3月11日金曜日に発生した東北地方太平洋沖地震におきまして被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
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先週14日の「やじうまテレビ!」出演に続き、18日に発売された月刊誌『MONOQLO (モノクロ) 2011年8月号』についての補足説明をさせていただきます……。
「ハンバーガーを100個食べてランキングする」、しかも「1日で取材を終わらせる」と聞かされて、逆立ちしたって無理だろう……と思っていたところが、蓋を開けてみれば専門店のハンバーガーではなく、チェーン店のハンバーガーを100個食べるという企画でした。100個の内訳は以下の通り。
モスバーガー 15個
マクドナルド 14個
フレッシュネスバーガー 14個
バーガーキング 13個
ロッテリア 12個
ベッカーズ 11個
ドムドムハンバーガー 10個
ファーストキッチン 8個
ケンタッキーフライドチキン 3個
「モス」「マック」は文句無しの全国区ですが、「ベッカーズ」はご存知の通りジェイアール東日本フードビジネスが経営しており、店舗は東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県に限られます。その規模で全国誌に掲載する「大手9チェーン」に加えて大丈夫か……という気もいたしますが、それを言ったら「バーガーキング」だって一都三県で36店。
一方、意外なカバー率が「ドムドム」で全国26都道府県で101店。こちらの方こそ「大手チェーン」にふさわしく思いますね。でも三重県のページは開かないし、横須賀の店は重複してません?
ま、そんな調子で、どうせ特集するならその辺りのデータまで詳細に欲しかったですね。ともかく、上に挙げた大手9チェーンのハンバーガー(正確には単に「商品」と呼ぶべきでしょう)100個をジャッジしました。
食べたのは私一人ではありません。「識者」と呼ばれる採点者が計5名。しかも「全体の味バランス(担当2名)」「バンズの評価(担当1名)」「肉の評価(担当1名)」「栄養バランス(担当1名)」と、それぞれに特化した採点分野を持ちます。
さらに「重さ(グラム数)」「コストパフォーマンス(カロリー÷価格)」「主要原材料の数」「食材情報公開度」「独自性」という5項目を加え、計9つの評価基準により、100個のハンバーガーを数値的に評価してゆこう――という、ま、そんな試みですね。
「コストパフォーマンス(カロリー÷価格)」「食材情報公開度」といった辺りは雑誌の企画らしい面白い切り口で、数値化する意味を感じますが、ただ"識者"のジャッジ自体は所詮は「主観」ですのでね。
ホントに100食べたんですか? って、ホントに100食べましたよ。但し"識者"5人で食べ分けたワケですけれども。それでも、1個を仮に5分の1ずつに分けたとしても、100個の5分の1は20個ですから、ハンバーガー丸20個相当を胃袋に収めたことになります。
しかも当初予定では、それを「1日で」やることになっていたのですが……無理に決まってるじゃないですか! 結局2日にわたり100個を食べ切りました。いやー正直、「試練」でしたね。「やじうま」のディレクターの要求も試練でしたが、これもまた違う意味での試練。ハンバーガー探求の道を精進する上で、避けては通れない試練であったかも知れません。おかげでひと回り大きく成長させていただくことが出来ました……って体重のことじゃありませんよ(笑)。
結論から言うと、やって良かったですね。そもそも他人から言われでもしない限り、自ら「やってみよう」と思い立てるような軽い試みでもないですし。続けざまに、しかも短期間に100個食べるなんて、人生この先二度と無いでしょう。いや、もうやんないですよ、こんな企画(笑)。
"被験者"の苦労はさておいて、それよりもこの実験の結果「何がわかったか」――それこそが重要です。
「やじうま」のときも言いましたが、順位は重要ではありません。順位1つの違いなんて、ほぼ意味なんて無いですよ。なのでそんなところは見ないでいただきたい。私が最重視しているのは「傾向」です。
ハンバーガーという食べ物、ないしはハンバーガーとよく似た形の食べ物に対して、日本人は何を求めているのか、何を期待しているのか――ということが明確なカタチとして表されたことは、たいへん意義あることだったと思います。日本人のバーガー観および嗜好については、私も以前から「こうではないか」と分析・推測するところがあったのですが、それが今回、ほぼ思っていた通りに実証されることとなりました。
ですがその点を除けば、実に無理の多い企画です。
まずもって「ケンタッキーフライドチキン」が入っている時点で「ハンバーガーランキング」では無いではないですか。チキン、フィッシュ、えび、コロッケの類――これらを加えたいのなら「ファストフードチェーンランキング」とすべきでした。
ないしは「サンドイッチランキング」とするなら解ります。でもそうなると「サブウェイ」が入っていないのがおかしい。その辺は雑誌を売る上での「都合」というものもありましょうから、譲りましたけれども。
しかしおかしいものはおかしい。アメリカで「soba(蕎麦)」のランキングをやると言って、「うどん」や「ラーメン」「そうめん」が平気でランクインしちゃってるようなモンでしょ。まぁ所詮、舶来の食べ物に対してなんて、その程度の無頓着な認識しか持ち合わせていないってことですよ。もっと言えば、食文化の理解というのはそれくらい難しいということです。
ともかく、そういう「無理」を多分に含んだランキングでございます。んん……しかし、「KFC」は余計でしたねぇ。それって、「牛丼と親子丼と、どっちがおいしい?」って聞いてるようなモンでしょ?
それでも十分貴重な実験記録です。身を擲(なげう)って協力した甲斐がありました(笑)。繰り返しますが、商品個々の価値を評価・数値化したこと自体に、さほど重要な意味はありません。重要なのは、あくまで「傾向」です。そこを正しく読み取っていただければ、なかなか面白い試みだろうと思います。
採点した"識者"もそれぞれに専門分野のある人たちですし。同業者(料理人や企業の開発者など)がジャッジしているワケでもありませんし。100個集めて、5人集めて、ワーッと一気に点数付けちゃうなんて、やはり雑誌ならではな企画であります。
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皆さまそんな心づもりでどうぞお読みになって下さい。その上で栄えあるランキング1位は一体どこの何バーガーなのか!? なんて気にしていただいて、全然良いのではないでしょうか――えぇ、良いですとも! (つづく)
晋遊舎 『MONOQLO (モノクロ) 2011年8月号』
出版社: 晋遊舎
価格: 680円(税込)
発売日: 2011年6月18日
「『全部食べました!』ハンバーガーランキング100」、果たして頂点に立つのは??!
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