店だと食べづらいかな……との気遣いである。

 居抜きを探していたが、ようやく見つけた今の店は以前はサーフショップだった。

 何より女性を意識した岡さん。ゴテゴテさせずに上品な造りに徹した成果が表れ、女性客が6〜7割を占める。清潔感が漂う実にすっきりとした店内はテーブル12席、長いカウンターに7席。南向きに大きく取られた窓からは冬はやわらかく、夏は鮮やかに、差し込む陽射しがロールスクリーンを白く明るく発光させる。


 メニューもシンプル。それとなく高級感を漂わせた作りになっている。

 ハンバーガーは7品。いずれもオーソドックスなものばかりで、奇をてらったもの・オリジナリティを打ち出したメニューは無い。

 ハンバーガーにサイドディッシュ・ドリンクが付いたディナーセット¥1,680は、「焼き野菜のサラダ」「チーズ盛り合わせ」「フィッシュ&チップス」「バーニャカウダ」「LINDENBAUMのソーセージ(+200円)」からサイドメニューを選択――こうしたところにコノ店らしい"変化"がある。他にサイドディッシュはエビアボカドグラタンなど。

 デザートにはフレンチトースト、パンケーキ、パフェなど。気軽にゆっくりくつろげるカフェでありながらも、きちんとした「食事」を意図したメニュー構成が見られる。さすが多年外食業界に身を置いた岡さん、その経歴を活かした店づくりだ。

●今までにない熱さ

 チーズバーガー¥980。ランチの場合、プレーンなハンバーガーにチェダーチーズ¥100をトッピングして¥1,080でフライドポテト、ミニサラダ、ドリンクまで付いてくる。断然お得。


 パティはオーストラリアの東、バヌアツ共和国産ビーフ100%。110g。二度挽きにして細か目。バンズは歩いてすぐに在るご近所のパン屋さん作。ふんわりとやわらかなバンズで、生地の古風な甘味がバーガー全体によく回る。もう少し甘さは抑えた方がよい。「ぶかっ」としたそのサイズ(量)も、110gパティに対してはやや多過ぎるようだ。

 上からクラウン(上バンズ)、トマト、レタス、ソテードオニオン、チェダーチーズ、パティ、ピクルス、マスタードマヨネーズソース、ヒール(下バンズ)の順番。

 パティはナツメグが多過ぎる。「臭み消し」たるナツメグをそこまで多用せねばならぬほど質の悪い肉を使っている筈は無いので、これは「要らざる分量」であると私は思う。パティの下のスイートピクルスも多い(2011年12月の時点で)。ナツメグとピクルスという、岡さんが特に苦心して調理した部分では"無い"既製の食材2つの味によって、バーガー全体の味が決定付けられているというのは、何とも勿体無い話である。

 但し今秋再訪して食べた際にはピクルスの量は加減されていて、昨冬のような決定付けるほどの強い味は発揮していなかった。その方が好い。


 東京のハンバーガー店を食べ歩いたとき感じたことのひとつとして、岡さんはハンバーガーの「熱さ」、温度の高さを挙げている。チェーン店のものは熱くない。専門店のバーガーは熱い。その熱々がイイ!

 なので岡さんは冷たいものが入らないような工夫をしている。オニオンは「甘味が欲しかった」のでソテード。トマトも鉄板で温めて、軽い焼きトマトにしている。"ドレス"と呼ばれる積み重ねる作業も鉄板の上で。

 一方でレッドチェダーは火を入れ過ぎずに味わい濃厚。バーガー全体としてはバンズとソテードオニオンの甘味が利いた甘口な印象。

 フライドポテトは3種類を混ぜている。東京池袋の「EAST VILLAGE」のようだ。ドラフト(樽生)は一番搾り¥500。他にボトルビールが9種。


●偉大なるバーガー

 「京都らしい雰囲気の」と言えばそうかも知れない、穏やかな落ち着いたムードのハンバーガーショップである。なるほどこういう色の店は、かえって東京には少ない。いやしかし、その雰囲気は店主岡さんの人柄の表れであるかも知れない。

 そんな中、唯一主張強くかつ派手であるのが"GRAND BURGER"という店の名だ。意味はそのまま"偉大なバーガー"。その名を冠したグランドバーガー¥1,280は「2種類のチーズとアボカド&厚切りベーコンの極上バーガー」がその正体である。"極上"であるだけに、ひと通り食べた最後にゆきたいメニューだ。

 来月11月4日で2周年を迎える。「思っていたより反応は好かった」というこの2年。古都京都に根付くハンバーガーショップになるか否かは、次の2年にかかっているだろう。京都にはまだ少ない正統・本格のハンバーガー専門店をめざして――。



【スタンプラリー#26】 GRAND BURGER [京都・出町柳] のカラミティ・ジェーン・バーガー


― shop data ―
所在地: 京都府京都市上京区寺町通今出川下ル真如堂前町107
    京阪電鉄鴨東線 出町柳駅歩7分 地図
TEL: 075-256-7317
URL: http://grand-burger.com/
オープン: 2010年11月4日
営業時間: 11:00〜23:00
定休日: 火曜日(要確認)

2012.10.15 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 西国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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