3月11日金曜日に発生した東北地方太平洋沖地震、ならびにその後も起き続ける余震におきまして被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
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埼玉編、続いては大宮初のハンバーガー専門店、Burger's Cafe Beach Story(バーガーズカフェ・ビーチストーリー)。オープンは昨年2010年5月。
●大宮宿
人生初の大宮。新幹線口として整備された西口から今度は東口へ出てみると、「昭和」をとどめる従来の風景で、俄然こちらの方が興味を覚える。最も目を引く建物・タカシマヤは完全ローカルアレンジ(笑)。その大宮タカシマヤと大宮区役所との間にコノ店。
メインストリート「中央通り」の一本裏、細路地の中ほどにある。タカシマヤのちょうど陰に隠れるような一帯。「隠れ家的」と表現するならその通りである。
タカシマヤとコノ店のある細路地とを隔てる道は、実は旧中山道……この辺りはかつて大宮宿の宿場町だった。つまり本来こちら側の方が、大宮の街の中心だったワケである。
東口駅前だけでマック2軒にロッテリア1軒。中央通りに面してモスバーガーという立地である。特に駅前は都内並みの家賃という。なんでまたそんな場所にコノ店ができたのか……10年前に話はさかのぼる。
●久米島
オーナー羽田(はだ)さんは大宮育ち。今から10年前、二十歳のとき、中田英寿に先駆けて自分探しの旅に出る(ないしは現実逃避とも)。そして旅の果て、南海の小島久米島に流れ着いた。
有り金も尽きた羽田さんを島の人たちはやさしく迎え入れた。ホテルに住み込みで働いて、1年間、羽田さんは久米島で過ごす。
羽田さんは島のレゲエバーのマスターに憧れた。音楽、人生、あらゆることを語り合い、自分もこんな店をやりたいと思うようになった。
南の島は住む人の心までもが美しい。島人は純粋で、それにひきかえ自分は何と汚れていることか。都会は常にセカセカとしてせわしない。この久米島の美しさ、人々のやさしさ、あたたかさ、純粋さ――そんな南国の心を伝えたいと、羽田さんは地元・大宮に店をはじめることを決意する。それが今から10年前の出来事……。
旅から戻った羽田さん、店をやるに際してさまざまな知識・技術を身に付けるべく、計画的に仕事に就いてゆく。アパレル→雑貨や家具も扱いたいと商社→そしてスペイン料理店に1年。料理修業と並行して物件を探し始めるが、駅前は人気があってすぐに借り手が付いてしまうため、手ごろな物件がまず出て来ない。
それでも諦めず、空き店舗と思われる店のシャッターを直接叩いて聞き込みを開始。するとついに一軒、まだ不動産屋に出ていない店に出合う。それが今の場所である。前はカレー屋、元々は焼鳥屋だった。
●どこか南国
飲み屋横町の細路地の、木造二階建――ちょっと惹かれるシチュエーションである。内装工事は羽田さん自ら手がけた。
1階のテーブル席が置かれている場所は、以前は小上がりだったかも知れない。二階は現在、多目的スペースといった使い方で、それこそフラダンス教室や英会話、あるいはライヴにパーティーにお茶会にと、さまざまな用途で使用できる。
店内はハワイでも無い、ジャマイカでも無い、国籍不詳の「どこか南国」といった空気。本好きな羽田さん、気に入った本の販売もしている。
南国をテーマにしたカフェ&バーの、柱となるメニューは……と、すぐに思いついたのがハンバーガーだった。羽田さんは「毎日食べられる」と言うほどのハンバーガー好き。唯一夢にまで登場するバーガー店は北千住の「SUNNY DINER」だそう。
そう、大宮にはこれまで非チェーンの、個人が営むタイプのハンバーガー専門店が無かったのである。そうした意味では大宮初の快挙ということになる。
ハンバーガー7品にチキンとスパムが1品ずつ。ほかにジャークチキン¥780や、パティの肉を使ったミートボール¥390など。つい先日ご飯ものをやめ、バーガー1本に絞った。ランチはなんと5時まで(笑)。好きなバーガーにサラダ+ドリンクセットでジャスト1,000円。
●大宮初の専門店(……への要望)
チーズバーガー¥780。フレンチフライ付き。そしてボイルしたミニトマト付き。
パティは豪州産ビーフと米国産ポークの合い挽き――コレについて私は注文を付けたい。ビーフパティを使ったものをハンバーガーというのである。牛と豚の合い挽きパティというのは、何らかの事情でビーフ100%が叶わない場合の「代替品」であると私は思っている(価格を抑えるため、という事情も含む)。
