「MOS's-C」から「モスバーガークラシック」へ――いつ名前を変えたか調べれば判ると思いますが(その辺り、モス様はちゃんとしておられますので)、そもそも「C」は「クラシック」の意味だったように記憶します。
「古き良き時代のアメリカにはじまり、現代にいたるまで世界中の人々に愛され続けているハンバーガー。その原点であるアメリカン・クラシック・スタイルを追求したハンバーガー・レストランです」――以前はこういう説明でしたが、今はこんな感じです↓
「古き良き時代のアメリカにはじまり、現代に至るまで世界中の人々に愛され続けているハンバーガー。その原点であるアメリカン・クラシック・スタイルを追求した本格グルメハンバーガーのお店です」――店の出来た1999年当時、まだ「グルメバーガー」なる言葉も概念も無かったんでしょう。時代は確実に変化しています。
テリヤキバーガー¥800。
特徴的なのはまずバンズ。見た目から受ける量感に反して、まぁ〜軽いこと! グルテン切れまくりで生地が伸び切っちゃった感じの淡泊な味わいで、ココんとこ毎度のセリフですが、でも毎度心底言ってます――後味に残る甘味は余計ですネ。
パティについては後述します。テリヤキソースは塩気ととろみの少ないサラリとした甘い味わいで、舌に刺さったり、ノドにイガイガ来たりはナシ。「パティの甘味を引き立てる、味わい深い秘伝のテリヤキソース」と説明ありますが、本当に甘味のみを残す役割ですな。マスタードが入ってますが、さほどの効き目もナシ。加えてオニオンがピリリと来ないのが痛い。全体にはクセやイヤな引っ掛かりなく、さらっと食べられ"てしまう"テリヤキバーガーということで。
コノ店、「モスグループの店舗」という括(くく)りで紹介されているのですよネ。通常のモスバーガーとは異なる独自のコンセプトを持ち、わざわざ名前も変えてやっている店なので、何か別格な店または実験店であることを期待するのですが、組織図上はあるいは全く別系統にある店なのかも知れません。ま、そんなことも訊いてみりゃ判ることなんですが――だから何? と思われるかも知れませんが、ココで何か実験的なことが行われているのかとか、それとも完全に独自路線を進む店なのかとかによって、私の感想も変わってくるという、その程度の話です。
さて、それでパティです――。
「モスのパティ」というページがありまして、以下のような説明から始まります……。
「ビーフ100%だとお肉の味は引き立つのですが、ジューシーさが足りない・・・。そこでビーフとポークの合いびき肉を使うことで旨みもジューシーさもアップできると考えました」――まぁ各店それぞれいろいろな考え方があるんだなというところです。
確かに、特に地方では「硬い肉や挽きの粗い肉は受け容れられない」といった意見を耳にします。その対処として「つなぎ」を入れて食感にやわらかさを持たせるワケです。また首都圏においても、特に女性に対する配慮として、噛み切れない大きさの筋(スジ)が入らないように気を付けたりなどもしています。日本人が牛肉に求めるのは、かぶり付けば「肉汁」が溢れ出すほどのジューシーさであったり、「箸でも切れる」ほどのやわらかさであったりするワケです。
その一方で、渡米経験がある方などから「よりアメリカの味に近い(赤身の硬い肉を使ったような)ハンバーガーが食べたい」という声が、まだごく僅かではありますが、それでも徐々にジリジリと上がってきている事実もあります。
今後ハンバーガーに対する世の注目が高まるにつれ、そうした本場を知る人たちの意見というのは徐々に大きくなってゆくものと思われます。無論「好み」は人それぞれですので、こうした動きを「どんな肉が好み」云々といった意味合いの議論と言うより、ハンバーガーに対して「より本格を求める声」「より本物を求める声」のひとつであると、そう受けとめて下さい。
そんな中、他社がビーフのみのパティで、日本人的な好みの上からも十分「ジューシーである」と判断して出しているところを、モスはあえてポークで補っているワケです。
私からすると、ビーフ特有の、あのたまらない「クサみ」すなわちハンバーガーの「醍醐味」の一部が損なわれるのみならず、ソレに代わって合挽特有のミョウなクサみが立っているというのはスタンス不明瞭、いまひとつピンと来ない状態でして、と言うか「お肉の味」を殺してまでモスが出したい「ジューシーさ」とは、一体どんなものなんだ――という思いは正直しますね。なので極めて独自な路線で、ひた走っているように映ります。
で、まだ終わりません。↑の「一体何なんだ」に対する答えが、以下見ていただくと解ります。
モスがパティに合挽き肉を使い始めたのは2007年の4月のことです(正しくは10年ぶりの再開)。こちらをお読み下さい。こうした情報がすぐ出てくるのがモスの良いところです。コレを読むとモスの意図するところ、目指すところがよく理解できると思います。特にモスバーガーが考える「日本人の味覚・嗜好に合う味」というのがよく解ります。
ただですネ……ひと言で言うと時代に対する「逆行」であると私は思います。何でまた帝国ホテルの村上信夫料理長が、NHKの「きょうの料理」で家庭に洋食の味を広めていた時代にまで遡らねばならないのか――理解に苦しむところです。
上にも書いたとおり、世のリクエストはむしろその逆、つまり「もっとアメリカっぽく」「もっとワイルドに」となりゆく可能性のある中……まぁそれでも独自の路線で活路を見出してゆこうということですよネ。なるほど……そう考えると、我が道をゆく感じはよく伝わってきました。賛同できるか否かは別として、とりあえずは納得というところです。
→ # 066 MOS BURGER CLASSIC [牛込神楽坂]
― shop data ―
所在地: 東京都新宿区岩戸町7番地
都営地下鉄牛込神楽坂駅歩3分 地図
TEL: 03-3260-4159
URL: MOS BURGER|店舗案内
オープン: 1999年6月
* 営業時間 *
平 日: 11:00〜22:30(22:00LO)
土日祝: 11:00〜22:00(21:30LO)
定休日: なし(要確認)