2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震におきまして被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
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上野(こうずけ)と越後、現在の群馬県と新潟県の境の長い新清水トンネルを抜けると、視界が徐々に開けてくる。と言っても山あいのほんの僅かばかりな平地である。その開けた平地の向うに目的地――。
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午前10時21分、渋谷を出発して4時間12分、越後湯沢(えちごゆざわ)に降り立った。今回の旅の目的地である。進めば石打(いしうち)、戻れば岩原(いわっぱら)スキー場前――雪国である。
ここで長らくの念願であった"駅そば"をようやく口にした。越後湯沢駅の「湯沢庵」でかけそば一杯290円。揚げも天かすも要らない。めんとつゆ、それだけで十分である。「そば」を食べたい気持ちはそれだけで十分満たされる。
さすがは新幹線の駅だ。改札の外にCoCoLo湯沢なる商業施設が魅力的かつ余念無く設けられていて、つい足が向く。これだけ盛大に構えてくれていれば、みやげ物を買い損なう心配もだいぶ減るだろう。
中でも秀逸なのが、奥に控える「ぽんしゅ館」。越後を代表する96銘柄が利き酒できる。500円で5種類かな? 酒好きならヘベレケ必至の夢のテーマパークだ。だが私は日本酒はほとんどやらない。残念ながら何を飲んでもきっと一緒である。
こちらは西口。構えは東口の方が立派だが、温泉街として華やかなのは西口の側だ。
来る週末に開催されるフジロックフェスティバルを歓迎する幕が張られていた。後で聞けば、会場である苗場スキー場の一帯は確かに賑わうが、湯沢の町の賑わいはそれほどでも無いという。なので所々に幕や旗など見かけはするものの、町を挙げてフジロック一色という風でもない。
いわゆる温泉街であるが、規模やその"密度"としては熱海や箱根、草津、伊香保、鬼怒川などと比べ、さほど大きくない。どちらかと言えば鄙びた、山間の静かな温泉地という方が正確だろうか。
目抜き通りと言ってもほぼこの通り一本のみ。ウィキペディアによると「駅前から温泉街が広がっているのは、新幹線停車駅では当駅のほかには熱海駅くらいであり、珍しいケースである」とあるように、その便の好さと手軽さが人気の理由かも知れない。
実際今回のような行き方さえしなければ、東京駅から上越新幹線乗車で僅か1時間12分で越後湯沢へ行くことができる。時間感覚がおかしくなるくらいの速さだ。
駅を出て7〜8分だろうか。西口駅前の一本道を真っ直ぐ歩くうち、はや目的地に着いてしまった。
しかしまだ開いていない。誰も居ない。なのですぐ先にある足湯に浸かりながらノートPCを開き、観光情報の確認でもすることにした。
ところがここで断っておかねばならないのは、湯沢の夏は想像より涼しくないということである。暑くはないが涼しくもない。なので避暑地でもない。「保養地」という言い方が正しいかも知れない。
足湯も想像していた心地好さとは違い、まるで微熱のようなミョウな体温の上昇のし方をして、そのやり場に困った。まぁ夏の足湯はこんなものか――。
程なくして開店の時刻――いよいよお待ちかね、今回の目的地であり主役である越後湯沢のハンバーガーショップの登場である。
店名は「WELCOME KITCHEN(ウェルカムキッチン)」。昨年2011年4月のオープン。地元湯沢出身の大平さんが始めた。夫婦で経営している。
例によって詳細は別記事を立てることにして、まずはランチにひとバーガーいただき、その後数時間をココで過ごした。
尽きぬ話を一旦切り上げ、夜また訪ねることにして、湯沢の町をもっとよく観て回るべく、今度はロープウェイに乗った。
4月から11月までの運行。温泉街の旅館・飲食店などにある割引券を利用すると、200円引きの往復1,300円で乗れる。全長1,300mというから1m=1円だ(笑)。
この日は平日だったが、夏休みを利用した家族連れが遊びに来ていて、程よい賑わいだった。
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頂上の駅は「パノラマステーション」と言う。降り立てばご覧の光景。青空ならば言うことは無かったが、そうは問屋が卸さなかったらしい。 (つづく)
2012.7.24 Y.M