# 横須賀
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ヨコスカネイビーバーガーでお馴染み! の本格メキシコ料理店「TSUNAMI」の姉妹店――SURF TACO(サーフタコ)。ネイビーの間では「TACO STAND」の名で通っている。
●WILD BOY'z
元々は伝説の波乗りシゲさんが1979年9月に始めたサーフショップ「CRUEL SEA(クルーエル・シー)」だった場所である。オープン当初のCRUEL SEAはわずか1坪半――波乗りシゲの"もうひとつの伝説"は、たたみ3畳からスタートした。
その後サーフボードの販売は新店「BLOW LINE(ブローライン)」に移して(今の「TSUNAMI」が在る所)、新たにスケートボードショップ「WILD BOY'z(ワイルドボーイズ)」に衣替えしたところ、スケボー隆盛の時期と重なり、また店長がカリスマ的ボーダーであったことから「リスペクト」する若者が大挙押し寄せて、スケボーファッションの発信地として一躍その名を馳せる。
その後もコノ同じ角地でサーフ系のファッション、ウェアを中心に物販を続けていたが、2003年7月、奥さん桂子さんが突如「飲食やりたくなっちゃった」と言い始め、かくて運命の扉は開かれたのである――。
●開けてから考えた
何やろう、どんな食べ物出そう――実はそこからして決まっていなかった。
ふとタコスやタコライスのイメージがひらめき、タコライス発祥の地・沖縄の金武(きん)へ飛んで、お勉強。そこからが早くて、沖縄から戻って2週間後には店をオープンしていた。どうやってやったか桂子さん本人もわからない(笑)。
ところがこれこそ「走りながら」というヤツで、オープンはしたものの、まずメニューが全く決まっておらず(笑)、どこで何を仕入れたら良いやら、毎回8sにも及ぶ肉の仕込みの仕方もわからない。あまりの「わからなさ」に途方に暮れた桂子さん、厨房の床にへたり込んでいたところ、偶然通り掛かった中華料理屋を営む友人が「挽肉はこうやって炒めるんだよぉ〜」と手取り足取り教えてくれて、九死に一生を得る。「とりあえず開けた」「開けてから考えた」という、7坪半にして豪快な店である。娘さんもまだ1歳、"おんぶ"しながらの営業だった。
ところが――。
始めてみればひと月も経たずとガイジンさんがわんさかわんさか! シゲさんも桂子さんもこのとき初めてどぶ板の「夜の顔」が見えた――長年ずっと物販を営んできたものだから、二人とも店じまい後の「夜のどぶ板」の様子を今まで一切知らなかったのである。まぁ〜、夜に来るわ来るわ!
「なんだ、こんな人来るの」「だったら米国人相手の商売やるべきじゃない?」――と言って出来たのが本格メキシコ料理店、今の「TSUNAMI/津波」である。なのでこのサーフタコは、結果としてTSUNAMI/津波の「パイロット版」といった位置付けの店であり、「姉妹」で言うならサーフタコの方がお姉さんに当たる。
●マリリン・モンローの店
さらに店内、メキシコの装飾品を並べだしたら、メキシコ人が来るようになり、カウンター越しにあれこれアドバイスをもらって、さらにパワーアップ。まさにお客さんに教わって出来た店である。「TSUNAMI」もそうだが、それにしても店内の雑貨・小物の選定と配置が秀逸。
「なるべくアッチに近い味にしよう」と考えた――それが目新しかったこともあるだろう。当時はベースの中にタコス屋が無かったこともあり、とにかくものすごく流行った。
以前は外壁にマリリン・モンローの巨大な絵が描かれて、記念撮影の名所としてどぶ板通りの「顔」のような存在だった。今では壁は全開口の引き戸に変わり、夏場は店先にテーブル並べて気分爽快! 気取らずガンガン飲む感じで使うが○。
その後、同じように通りに面してテラスを設ける店が相次ぎ、一部の人からは「どぶ板らしくない」と批判の声が上がっている(笑)。曰く、外から中の様子が窺えない――そんなダークさがどぶ板「らしさ」なのであると。今なおそんな「らしさ」を留めているのはポパイ、ニュートーキョー辺りだろう、とシゲさん――ハンバーガーストリートではこんな情報も鋭意お届けしております。
