2010年02月27日

# 222 MUNCH'S BURGER [東京、埼玉]



 キャリア4年――実はめずらしい移動販売専門のハンバーガーショップ。

●FELLOWSにて

 オーナー柳澤さんと出会ったのは2年は前だと思う。駒沢の「FELLOWS」に行った折、偶然来ていた柳澤さんをフェローズのオーナー黒川さんが紹介してくれた。名刺まで交わしたからにはすぐにも食べに行くべきなのだが、そう気に留めつつも、何となく今日までやり過ごしてきた。


 だがその"熟成期間"が結果的にはプラスに働いた。「ハンバーガーの移動販売をやりたい」という相談が私のところにも来るようになり、最近ようやく移動販売というものが"心から"気になりだしたのである。

 不景気な御時世でもあり、「移動販売なら少ない元手で始められる」「ハンバーガーなら誰にでも簡単に作れる」といったイメージから、商売のタネに考える人が現れても不思議はない。それであらためて移動販売の実態に興味が湧いたのである。一体彼らは日々どんな仕事をしているのだろう――。

●ブッチャーでラッパー

 クッキングスクールに勤めていた奥さん・裕美子さんが「移動販売やろうか」というアイデアを柳澤さんに持ち掛けたところから話は始まる。


 柳澤さんはその頃、肉屋でバイトしながら音楽活動、つまり「ラップ」に燃えまくっていた。トレードマークのドレッドヘアはラッパー魂の証――但し、まさか数年後の自分がハンバーガー屋になろうとは思ってもみず、肉屋稼業にはそれほど身を入れていなかった。

 「じゃあふたりで始めようか」と話は進み「じゃあハンバーガーやろう」となったのは、コレ以外思いつかなかったから(笑)――と言うのは半ば冗談、でも半ば本当。移動販売と言えばカレーにケバブ、タコライス……同じことやっても意味が無い。他がやらないことを始めてこその挑戦だ。

 そもそも柳澤さんはラッパー時代、都内で食べたハンバーガーにそれまで思いもしなかったような強烈な魅力を覚え、今やすっかりハンバーガーの虜になっていた――なのでハンバーガー。味は柳澤さんが1人で決めた。料理人ではないので試作には膨大な手間と費用を要した。目指すは最強のシロウト!


 クルマを用意せねばならない。最初はあんなコト・こんなコト夢が膨らみ、見積額も800万〜1000万円に大膨張。それでは固定店舗と変わらない。

 そもそもハンバーガーの移動販売自体、身近に無い。なので真似の出来るお手本が無いのだ。そこでこの道20年のベテラン「移動たこ焼き屋さん」からアドバイスをもらい、クルマを作った。だからマンチズバーガーの車両にはたこ焼き屋のノウハウが活かされている。小さな鉄板から始めて、今のスズキ・キャリーは2台目。


●ネオ屋台村

 もっと簡単にやれると思っていた――でも全然違った。甘かった。


 クルマは出来上がった。いつだって始められる。ぐるぐると程良い場所を探して回り、クルマを停めて営業してみた。ところがあらゆる理由によってソレが「許されない」のである。勝手に営業しちゃダメ! ――まずぶつかる壁は、場所が無いこと。

 柳澤さんは旧浦和市民、Jリーグ浦和レッドダイヤモンズのファンである。ある日埼玉スタジアムで開催されるレッズ戦を観に行くと、競技場の周りに色とりどりの移動販売車が並んでいる。ウチも出たいなぁと思い、屋台のひとつに話を聞くと「ネオ屋台村」のことを教えてくれた。


 ネオ屋台村とは、オフィス街にキッチンカーが日替わりで集まり、世界各国のランチメニューを手頃な価格で提供するという新しいサービスで、都内では今やすっかりおなじみの光景である。

 首都圏の屋台村は現在16ヶ所――発祥の地が東京サンケイビル村で最大規模は東京国際フォーラム村の8台出店。他にJリーグなどのスポーツイベントやロックフェス・野外ライヴなどへの出店もおこなう。

 オフィスビル前の広場などを、屋台村を企画・運営するワークストア・トウキョウドゥが契約して使用しているので、各屋台は日々出店場所を探す必要が無く、また路上で営業して所轄の保健所や警察に追い立てられる心配も無く、合法的に、安心して、堂々と商売が出来るという――そこが最大にして画期的なメリット。場所によっては電源が引かれていたり、テーブルセットを並べたりとインフラも充実している。

