さて今回は当ブログ初の試み。「ブログ」というモノの性質上、世間一般を見渡してもあまり無い例かと思います。というワケで今回は――私"以外"の人物による文章をアップ!
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1975年の創業以来、広島は横川(よこがわ)の駅前で永らく営業を続けて来た国内有数の老舗ゴッドバーガーが、店舗改築のため昨月末に閉店。今年7月頃に予定されるリニューアルオープンまで約半年間の休業期間に入りました。
その前身であるモスバーガー広島店から数えて実に36年と半年、市民の間で親しまれてきた「神」と名の付くハンバーガーが、もう同じあの店舗では食べられなくなるという何とも淋しいお知らせです。その閉店直前の様子を、『HAMBURGER STREET 創刊号』にもご寄稿下さっています、四国は土佐・高知のタカシ。さんがレポートしてくれましたので、以下に掲載いたします。
そんな次第で当ブログ初、現地からの"特派員"レポートをお送りします――。
●「ゴッドバーガー」は何処へゆく by "タカシのB級グルメ日記"
文と写真: タカシ。
元の記事: タカシのB級グルメ日記
今回は日本一ハンバーガーを食べたハンバーガーブログの大御所「HAMBURGER STREET」Y.M氏とのコラボ記事です。
広島市は横川駅前の通りにある1975年創業の老舗バーガー店「ゴッドバーガー」が2010年1月末を以って一時閉店しリニューアルを行うという情報がハンバーガーストリート(Y.M氏)から、もたらされたのは昨年の師走頃だったか――創業以来36年を経た建物の建替えだということですが、なにかそれ以外の要因も有りそうな予感がして「じゃあ、7月に新店舗が開店したら訪問させて頂きます」とは答えられなかった。
100年に一度という不景気風が吹き荒れた昨年、そして新たな年を迎えても先行き不透明な今年、建替え時期を迎えたといっても、おいそれと計画が立てられる状況で無いことは、どの業種であっても、言えることでしょう。少しの違和感を感じたのはそのような時代を背景としてのことだったのかも知れません。
Y.M.氏が取材に行くには遠すぎて閉店までに時間がとれない、となれば、ダイレクト移動で3.5時間のたまたまフリーターであった私が「代わりに取材して参りましょう」となった次第。
一月中旬の寒波をかわし、穏やかな日差しながら凛とした空気の中、2年前と何も変わらず、その店舗は横川駅前の車の流れを見つめる位置に表を向け午後の太陽の光を歩道に反射させていた。Y.M氏と違い私は、覆面取材が基本スタイルなので今回も事前に取材の申し込みはしていない。
13:30を回った店内、待ち客は3組と慌ただしい時間は過ぎたようだ、注文と合わせ名刺をオーナー神川氏に渡してもらう。程なく姿を現したエプロン姿の神川氏に取材の要旨を伝えると「今からでもOKですよ」という快諾を得た。営業終了後に改めて訪問させて頂いてと考えていたのだが、それならば早速取材開始です。
言文一致の表現をあまり好まない私の取材形式は、録音機器の使用は勿論、メモを取るのも稀なのですが、今回はメモだけでも取っておこう。
まず、新たな店舗は現在の場所の隣に建てられ、席数は現在の23席から一挙に8席と極めて「小規模な店づくり」を考えていると聞いて「やはりそうか」という思いがした。
神川氏がバーガー店を始められた経緯については、前出のH-STREET(2006/8/13記事)に詳しく書かれていますが「この店舗は元、モスなんですよ」と、なのでお客さんの受け方として「モスのイメージが払拭出来なかった」ことが、現在の場所にある店に満足していない事の一つだと話されます。
更に続けて神川氏は「新店ではフライヤーも置きませんし、サラダもスムージーも止めます」と話を進めます。以降よくよくお話を、お聞きしてみるとキーワードは「エコ」であるという事は理解できるのですが「飲み物まで自販機で済ます」という考えは「どうですかね」と、つまり商売として、その部分まで無くして「やっていけますかね」と、そりゃあ、客側にすれば中身は同じですから安くなることに異論は無いのですが、商売としてはどうでしょう。
