2011年3月11日金曜日に発生した東北地方太平洋沖地震におきまして被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
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昨秋のJ-WAVE「Hello World」以来の東京・神楽坂MARTINIBURGER(マティーニバーガー)。この数ヶ月のうちに大きな変化がふたつあり――ひとつ、店のトレードマークでもあるウォッカのメーカー・北欧スウェーデンのABSOLUT(アブソルート)社との、日本では初めてのコラボレーションが実現。いわば"ABSOLUT"の協賛店といったところだろうか。ロゴやPOPを店内外に配し、ハンバーガーと、そして"ABSOLUT"がおいしい店であることを強くアピールしている。
もうひとつは……。
もうひとつはバンズ。コノ店にはバンズの代わりにイングリッシュマフィンを使ったTHE MARTINIBURGER¥1,000と通常のバンズを使ったバーガーとがあり、その通常のバンズを今年1月より東新宿の峰屋製に変えた。マフィンは以前のまま。
というワケでその新バンズを使ったNEW YORK BURGER COLLECTION全6品より本日はBrooklyn¥1,350。サイドディッシュも6品。中からネギ入りマッシュポテトを。
今回の新バンズは特に真新しいものではない。白い小麦粉に酒種の天然酵母という峰屋の定番なのだが、しかし「A&G DINER」や「AS CLASSICS DINER」などのソレとはまた違う、新しいタイプであるという。峰屋のご主人曰く「オレ、自信あんだ」。
しかしこの新バンズには上の各店のバンズのような強い主張は無い。「ご馳走」感を生む独特の甘味は限りなく抑えられている。これは計算ずく。「わざと」である。
峰屋さんも私も見解は一緒なのだが、コノ店のバーガーの主役は紛れもなく「肉」なのである。そんな言い方をすると誤解を与えるかも知れない。と言うのはコノ店に限らず、「ハンバーガー」という食べ物自体、そもそも「肉」が主役の食べ物である。肉が主役で当り前。だがしかし、この日本においては主役と呼べるほどの肉が味わえるハンバーガーはまだほとんど見ないのが実情、見つけるのが難しい状況なのである。
そんな背景がある上で、このマティーニバーガーは完全なる「肉」が主役のバーガー店である。めずらしく「肉が主役の」バーガー店なのである。肉が主役――であればバンズが目立つ必要は無い。頑張る必要は無い。主役の味を引き立たせるにはどうすれば良いか、一歩下がり脇に回って最善の「サポート」を考えればよいのだ。
裏側にグリルで付いた十字の焼き跡。さらにオーブンに入れて加熱している。以前より指摘される「バンズが冷たい」という問題への対策だ。
旧バンズの「無用な甘味」は無くなったが、でも必要な甘味は残っている。一連の肉の旨味が過ぎ去った後、峰屋特有の旨味を伴う甘味が、肉の旨味をフォローするかのようにしっかりと続き、そして一体となって大きな融合を見せる。平べったくない、奥行きのある旨さ。こうした「旨味」のあるバーガーをここしばらく私は食べていなかった。久々の快作である。
表面には少量の白ゴマ。クラム(生地)はほんの少しだけしっかりタイト。間違っても「ふわふわ」ではない。上下の切る位置が好い。これは店のシェフのお手柄。
肉はオージー200g。高さのある・厚味のあるパティで、この日は特に焼き加減が素晴らしかった。店主エリオットさんも「ミディアムからミディアムレアがベスト」というが、まさにその理想のコンディションが実現していたと思う。少し赤味を残してやわらか。脂の少ない「そぼろ」の結合のようなパティなのだが、この日はホロホロとほぐれる感じは無く、そぼろを「しとっ」とさせたような印象。
そしてこの肉の旨味を最大限にまでパワーアップさせるのがマッシュルームから滲み出す旨味成分。そしてゴーダチーズである。これらの絶妙な塩加減! 堪らぬ塩味! すべての味が「肉」を引き立てるという一点のために存在し、作用している。構造が明確である。
ソースはベアルネーズソース。バター、白ワイン、香草などを煮詰めるフレンチのソースである。キュッと酸味が利いてものすごーくおいしいのだが、少量かけるだけでOK。添えられた野菜はこのバーガーについては挟む必要は無い。むしろ挟むと味が落ちるくらい言っておこうか。
食後もう一品、N.Y. HOT SANDWICH COLLECTIONという4品のサンドイッチの中からHamptons¥1,000を。Cubano以外の3品はバーガーと同じバンズを使っている。チキンフィレにアボカド、ベーコンのサンドイッチ。これがまたバーガー以上に美味! 参った!
下処理でマリネした後、直火でグリルした胸肉のコゲが素晴らしいアクセントとなり、絶妙のタイミングで苦味を利かす。ベーコンがまた絶妙の塩加減。ほんのり塩味。ソースはアイオリマスタード。これもおいしい。少し硬めの、でも愛すべき硬さの鶏肉をしっかりと噛み締める、この悦び――。
サンドイッチもやはり「ただ積んだ」「ただ挟んだ」に終わらない、立体的な旨味を生み出している。「味を楽しむ」と言うより「旨味を楽しむ」――そんなバーガーとサンド。久々に大きく心が動いた。
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エリオットさんがNYより持ち込んだ本場・本流のアメリカのハンバーガーに、日本が誇る最高の製パン技術が融合した、私の中ではこれこそが本邦初の日米合作のバーガーではないかと思っている。これこそ私がカリフォルニアより帰国後ずっと思い描いていた、日米双方の長所と長所が合わさり、噛み合った瞬間だ。
基軸はアメリカ。そこに日本が持つ高い技術が加わり、洗練され、一段上のステージへと昇華された。異国の食文化を「日本流に」アレンジしたものとは、質も性格も違う。
これまでバンズに弱さを持っていたMARTINIBURGERだが、これで鬼に金棒。肉もパンも相当力強いハンバーガーに進化した。あとは作り手によるブレ・バラつきが最小限に抑えられれば、かなりな実力店として輝く筈である。やはりハンバーガーは進化を続けている。
→ # MARTINIBURGER [神楽坂] のTHE MARTINIBURGER with ブルーチーズソース
# MARTINIBURGER [神楽坂] のWest Side
# 265 MARTINIBURGER [神楽坂]
― shop data ―
所在地: 東京都新宿区中里町31
東京メトロ東西線 神楽坂駅歩5分 地図
TEL: 03-6280-8920
URL: http://www.martini-burger.com/
オープン: 2010年10月15日
営業時間: 11:00〜23:00(22:00LO) ※変わりました
定休日: 月曜日(要確認)