外観の印象に反してファンの回るアーチ型天井は意外や高く、薄雲の浮かぶまさに青天井。L字のカウンターのみ8席。しかしこれが混雑時にはスツールの後ろに二重に人垣が出来て、計三重になるそうで。壁扉一面をターコイズブルーに塗った洗面所もあり、厨房設備もひと揃え整っていて、何の追加投資もなくネイビーバーガーを始めることが出来た。
●CHU-HI
メニューの数こそ少ないが、本店TSUNAMI/津波と全く同じ内容のハンバーガーが食べられる。
但し平日は夕方5時からの営業で昼間はやっていない。土日は昼12時から開いているので、「TSUNAMI」が混雑している場合にはサーフタコに行けば、すんなりと有り付ける可能性もある――ハンバーガーストリートではこんな情報も鋭意お届けしております。
オープン当初のメニューはタコス2〜3品にブリトー2品、あとタコライス。今は「カネアサダ(CARNE ASADA、直火焼牛)ブリトー 9インチ」¥600、「カネアサダ・タコス」¥500、「タコライス」¥700、「バッファローウィング 6P」¥800辺りがネイビーに人気。
そしてどぶ板で忘れてならない名物がCHU-HI――チューハイ! ネイビーの絶大な支持を得るヒデヨシ商店がその発祥である。
ヒデヨシ商店は基本は酒屋だが実質立ち飲み屋。白色蛍光灯の"黄色い"光の下、日米客層相混ざり、店の外まで溢れ出して、氷ナシの色付きコップ酒を傾ける。もぉ〜どぶ板通りの真の醍醐味が全てココに凝縮されたかのような名店! ――ハンバーガーストリートではこんな情報も鋭意お届けしております。
コノ店に端を発し、CHU-HIはどぶ板界隈の裏名物である。もちろんサーフタコでも看板メニュー。全21品。一番人気は青リンゴ、次いでイチゴ、巨峰。なのだが……ハイ! かき氷のシロップ使ってまーす! (笑)。要するに「甘けりゃイイ」んです、彼ら米国人は。シングル¥300、ダブル¥400――中にはセクスタプル(×6)頼んだ「バカ」がいたらしく(笑)。日本人ならもぉ〜、ふらっふら!
●ワカモレ
サーフタコで食べられるバーガーは全部で7品。在日米海軍最高司令官より横須賀市長に送呈された公式レシピに基づく"真性"ネイビーバーガー3品――プレイン、チーズ、ベーコンチーズと、TSUNAMI/津波が独自に考案したオリジナル4品――アボカドチーズ、テリヤキ、チリビーンズチーズ、ダブルチーズ。
今回はメキシコらしさを狙ってアボカドチーズバーガー¥850をご紹介。
アボカドのスライスは4分の1だが、ワカモレディップも乗るのでアボカドはダブル! 三浦沖で採れる海洋酵母を使用したムチーッとしたバンズが、上からムチーッとこれらを挟み込んでいる。
焼きながらパティに振る塩コショウが実に適量。ケチャップ&マスタードも適度な隠し味として機能しており、肉のおいしさ、硬さ、脂の丸味・甘味――その辺りが巧ーく前面に出て来ていて、味のバランスは上々。チーズはあまり感じられないが、それでもハンバーガーのバランスとしてはコレで十分成立しているので無問題。居酒屋へ行くと必ず「アボカドと生湯葉」頼んじゃうような、アボカド好きな淑女&紳士に強くオススメ。
§ §
バーガーはアボカド満載だが、壁は見ての通り落書き満載(笑)。ネイビーが「pen, pen please!」とせがむのだが、さすがに増え過ぎたため、ペンの貸し出しは現在NG。中でも出来の良い作品を右に抜粋しておく。
どぶ板界隈は昨今、夜の見回りが特に厳しく、歩いているとたびたびSP(ショートパトロール)とすれ違う。なんでも、SPが中まで入って来てチェックしてくれると、店として「一人前」の証拠なんだそうだが、でもこのTACO STANDは外からでも中が丸見えなので、わざわざ入る必要が無い――こんな情報もハンバーガーストリートではお届けしております(笑)。
→ # SURF TACO [神奈川・横須賀] のベーコンチーズバーガー
# TSUNAMI/津波 [神奈川・横須賀] のメキシカンバーガー
# 218 TSUNAMI/津波 [神奈川・横須賀]
― shop data ―
所在地: 神奈川県横須賀市本町2-7
京急電鉄 汐入駅歩5分 地図
TEL: 046-823-3533
オープン: 2003年8月5日
* 営業時間 *
平日: 17:00〜23:00
土日: 12:00〜23:00
定休日: 年中無休(要確認)