2010年06月22日

# 234 good mellows [鎌倉・長谷]



 以下、初めてこの店を訪ねたときの話である――。

●Loco's

 相模国鎌倉、大仏で有名な長谷で江ノ電を降りて、大仏は見ずに、海へ――。国道の向こうに冬の白い海。そのまま由比ヶ浜海水浴場には降りずに、国道134号線を江ノ島方面へ――。弧を描く海岸線に沿って道なり、5分も歩けば水色の看板を掲げたこの店に行き当たる。

 海に向いたオーシャンビューのハンバーガーショップ。以前はLoco's(ロコス)というシーフードレストランだった場所である。真っ青だった外壁は、今はコゲ茶に塗り替えられている。

 テーブル14席、カウンター7、テラス7。建物1棟まる借り。2階はイベントなどの多目的スペース。行く行くはココにも席を並べたい。屋上(3階)は視界遮るもの無し、由比ヶ浜で開かれる花火大会の際には特等席に。今年の鎌倉花火大会は7月21日開催――。


 「この辺に住んでいる人の家の雰囲気」に近いという店内。白く塗り替えた壁に南国の野鳥の画、帆船模型、サーフボード――磯の香りがふんぷんと感じられる。

 母屋の後ろに張り出すように造られたトイレや、キッチンの隣に拡張されたチャコールグリルなどの設え(しつらえ)にも海辺らしい豪快さが感じられる。乗り古したスケボーをリフォームしたオブジェ、トイレへの狭い通路に懸かる壁画が秀逸。


●クラブDJ〜海の家

 オーナー上原さんは弱冠25歳。生まれ鎌倉、育ち逗子。


 DJ YASUの名でクラブイベント、フリーパティーをよくやっていた。そんな仲間から「海の家をやろう」と話が起こり、3年前の夏、海の家のキッチンに。1年して「働いてみないか」と誘われたのが、かの有名な七里ガ浜のパンケーキレストラン、「bills(ビルズ)」である。

 ビルズにもハンバーガーはあったが、上原さんがハンバーガーと"出会った"のはそれより以前、東京は原宿の「THE GREAT BURGER(ザ・グレートバーガー、以下「GB」)」において。ハンバーガーという食べ物に感激し、強い衝撃を受けた店である。以後しばしばGBへ行くことが習慣になったが、他の店に行くことはほとんどなかった。


 飲食店をやるんだったら専門店にしたい。「色が好き、カタチが好き。食べ物を超えて、ハンバーガーはファッション」と語る上原さんは、純粋にして熱烈なるハンバーガーマニアの一人である。

 ビルズで働いていたとき、知人から共同出資を提案されて、ついに自分の店を始めることに。その後知人は経営から退いて、今は上原さん独り。グッドメローズ開店前、大学在学中に1年間、Loco'sのチーフコックらと一緒にシーフードレストラン「パロル」をプレオープンしていた時期を経て、昨年7月、海水浴シーズンの只中にオープン。

●棚の上のHASHEEM


 一段上がったソファの頭上に懸かる、棚の小物が面白い。上原さんの「カルチャー」に関わりの深い品々がこの棚には置いてある。たとえば→コノ写真は漫画家井上三太氏のショップ「サンタスティック」で売られている、HASHEEMのフィギュア。

 上原さんは中学生の頃からバンド活動に励み(ベース担当)、横須賀で頻繁にライヴをやっていた。ライヴハウス近くの"たまり場"が、今は無き名店「FAN」という古着屋で、国内屈指の「アディダス」マニアとして知られるFANの店長を通じて、アメリカンカルチャーに慣れ親しんでいった。


 そのFANの下に在ったハンバーガーショップが「ウィチタバーガー」――この若年にして、何だかすごく神奈川県南東部のディープなカルチャーを呼吸している。

 ハンバーガー類10品。「Goodバーガー」¥850に始まり、目を引くところでは「鎌倉てりやきバーガー」¥1,050。ドッグ3品。バッファローチキン、ナチョスといった定番のサイドがひと揃え。近隣の海の男たちからは「米を出して欲しい」という要望が強い。

●Goodバーガー

 チャコールグリル、炭火で焼いている。


 ただしその扱いはまだ「研究中」という段階で、今冬訪ねた頃は店内が強く煙ったり、石油ストーブのような強烈なニオイが外にまで立ち込めたりと、問題を多く抱えていた。日々改善に努め、今ではだいぶ手慣れた模様。肉の焼き方については下北沢の「frisco(フリスコ)」を大いに参考にした。

 生ビール¥600は、食事と合わせて初めてそのおいしさを発揮するカールスバーグ。最初プレミアムモルツだったが「濃過ぎて」やめた。地元鎌倉の「鎌倉ビール」も置いてある。こちらもゴクゴクやらずに、食事と共に味わいながら飲むビール。


 Goodチーズバーガー¥950。クラウン(上バン)、チェダーチーズ、パティ、レリッシュ、マヨネーズ、トマト、レタス、マスタード、ヒール(下バン)。

 チーズはナチュラルチーズをスライス。オニオンは抜く人がいるので入れていないというが、いつも言うようにバーガー全体の味として、やはり締まる味があった方がよりグレードが上がることに間違いはない。オニオン嫌いなどに負けてはいられないのである。

 詳しくは5月に訪ねた際に食べた「【二ッ目!】 good mellows [鎌倉・長谷] のgoodバーガー」に書いたのでそちらをお読みいただきたい。この冬の時点ではバンズの上(クラウン)の切り方が大きかったことと、炭火の効果があまり感じられなかったことを特に挙げておく。

●より良い「中間」


 ベストマヨネーズを中心に肉・野菜の味が程よく調和し、小さなまとまりを見せている。今後さらに大きなまとまりへ変わるよう、最強の武器・チャコールグリルを駆使して果敢な進化を遂げていっていただけたら――と切に願う次第。

 店名「good mellows(グッドメローズ)」とは、スローライフとファストフードの「中間」、より良い中間――という意味。地元の人に愛されつつ、海水浴で訪れたお客さんにも「湘南行っておいしいハンバーガー食べた」と言ってもらえるようになりたい、と上原さん。

 湘南らしいライフスタイルがにじみ出るような店を目指して――。海風そよぐ、鎌倉のハンバーガーショップ。



# good mellows [鎌倉・長谷] のパイナップルバーガー
# good mellows [鎌倉・長谷] のアボカドバーガー
# good mellows [鎌倉・長谷] のgoodバーガー

― shop data ―
所在地: 神奈川県鎌倉市坂の下27-39
     江ノ島電鉄 長谷駅歩8分 地図
TEL: 0467-24-9655
URL: http://www.goodmellows.com/
オープン: 2009年7月16日
営業時間: 9:00〜15:00, 17:00〜20:30LO
定休日: 火曜日(要確認)

2010.6.22 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 23:47 | TrackBack(1) | 東国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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Tracked: 2013-04-05 22:38