3月11日金曜日に発生した東北地方太平洋沖地震におきまして被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
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福岡・天神におけるfrisco(フリスコ)再開のため、九州へ出発された森崎オーナーへのインタビュー第2弾――ある日突然「gourmet burger」(「ゴーメー」に近い発音)が現れたという話の続きです。
以下引き続き、森崎さんのお話。
アメリカの会社員はランチを大切にする。紙一枚にくるまれた2ドル3ドルのハンバーガーを、わずか数分で食べ終えて……というスタイルももちろん本来の姿としてあるのだが、アチラのオフィスワーカーの中には、海に向いたテラスや丘の上の眺めの良いレストランで、貴重なランチの時間を優雅に過ごしながら、皿に乗ったハンバーガーをゆっくりと味わいたい――という人もいるのだと。
そんな人たちへ向けて、さまざまに手を加え豪華にした、テーブルへサーブするハンバーガー、「gourmet burger」が登場したのは80年代に入ってからだったか、それとも後半か……。とにかく「後になって出て来た」ものと森崎さん。
当時で20ドルとか。食材に手を加えることで付加価値を生み出すこうしたやり方は、アメリカ本来のやり方ではない。アメリカでは基本的に材料にあまり手を加えない。きっとフランス辺りの影響ではないか。さもなくば日本か……。
サンフランシスコの対岸、芸術家などが多く集まる高級住宅地・サウサリートにも、ハンバーガーが有名なレストランがあった。しかしどんなに有名でおいしくても、ソレを目当てにわざわざ食べに行くようなことはアメリカではあまり無い。アメリカにはマニアたる人の人口は少ない。食に対する追求・探求はあまり無い。
ところで、森崎さんが「ハンバーガーを食べるならココ」と決めていた掘っ立て小屋のような店――その店にはケチャップとマスタードが一切無かった。
と言うか、「ケチャ&マス無しでお客さんからクレームは出なかったんですか?」と私から訊かれるまで、森崎さんはそのことについて一切の疑問も違和感も抱いたことがなかったという。
実際、文句を言う客は一切無かった。非常に客の多い人気店である。それでも不平不満の声が挙がらなかったということは、そもそも調味料を必要としない、調味料の助けを借りなくとも十分おいしく食べられるハンバーガーだった――と考える以外ない。
しかしハンバーガーには付けずとも、どうしても「ポテトはケチャップで食べたい」という客も中にはいるだろう。「どうしてたんですか?」と訊くと「塩コショウを振っていた」と森崎さん。ポテトでもクレーム無し……となるとおそらく、「コノ店はこういう店だ」ということで暗黙のルールが出来上がっていたとしか考えられない。
米国東部コネチカット州の"Louis' Lunch"は店内にわざわざケチャップ禁止の注意書きまで貼り出しているというが、森崎さんお気に入りのコノ店にはそんな説明すら無かった。広いアメリカ、食べ方もやはりさまざまである。ちなみに在りし日のfriscoでは、ハンバーガーにケチャップ&マスタードをかけるお客さんはほとんどいなかったそうである。
さらに余談。私が昨秋米国を旅した際、頻繁に遭遇したサウザンアイランド風のソースだが、森崎さんによると"ファストフード"の定番であり、「gourmet burger」やレッドオニオン同様、やはり「ある時期から」よく見かけるようになった味付けとの話である。
森崎さんの持論は「ハンバーガーはピラミッド」。もちろんその主役は肉。
「主役は肉」とわざわざことわるのもおかしい。「肉は旨いのが当たり前。肉が旨くないバーガーはハンバーガーじゃない」というくらい、そもそも論じる以前のハンバーガーの大前提が「肉のおいしさ」なのである。
その肉を三角形の頂点とする。他の食材は肉より先に出てはいけない。しかし構成する食材ひとつひとつの味は明確にわからなくてはいけない。肉の下にあって肉の脇をがっちりと固め、素材だけが絡み合い一丸となって肉のおいしさを引き立て、押し上げる――それが60年代的ハンバーガーの「ピラミッド」である、というのが森崎さんのハンバーガーピラミッド論。
つまり、バーガー食べて「肉がおいしい」などと論じる無かれ、という話である。肉がおいしいのは最低条件、当たり前。肉以外にじゃあどんな部分に特色があるの? 魅力があるの? という、そこで語ってくれ――と、森崎さんはそう声を大にして言っておられるワケである。そう思うと私なんか長年にわたり、ずいぶんと恥ずかしいことばかり言い続けてきたものである(笑)。
そんな森崎さんが作るfriscoのハンバーガーを食べたお客さんの一人(米国人だったか、長年米国で暮らした日本人だったか、失念)に「メンフィスで食べたハンバーガーにそっくりだ」と言った人がいるという。それが正しいか否かは森崎さんにも判らぬが、ただ一点言えるのは、渡米生活36年、その間飲食業とは一切無縁の職業に就いていた森崎さんでも、「ルーツ」とも呼べるハンバーガーとの出会いをしっかり経験している――ということである。
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その経験とは一体何なのか、またも続きとさせていただきまして……。 (つづく)
→ 福岡でショップを再開/(下北沢のfriscoバーガー)福岡へ移転
(公式ブログ)
→ # frisco [下北沢]、福岡へ その1
# frisco [下北沢] のハンバーガー
# 231 frisco [下北沢]
― shop data ― (旧情報)
所在地: 東京都世田谷区北沢2-34-11
小田急・京王 下北沢駅歩5分 地図
TEL: 03-3468-5744
オープン: 2005年8月9日
営業時間: 11:30〜21:00(パティ無くなり次第終了)
定休日: 火曜日(要確認)