●麹町村

 開業から半年、そのネオ屋台村に参加。


 ココ"麹町村"はマンチが屋台村に加わって初めて出店した場所である。当時は週1度、麹町にだけ出すよう言われていたので、残りの曜日はそれまで同様転々と場所を探していた。現在は平日週4日、昼の都内の空腹を満たして回る。営業時間は各所おおむね11:30ごろ〜14:00ごろまで

 火曜日:日比谷パティオ村
 水曜日:三田徳栄ビル村
 木曜日:有楽町東京国際フォーラム村
 金曜日:麹町31MTビル村

 (以上2010年4月現在)

 Jリーグのシーズンが始まれば土日はスタジアムに出店。昨夏は県民プールの売店もやった。

 各村、曜日ごとに出店する屋台のスケジュールが決まっている。麹町村にマンチが出るのは金曜日。つまり週に1度しか食べられないのだが、それでも初出店以来3年以上出続けるコノ場所には、3年来買いに来てくれる常連さんが付いている。販売数も今や当初の4倍にまで増えた。



 冬の金曜日、開村前の麹町村に行くと、まさにマンチが開店準備中。ネズミ色のシートの上に停めた車体の色はサンオレンジスクール☆ウォーズ』でイソップがユニフォームに付けていたライジング・サンの……ってゴメン、観たことないんだよネ(笑)。

 荷台に積んだ「箱」の中がキッチン。内部は言い尽くせないくらい実によく設計されており、とにかく限られたこれだけの空間の中にあらゆる必要なモノが無駄なく格納されている。例えばこの小さなクルマの中にフライヤーがあることを誰が想像出来るだろう。

●ジャンクとグルメの間

 ひたすらオペレーション重視。グリドルは火力の強いプロパンガスで8個同時に調理可能。初代のクルマは天井が低くて腰をヤられるわ、夏場、目の前が真っ白になりだし、温度計見たら室温60℃だわ(笑)。


 固定・移動の別なく、ハンバーガーという食べ物はやはりその導入(走り出し)が大変難しい商売である。どうしても「低く」見られてしまう。

 ファストフードという見方をされて、なのに「値段が高い」「スピードは遅い」と敬遠される。まして移動販売はサッとすぐ買えて、値段も手頃――だからこそ価値があるワケである。ことハンバーガーの場合、チェーン店がそこら中にある。それらへ行かず、この寒空の下「敢えて並ぶ」選択をしてもらうことのいかに大変か――。

 そう、移動販売のハンバーガーは想像以上に大変なのである。それが証拠に現在ネオ屋台村に参加するキッチンカーのうち、ハンバーガー屋は唯一マンチだけ。当初屋台村の本部にもマンチを心配する向きもあったというが、今や他の定番料理に全く引けを取らない抜群の人気と成績を誇り、本部の信頼は厚い模様。


 いかに安く、早く、そして「それなりに温かいもの」を提供できるか。味で勝負したら"グルメバーガー"に負けるので、あとはスピード。柳澤さん曰く「グルメバーガーをファストフード並みの早さで出している」。

 確かにその提供時間は驚異的だ。どんなに並んでも、注文を聞いてから必ず「3分以内」にこれだけの良質なバーガーが手渡される。

 とにかく早く提供するためパティの工夫を重ねた。極力薄く、しかし噛み応えは出したい。バンズも焼きやすく工夫。「ジャンクとグルメの間」を狙うマンチズバーガーのスタイルからは、あらゆる無駄が削ぎ落とされている。無駄が無い。一切の余計が無い。客から求められるもの、それに対し移動販売という条件の中で応えられること――必要にして十分、極限に近く研ぎ澄まされた「一点」の上にマンチズバーガーは立っている。鳥肌モノだ。

●黒ゴマ

 バーガー6品。トッピング5品。出店場所により客層も売れ筋も変わるのが移動ならでは。外資が多い麹町の一番人気はアボチー、次いでベーチー、ともに¥750。プラス¥150でフライドポテトor特製サラダ付きBOX。


