2011年3月11日金曜日に発生した東北地方太平洋沖地震におきまして被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
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さてこの日はまたも友人に連れられ、今度は春の三浦半島・岬めぐり……雨の中(笑)。
北原白秋が詞を書いた「城ヶ島の雨」なる曲を私は知らず(友人は知っていた)、知っていればもう少し楽しめたのかも知れないが、ともあれ何をしに行ったんだか、散々な小旅行だった。後日牧野信一の『城ヶ島の春』という短編を読んで、せめてもの余韻に浸る。
三崎から城ヶ島へは路線バスで(渡船は終了)。滞在わずかに10分、行き来たバスにまた乗り込んで京急三崎口駅まで戻り、観音崎へ向かった後、夕食をとりに立ち寄ったのがどぶ板通り、SURF TACO(サーフタコ)である。「TSUNAMI/津波」の姉妹店。
横須賀が市を挙げて進める「ヨコスカ ネイビーバーガー」のうちの一店。行くと、"波乗りのシゲ"こと飯田社長が自ら焼いておられた。最近好きでよく独りでサーフタコに入っているという。
以前もした説明だが、サーフタコで食べられるバーガーは全7品。在日米海軍最高司令官より横須賀市長に送呈された公式レシピに基づく"真性"ネイビーバーガーが3品――プレイン、チーズ、ベーコンチーズ、そして店が独自に考案したオリジナルが4品――アボカドチーズ、テリヤキ、チリビーンズチーズ、ダブルチーズ。この日食べたベーコンチーズバーガークォーター(110g)¥850は"真性"ネイビーバーガーである。レギュラーはパティ225g。「TSUNAMI」で食べられるものと内容は同じ。但し「TSUNAMI」の方がメニューの品数が多い。
「とにかく食べてみろ、食べてみろ」とおっしゃる飯田社長。昨年私が訪ねてより後、一層の改良を重ね、今のバーガーに自信あるらしいのだ。
何が変わったかと言えば一目瞭然、バンズである。あとは変えていないという。
頼んでいるパン屋も一緒。三浦沖で採れる海洋酵母も一緒。粉の配合は少し変更。以前のものは生地の目がよく詰まり、やたらとムチーッとしていて、かつ愛想も色気も無いようなところがあったが、改良後のバンズはややモチッとした生地の弾きは残しつつ、皮が薄くなり、そして焼き色もこんがりと以前よりも強く着いて、通常一般的なバンズのイメージに近くなった。
何よりも食べやすい。随分と食べやすくなった。
パティは以前のまま。肉は豪州産。噛むのに多少力を要するが、ゴリゴリ・グリグリとした感じではなく、タテよりもヨコの繊維を強く感じる。過剰な味付けはせず、シンプルに肉そのものを噛む楽しみを味わうことができる。
ベーコンは主張強からず、少し強めに焼いた程度の焼き加減なのだが、時折ガリガリ、バリバリとした食感が好いタイミングで顔を覗かせるその要領の好さ。オニオンはグリルド。この甘味は好みが分かれるところか。少しマヨネーズが多いように思う。
やや溶けたチーズのミルク感が、何ともマイルドな口当たり。チーズの味をしっかりと利かす上で、この火の入れ加減は巧い。焼き続けるうちに「掴んだ。わかってきた」とシゲ社長。ネイビーバーガー開始以来、「TSUNAMI」と「SURF TACO」合わせて優に20万個以上は焼いただろうとのお話である。いや、20万個は全くもってダテじゃない。
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バンズを変え、そして焼き方・作り方も洗練された。その結果として以前と比べて随分と垢抜けたと言うか、表情が繊細になったように思う。思えば以前はずっと野暮ったかった。
ビールを一杯やった後、食後にホンチ(どぶ板通り一帯のこと)名物CHU-HISINGLE¥300。味はブルーハワイ! かき氷に入れるアレね(笑)。とても食事中には飲む気になれない。
来るときは降っていた雨もこの時間には上がったようだ。通りを歩く人影もまばら。米兵でにぎわうバーの前で、MP同士集まって、こっちはこっちで立ち話をしている。終電が近い。汐入の駅はすぐそこだ。かくして横須賀の夜は更けゆく……。
→ # 221 SURF TACO [神奈川・横須賀]
# 218 TSUNAMI/津波 [神奈川・横須賀]
― shop data ―
所在地: 神奈川県横須賀市本町2-7
京急電鉄 汐入駅歩5分 地図
TEL: 046-823-3533
オープン: 2003年8月5日
* 営業時間 *
平日: 17:00〜23:00
土日: 11:00〜23:00
定休日: 年中無休(要確認)