バターの代わりのマーガリンのようなものである。マーガリンはバターのようではあっても、しかしバターではない。もし牛に豚を混ぜた方がおいしいという、その「おいしさ」を追求することが理由であるのなら、ソレについてはハンバーガーとは呼ばずに、新しい名前の別な料理にしていただきたい。ハンバーガーとは、牛の肉をいかに手軽においしく食べるか――ということが本質の食べ物である。
久米島の心を伝える店であるなら、ぜひハンバーガーの心もよりリアルに伝えて欲しいと思う……あ、ちなみに読者諸兄諸姉へ。こうした感想・助言・注文の類は、店を訪ねた時点ですでに店主ご本人に直接お伝えしている。名も名乗らず、顔を隠して、陰で言っているワケではないので、どうぞご承知置きを――。
さておきチーズバーガー。横長の木皿に盛った出し方はクアアイナ風。
パティは合い挽き100g、バンズは地元大宮の「オルブロート パンジー」が作る特製。ロールパン生地。なので少しふかふかとやわらかい。特にこのパティの場合、豚特有の硬さもあるので、食感を揃えるならまた違った生地もアリか。
チーズはチェダー。オニオンはグリルド。やや歯応えの残る、硬い焼き方。味の上でも食感の上でもこのオニオンの印象が最も強い。葉先の部分を中心に選んだレタスを重ね、トマトの上にタテ切りのピクルス。あとはケチャップとマスタード。
一日の終わり、南洋の海の彼方に沈む真っ赤な夕日を全身に浴びながら、美しい砂浜で頬張るハンバーガー……ってどんな感じだろうか。
●新しいStory
海の無い県・埼玉県は大宮の、裏路地にあって「海」を伝える店。
それまでの俺は「カスだった」と羽田さん。久米島の美しい海に、自然に、そして島に住む人々の美しい心に惹かれた二十歳の青年が、10年をかけてついに実現させた店である――つまりそう、コノ店自体が、他に代わるものの無い、かけがえのない「Story」なのである。
久米島に始まった「Beach Story」は現在進行形。大宮"初"から大宮を「代表」するハンバーガー店へ……今後の発展に大いに期待! 上記リクエストの件もご検討下さいネ!
→ # Burger's Cafe Beach Story [埼玉・大宮] のスタンダード(再食)
# Burger's Cafe Beach Story [埼玉・大宮] のジャークチキン
# Burger's Cafe Beach Story [埼玉・大宮] のビーチ
# Burger's Cafe Beach Story [埼玉・大宮] のハラペーニョエッグチーズ
# Burger's Cafe Beach Story [埼玉・大宮] のパイナップルコンボ
# Burger's Cafe Beach Story [埼玉・大宮] のスタンダード
# Burger's Cafe Beach Story [埼玉・大宮] のチーズコンボ
― shop data ―
所在地: 埼玉県さいたま市大宮区大門町2-108
JR・東武・埼玉新都市交通 大宮駅東口歩5分 地図
TEL: 048-782-6810
URL: http://beach-story.jimdo.com/
オープン: 2010年5月20日
* 営業時間 *
火〜土: 11:30〜24:00(23:00LO)
日祝: 11:30〜18:00
定休日: 月曜日(要確認)
私は浦和に住んでいるので大宮にもよく行くのですが、Burger's Cafe Beach Storyさんはこのブログを拝見するまで知りませんでした。
合挽肉のパティとはどんな感じなんだろう?と少し興味があり、先日食べに行って見ましたが、店長さん、この記事の取材を受けた後に色々と試してみて、今では値段は据え置きで国産牛100%のパティ(100gくらい?)に変更されたそうです。
さいたま周辺にはまだこのジャンルのお店が少ないので、地元の私としてもがんばって欲しいお店です。
コメントありがとうございます。大変遅くなりました。
そうですか。ついに牛100に。その割りにはお店からはご連絡無いですけれども……(笑)。ま、お忙しいのでしょう。
そう、コノ手の専門店がさいたまエリアまだまだ少ないだけに、一店一店の責任と言いますか、役割は重大なのです。「あ、こんなモンか」と思われてしまったら、もうそれ以上足を運ばなくなりますのでね。専門店に。