 チーズバーガー¥600。上からマヨネーズ、刻んだオニオンとレリッシュ、レタス、ケチャップ系のソース、チェダーチーズ、パティ、マスタード、ヒール(下バン)。

 バンズはめずらしや黒ゴマ。コレが「一応売り」と(笑)。外皮の硬いバンズで生地もややドライだが、コレは持ち帰りを前提としたもの。地元浦和で人気の小さなパン屋に依頼。「ハード系中心でバゲットが得意」と来ればいいパン屋に間違いなし! 大型連休中のイベント時のみ代打で「峰屋」に頼んだことも。


 タマネギは当初生のスライスを挟んでいたが、女性客も多いため刻んでソースと絡めた。濃厚でコクの深いチーズがすばらしい。オージー産100%パティは噛み応えあり。肉屋に頼んでいた時期もあったが「何か自分のハンバーガーじゃないな」と、今は自前でチョップしている。

 イベント前の仕込みは40kg! マックス650食を仕込んだ経験あり。ナツメグと共に青森産のニンニクを加え、ハッキリ明確な味付けがされている。マヨネーズは酸味を抑えたマイルド系でこの辺りが味の中心。そしてそれに負けないパティの食感が中枢を成している。ドライなバンズと合わせ、全体にカチッとした印象。

●今はインディーズ

 オリジナルソースに含まれるケチャップの軽快な甘味と酸味の活躍もめざましい。このソースとパティに加わる香辛料が家庭のハンバーグ的な親しみを生み出している。


 トマトは嫌いな人があまりに多くて(許せぬ!)、今は挟まず。トマトチーズバーガー¥650なる独立したメニューあり。

 フレンチフライは皮付き、ナチュラルカット。この塩コショウの振りがおいしくってネ! 屋台の秘訣は明快で的確な味付けにありと見た。この辺りの味のバランス感覚と言うか、客の求める味を察知してカタチに変える鋭敏さこそが、移動販売のプロたる実力だろう。

§ §

 ネオ屋台村の掟のひとつに「必ず目の前で調理すること」というのがある。ハナから容器に詰めた状態で売っていたら、それは弁当屋。なのでマンチも鉄板を「モロ正面」に持って行き、間近で調理するライヴ感とシズル感を強調した。これぞ移動の魅力!




 僕らは今はインディーズ、アンダーグランド。ひたすらライヴやってお客さん集めてるところ――。だが移動では出来る調理に限りがある。近い将来、固定店舗をやりたい。より一層クオリティを高め、店を構えて果敢に攻めてゆきたいと。でも移動販売は続けたい――移動の面白さを知る者ゆえの思いだろう。

 MUNCH(マンチ)とは「中毒」「むしゃむしゃ食べる」といった意味。「どハマリ」するようなハンバーガーが作りたいと柳澤さん。移動販売のプロとして常にギリギリの限界を見極め、そのせめぎ合いの上に出来る、狭くて細い一点の上に立ち続けてきた店が始める固定店舗は一体どんなものになるだろうかと、今から楽しみだ。



# MUNCH'S BURGER SHACK [三田] のペッパージャックチーズバーガー ダブルパティ
# MUNCH'S BURGER SHACK [三田] のリブアイステーキバーガー
# MUNCH'S BURGER SHACK [三田] のクリームスピナッチバーガー
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# MUNCH'S BURGER [東京、埼玉] の
テリヤキバーガー TOPPING トマト

【最新情報】 MUNCH'S BURGER [東京、埼玉] の営業場所変更


― shop data ―
※出店場所は下記ホームページおよびネオ屋台村ホームページで確認のこと。
TEL: 080-5425-9141
URL: http://munchs.jp/
オープン: 2006年4月27日

※現在
― shop data ―
●MUNCH'S BURGER SHACK
所在地: 東京都港区芝2-26-1 iSmartビル1・2F
    都営三田線 三田駅歩5分 地図
TEL: 03-6435-3166
URL: http://munchs.jp/
移転再オープン: 2013年5月1日
* 営業時間 *
火〜金: 11:00〜15:00LO, 17:30〜21:00LO
土曜日: 11:00〜21:00LO
日・祝: 11:00〜16:00LO
定休日: 月曜日(要確認)


2010.2.27 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 23:54| Comment(6) | TrackBack(0) | 帝都編◆都西 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あら、ネオ屋台自体は埼玉まで来るけど
munchs burgerは東京のみなんですね・・・惜しい。

