2011年06月13日

# 263 gem's burger [吉祥寺]




 3月11日金曜日に発生した東北地方太平洋沖地震におきまして被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

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 晴れて6月14日火曜日放送、テレビ朝日「やじうまテレビ! こだわり旬感ランキング」に登場の店3連発!

 JACKSON HOLEに続いては、例の長らく工事中だった店、吉祥寺のgem's burger(ジェムズバーガー)。本年4月4日にオープンしたばかりの新しいお店です。

※なお当記事、日付は「6月13日」付ですが、14日の「やじうま」放送終了を待ってアップしております。

やじうまテレビ! 教えて!あの店あの情報
【二ッ目!】 I-Kousya [水道橋] のブルーチーズバーガー(再々食)
# 262 JACKSON HOLE [調布]



 店の概要については以前ご紹介の通り。この辺りの記事をご覧下さい。


 補足説明すると、オーナー"ジェム"さんはトルコがお生まれのトルコ人。なので我々日本人とはインテリアに始まり、さまざまな場面で感覚が違う。

 たとえば目を引く緑色の看板――エコモス・システムという、壁面緑化などに使われる「苔」を使っている。店内最奥の壁を壊して裏庭へと通じるフランス窓を設け、BGMは天井吊りのスピーカーでなく、店内に3台配置されたマーシャルのギターアンプで鳴らす。曲を選んだのは私。選曲意図についてはこちらを参照のこと。6月13日現在3,456曲。


 キッチンも変わっている。大きな量りの右横にあるのはトルティーヤ・マシーン。

 機械にトルティーヤのタネを入れると、薄く伸ばされて出て来て、ホットプレートの上で風船のようにぷくーっと膨らむ。グリルがお客さんの方を向いているのも異例。大概ホールに背を向けて焼くものである。

 私がジェムさんと知り合ってまざまざと思い知らされた、日本人と西洋人・欧州人との最大の違い――それは「肉」を食べてきた歴史の長さである。

 日本人にとって牛肉と言えば「サシ」や「霜降り」といった脂のおいしさだが、彼らはいかに「身」をおいしく食べるか、その術を熟知しているのである。それは遺伝的なものでもあろうし、また生まれながらの生活習慣の違いであると言ってよいと思う。

 とにかく感覚的な違いである。こればっかりは逆立ちしたって、我々には真似出来ない。我々日本人と彼らとでは、肉に対する扱いや接し方がそもそも違うのである。センスが違う。


 富士山の溶岩石による遠赤外線効果を駆使したガス火のグリルで焼かれるパティは、ステーキの扱いと何ら違いがない。コノ店のバーガーは、ハンバーガーである以前にステーキである。

 バーガー類9種類。チキンとラムはともにミンチ肉のパティ。最もシンプルなジェムズバーガー\1,100。一番シンプルなのが1,100エ〜ン!?と驚くかも知れないが、パティ170gでこの値段はむしろ安い。肉は豪州産の肩ロース。

 まず運ばれてきたときの、この焼いた肉のニオイ。肉の味を最大限に引き出す塩加減、コショウ加減。そしてジェムさん秘伝のシーズニング。クラウン(上バンズ)の裏に塗った少量のタルタルソースと混ざると、さらに好い味加減に。

 アチラのステーキ肉と聞いて想像する「パサパサ」や「ガチガチ」な硬さは無い。直火でも脂は落ち切らずに、中にしっかりと内包されており、ふっくらとジューシーな仕上がり。溶岩石から発される遠赤効果で火も中までしっかり通っている。直火独特のコゲの香ばしさ。そして豊かに湛えた肉汁……そんなパティがバンズの間に挟まっているのである。


 片やバンズは地味である。ツヤのない白い表皮。目はしっかり詰まり気味で、食べ口は重ため。ウェット。臼歯で磨り潰すような噛み応えのパティとは食感的によく合っている。サクサクと食感のアクセントになっているのはオニオン。スライスの厚味が薄過ぎず、分厚過ぎず、絶妙。

 ジェムさんの強味は、肉の扱いに長けているが、しかし「アメリカ人ではない」という点である。なのでアメリカのハンバーガーのルールに縛られる必要が無い。純粋に「肉をおいしく」という観点で、自由な発想に立ってハンバーガーをより良くアレンジすることが出来る。

 なので、コノ店にはケチャップとマスタードが無い。「肉をよりおいしく食べる」ことと、「ハンバーガーにケチャップとマスタードをかける」こととは、コノ店では結び付いて考えられてはいない。実際、このステーキのような肉には、ケチャップもマスタードも不要だろう。


 ソースや調味料の味で決めず、頼らず、ごまかさず、肉本来の味や香りを最大限に利かせた構造。

 調味料による作られた味で食後の余韻が支配されないため、170gもの肉をガツガツと味わいながらも、後味はすごく自然。

 ランチタイムの付け合わせは「ディル風味のポテトサラダ」か「グリーンサラダ」より二択。ディルとは地中海沿岸原産のセリ科のハーブ。トルコ生まれのジェムさんらしく、レモンなど搾ってキュッと酸味を利かせた、南欧な味付け。

 その他、グリルしたビーフやチキンをトルティーヤで巻いたラップロール3種。ロコモコ、チリライスなど。特にディナーメニューの充実が今後の課題である。

§ §

 国籍不明、でもどこか外国――といった店である。これまであまり日本には無かったタイプの、よりアチラ的な思想のハンバーガー店。そうした意味でも新鮮。パティのサイズといい、調味料を用意しないことといい、フレンチフライを添えないことといい、実験的な試みが多い店でもある。

 店内の椅子はすべて肘掛け付き――「心ゆくまでくつろいで」という証である。テラスはドッグOK。五日市通り沿い、成蹊大学の目の前。かつてマクドナルドが在った場所。周囲を住宅街に囲まれており、自転車に乗った客が非常に多い。

 "gem"とはオーナーの名前の英語表記、そして「宝石」の意。本場アメリカでは、ちょっといいバーガー店を"hidden burger gem"などと言うそうである。吉祥寺の住宅街に出来た、そんな「とっておき」の店。



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― shop data ―
所在地: 東京都武蔵野市吉祥寺本町4-26-16 ライオンズマンション吉祥寺1F
      JR・京王 吉祥寺駅歩15分 地図
TEL: 0422-36-5022
オープン: 2011年4月4日(プレオープン: 2011年3月3日)
営業時間: 11:00〜23:00
定休日: 水曜日(要確認)

2011.6.13 Y.M

gem's burger ハンバーガー / 吉祥寺駅
夜総合点★★★★ 4.0
昼総合点★★★★ 4.0

posted by ハンバーガーストリート at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京編◆西部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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