それと関係して神川氏は「滋賀大津のアンティーミーバーガー(AMB)」の旧店舗のような店作り(因みにAMBは移動販売車からスタート)をイメージとして描いていると話されます。私の突っ込みの足りなさから、そのイメージが店舗のことなのか、ハンバーガーの味のことなのかが捕らえきれていませんが、この場合、店舗の事と取るのが自然でしょうか。
これについてY.M.氏に後日、意見を求めると「AMBはオーナーである、岩波ご夫婦のキャラクターが大きく、それゆえ、あの郊外の畑の真ん中でも堂々と商売が成立している」と説きます。
まあ、現在の調理時間を半分(10分程度か)にしたいと言われることは「この業界」として至極当然の努力目標で有りましょうし、客のニーズに答えるという事にも繋がりましょう。「グルメバーガーだから時間が掛る」というのは言い訳に過ぎない訳で、その部分にこそ心血を注ぐべきだというのは大方の意見だと思います。
因みに印象的だったのは「親父のパンは原価5割だった」と、この点だけは守って行きたいんだと。つまり店頭でお客様に接する際、或いはガラス張りの店内から見える店頭のメニュー板を見て踵(きびす)を返す客の数等から、この店に客が期待するのは何であるか、自分のポリシーと現実とのギャップの大きさに接点をどこに求めれば良いのか、その話しぶりから、氏の心の奥の葛藤を垣間見たような気がしました。
「ゴッドバーガー」の価格高な理由は、そこにある訳で神川氏のグルメバーガーへの拘りが値段に反映した結果なのだと理解は出来る、なのでこの拘り(原価に5割を掛ける姿勢)が新店の価格にどのように影響するかにも注目してみたいところです。
「お好み焼き」という日本を代表するファストフード店が800(広島市内)を超えて存在する他県から見れば特異な環境の中、それとは一味も二味も違うバーガーを生み出し「うちのはスローフードですよ」と説くことの膨大な労力に多少、疲れた感も時折見せる氏ではあったが「目の輝きは失ってなかったですよ」とY.M氏には報告することになりましょう。
いわゆる「ファストフード」と呼ばれる食べ物が、良いとか悪いとか言うので無く、生きることを目的としての食事と「スローフード」と呼ばれる美味しさプラスαな食事に対する消費者の要求、或いは願いに応えるべく36年間苦労されてこられた「ゴットバーガー家族」に、遠く太平洋に向いた土佐の桂浜に立つ龍馬像は、遙か遠くの「ヌーヨーカ」(NewYork)に向けた彼の思いを示してくれているように思います。
私が20代の頃、初めて食べたハンバーガーは奇しくも「モス」でした。でもその時の感動はもう味わえません、間違いなく経験値が上がっているからです「双龍のM」では満足していない私達の気持ちを受け止めてくれるのは神川氏の「ゴッド」なのかもと、期待は大きいのです。
素人目ながら方向性についてはある程度、形が見えているのではと推測されます、後は色付け立体化と現実味を帯びてくるでしょう。「ロイヤルゴッド」という他に存在しない作品がココに有るのですから必ずや私たちの目の前に「新たなバーガー」が新たな店構えと共に登場することを信じて約半年間、楽しみに待つことといたしましょう。
―― shop data ――
所在地: 広島県広島市西区横川町3-10-16
JR・広電横川駅歩2分 地図
TEL: 082-232-2608
オープン: 1975年11月1日
* 営業時間 *
平日: 9:00〜22:00
土日祝: 9:00〜20:00(売切れ次第close有り)
定休日: 火曜日(要確認)
嫌です。ただでさえ昼は混みまくりなのに...
拡大再生産して欲しい。
コメントありがとうございます。
そうですよネ。店の面積が縮小されるのはもう決まったことなのかも知れませんが、今度再来週に社長と東京で会いますので、そのときにいろいろと話をしたり聴いたりしておきますから。
ね、どうなりますやら……。