木曜狙いでフォーラム行ってみます♪

屋台でハンバーガーは福島のアルツ磐梯(スキー場)
のハンバーガーを思い出します。
店名忘れちゃいましたがハーレーの店の隣に本店が
ある店の支店だったような・・・。
Posted by チャリンコ at 2010年02月28日 12:09
チャリンコ 様

またまたコメントありがとうございます。

先ほど書き忘れましたけど営業時間、国際フォーラムですと11:30〜14:00までですので。ホントにランチタイム限定なのですよ。8台並ぶ国際フォーラムは、そのカラフルなクルマたちを眺めているだけでもなかなか楽しいですよ。

で、本拠地はあくまで浦和なんですけど、埼玉県内の出店機会は当面Jリーグの試合時が主のようです。また近々出店場所が変わるかもといった情報も聞いてますので、その辺り、追って。
Posted by ハンバーガーストリート at 2010年02月28日 18:15
わわわ、チャリンコ様の書き込み見て初カキコです!
私、まさにアルツ磐梯スキー場で店長しています。「HERO」というバイク屋兼カフェのスタッフです!
まさかここで自分のいる店の名前が出るとは!と興奮してしまいました!笑


ハンバーガーストリートさんも毎日3回くらい更新待ちするほど見ています!笑

最近、移動販売や独立開業、(もちろん)「ハンバーガーの世紀」等読んでいたので、
今回のMUNCH'S BURGERさんの記事は興味深く読めました!


これからも僕の気持ちをアツくさせるようなすばらしい記事期待しています!!
Posted by けんけん at 2010年03月02日 01:02
けんけん 様

コメントありがとうございます。そしていつも本当にありがとうございます。そうですね、福島の話、スルーしてしまってましたね。すいません。

バイク屋兼カフェですか。すばらしい!では「ON THE ROAD MAGAZINE」はご存知ですか?

福島県内、私が存じ上げている(連絡がある)のは、会津の土炉子さんと福島のGarageさんですね。

で昨夏、群馬の「たんばらラベンダーパーク」に行った折、冬のスキーシーズンの「真っ青な空、白銀のゲレンデにハンバーガー」という図を期待していたのですが、残念ながら冬はハンバーガーやらないとご連絡いただきまして、でもう3月になってしまいましたからね。「HERO」様では「ゲレンデとバーガー」という構図は撮れますか?

あと「ちゃりんこ」さんですが、初登場は「# AUNTY-MEE burger [大津] さんの東京ハンバーガーショップ巡りツアー'10 《冬編》」ですね。本文中に名前が登場します。「スーパーしろうと」の異名をとります。もちろん褒め言葉です。

http://blogs.dion.ne.jp/nakoi_h9/archives/9102708.html

そんな次第でよろしくお願いいたします。
Posted by ハンバーガーストリート at 2010年03月02日 15:48
返信ありがとうございます!

「ON THE ROAD MAGAZINE」は当店でも数部置かせていただいています。
Garageさんから「ハンバーガーストリート」を(少しですが)取り寄せてもらいまして、一緒にといくつかのフリーペーパーも戴きました!

土炉子さんにもお世話になっているので、11月の「東京ハンバーガーショップ巡りツアー」の記事がアップされた時も興奮したものです。笑


当店のスキー場での営業ですが、雪の上に店舗が設置されているわけではなく、
http://www.alts.co.jp/guide/facilities/restaurant.html (レゲエ屋台村参照)
このようなかたちです。
ですが、完全に屋内というわけでもなく、数歩歩けばすぐにゲレンデですのでなかなか見れない光景かもしれませんね!笑
もしよければ明日、明後日にでも雰囲気の分かるような写真お送りします。


「チャリンコ」様、そういえばバーガーマニアさんのブログにも名前が出ていましたよね!
南から北まで行動範囲の広さに驚きです!!
Posted by けんけん at 2010年03月02日 23:31
けんけん様

その節はどうもお世話様でした(笑)

行ったのは前シーズン(2008−2009)だったんですが
実家が宮城なもので東北スノボツアーの際に発見して
寄らせていただきました。

行動範囲が広いというよりは、たまたま行けたんですね。

またアルツに行く時は寄らせていただきます!
あ、僕はハンバーガー好きですがあのBig Hot Dogも
おいしかったです。
Posted by チャリンコ at 2010年03月07日 11:15
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