ハンバーガーの世紀 【The Hamburger】
ジョシュ・オザースキー 著/市川 恵里 訳/河出書房新社 版
発売日 2010年2月10日
出版社の方から送っていただきました。今この時期にこの本に出会うことが出来たのは、私にとって「奇跡」と以外言い様のないほどの絶妙にしてどんぴしゃ、まさに神がかり的なタイミングでした。ストライクど真ん中!な一冊。
コレは面白い!わくわくしながら読みましたね。
単に私がアメリカへ渡っただけではわからないこと、私がアメリカに長年住んでみてさえ知り得ないこと、さらに言えば、私がアメリカ中のハンバーガーを食べ尽くしてさえ辿り着くことの出来ないであろうハンバーガーの「真実」が、その道のプロフェッショナルである研究家の手によって、手に取るようにわかりやすく説明されています。日頃私が疑問に思っていたことの「答え」が、ほとんどこの本の中に書かれていました。
ハンバーガーの誕生について、成り立ちについて、歴史について、その特別な"意味"について──知りたい方は必読。特に、手探りなうちにも日々果敢なる奮闘を続けるバーガー各店のオーナー各位に、心よりお薦めしたい一冊です。
【目次】
第1章 ハンバーガーの起源/第2章 ホワイト・キャッスルの誕生──標準化への飽くなき欲望/第3章 マクドナルドとレイ・クロック──フランチャイズの魔法/第4章 アメリカのシンボル──戦後の繁栄とハンバーガー文化/第5章 君臨するハンバーガー
「まずひとつはっきりさせておこう。ハンバーガーはアメリカの発明である。」と始まるこの本は、ヨーロッパからの移民がもたらした食べ物からハンバーガーがいかにして生まれ、広まり、いかにしてファストフードの頂点に登り詰め、いかにして富める国アメリカの、そして病める国アメリカの象徴となっていったか──"多数からなるひとつ"アメリカ合衆国が送った20世紀という激動の時代を辿りながら、ハンバーガーからアメリカという国家を、そしてアメリカからハンバーガーというシンボルを読み解いてゆきます。
政治からカルチャー、ライフスタイルに至るまで、アメリカのあらゆる事象がコンパクトに登場し、しかもことごとくハンバーガーと絡んで(笑)、まさに一粒で何度もおいしい好著。マクドナルドをはじめ、ホワイト・キャッスル、ビッグボーイ、バーガーキング、ウェンディーズなど有名ハンバーガー・チェーン続々登場!
最後に、あまりネタバレにならない範囲で、私の胸板を強打した文章をいくつか抜粋しておきます(以下同著より引用)。
「ハンバーガーの物語を知ることは、それをつくりだし、幾度もつくりかえてきたアメリカという国を知るひとつの方法である。」
「ハンバーガーとは誕生から現在に至るまでほぼずっと、挽肉をバンズにのせたものを意味してきた。トーストにのせた挽肉もハンバーガーと認めることは、『ハンバーガー』の概念を、意味をもたないほど大ざっぱで、抽象的で、いいかげんなものにしてしまう。」
「ハンバーガーには牛肉と牛の脂身のみを使うことと法的に定められ、豚肉や豚の脂身がほんのわずかでも混じっていたら、ハンバーガーとは呼べなくなったのである。」
「そして『アメリカン・グラフィティ』の中心にはハンバーガー・スタンドがある。」
「ハンバーガーはいまやアメリカが無邪気だった時代のまぎれもない象徴となった。」
なんてなことが確信に満ちた言葉によって力強く語られています。読んで一切の損無し!悔い無し!
2010.2.16 Y.M
コメントありがとうございます。
いえいえ、判はB6でございます。馴染みのあるサイズかと。