2009年09月16日

# 212 BROWN FLAVOR [三重・桑名]



●その手は桑名の

 桑名というと東海道四十二番目の宿である。現在のJR東海道線は、豊橋−名古屋−岐阜−大垣−米原と進むが、かつては宮宿(熱田神宮の門前町)の次は海路伊勢湾を渡り、桑名だった。名古屋宿へ向かうのは美濃路


 桑名城は徳川四天王の一人、本多忠勝が築。築城とあわせて城下町も整備したとのことで、この広々スッキリした街の造りはその名残か……といった辺りで歴女対応、完了!

 名古屋流なのか、はたまたオレ竜か、それにしてもやけに道幅の広い歩道である。昼間は日差しを避ける場所無く、夜は逆に風が抜けて涼しい。


 路上を歩く人がほぼ居ない。人の気配がしたのは、かの高名なる居酒屋「てっぺん」の前を通ったときぐらいである。今年1月にオープンした新店「魚のてっぺん」の前に立つ店員に話し掛けたところ、つい先日東京渋谷は宇田川町の「男道場(てっぺんの店のひとつ)」から移ってきたばかりという。「じゃあGORO'Sさん知ってます?」「ハイ、吉澤さんの……」ってなんだ、世の中狭いな。桑名はてっぺん代表・大嶋氏の出身地、お膝元である。



●市営駐車場1階

 駅から真東、揖斐川に向かって真っ直ぐ歩けば、やがて現れる真新しい市営駐車場(桑名市営末広駐車場)の1階に唯一入るテナントが、コノ店。そう、市営駐車場の一角なので賃料は"割安"。ちなみに「柿安」と言えば明治4年より続く牛鍋・しぐれ煮の老舗……って柿安も桑名じゃん!

 この物件を巡っては他にもう一人、歯科医がライバルとして居たそうなのだが、しかし勝負は最初から着いていた。なぜ?そう、「はいしゃ(=敗者)」だから……ホント、すいません。"歯医者復活戦"も無かった模様。


 まぁ大きい店である。天井高くゆったりと席が配置され、カフェ風。キッチン内も動線幅広く。席数19なので1席1坪強……都会が羨むゆとりの空間である。

 但しあまりに広過ぎて、店とほぼ同じ広さのスペースがあの壁の向こうに眠っている……って、つまり実際のテナントの大きさは倍の40坪!ミステリー小説のトリックにでもなりそうな隠し部屋の存在である。


●不滅のアップタウンダイナー

 オーナーYさんもかつてアップタウンダイナーで働いていた一人。


 ドリンク担当。厨房には入らなかったが、いつしか自分の賄いは自分で作るようになり、やがて家でも作るようになって料理に目覚めた、大学生の頃。

 大学を卒業して就職したものの、飲食へのあこがれ常にあり、何度となく会社を辞めようと思うもすべて思い留まり、しかし「このままでいいのか」→「ちょっと一発やってみようか」と燻(くすぶ)る想いはやがて「会社は続ける」でも「自分の店を持つ」というとんでもない離れ業にYさんを向かわせた。


 動き出しは去年'08年の春先から。またとない物件を射止めたまではよいが、貯金無し。工事費を浮かせたい……ということでコノ店、ほとんどが手造りである。

 勤めの合間を縫って作業を続け、完成までに半年近くを要した。Yさん実はマイホームのリフォーム歴もあり、コノ手の作業には長けている。剥き出しの床と天井の間をぬくもりある木々の色合いが埋めている。木の香漂うくつろぎの店……ブラウンはバンズの色、挽きたてのコーヒー……だからブラウンフレーバー。

 柱の陰にダイアトーンのステレオとターンテーブルあり。間接照明を多用して暗くなると実にイイ雰囲気なので、ぜひ夜を楽しんで欲しいところだが、しかしお酒を飲む人はまだまだ少ない。それでもめげずに生ビールにはプレミアムモルツを用意している。


●パーキージーンダイナー

 当初ハンバーガーのことは頭に無く、単に「カフェ」をやるつもりだった。しかし桑名の街は居酒屋が多く、ただ「カフェ」とのみ謳って商売になるのか……というところで「ハンバーガーで勝負」を思い立つ。


 そこで協力を仰いだのがアップタウンダイナーの同僚、北さんである。この北さんこそかつて桑名に「PERKY JEAN DINER(パーキージーンダイナー)」という店を構えた、まさにその人、張本人。パーキージーンの営業はわずか1年半という短いものだったが、その折には逆にYさんが手伝いに入っている。

 ハンバーガーの試作はYさんが自作したモノを北さんが食べて意見する流れで進んだが、後述のとおり、北さんからのアドバイスはYさんに多大なる影響を与えたことは間違いない。北さんあってのヤジさん……じゃなかった、Yさん。パーキージーン無くしてブラウンフレーバー無し。逆もまた然り。


 ハンバーガー類8種に加え「シーズンメニュー」としてパプリカマリネバーガー1種の計9種。サンド6種。ライスは2種。現状、注文はサンドイッチ3に対しバーガー7という割合。なかなか順調だ。夜よりもランチタイムが主体で、特に昼間はご近所の主婦や子供連れが多い――そういう話、全国各地でよく耳にします。クランベリースコーン\200、バナナブレッド\250、ニューヨークチーズケーキ\400、アメリカンワッフル\460など、スイーツの品揃えの豊富さも女子に人気の理由だろう。


●レリッシュ

 チーズバーガー\880。上バンズ(クラウン)、マヨネーズ、レリッシュ、生オニオン、トマト、畳んだレタス、チーズ、パティ、マスタード、下バンズ(ヒール)。以上オープンフェイス(積み上げずにバラバラにした状態)で供されて、付け合わせにナチュラルカットのフレンチフライとピクルス。


 バンズは天然酵母使用。ご近所の人気のパン屋さん作という。こんがりコゲ茶色に焼けた表面に白ゴマ。オモテ皮はやや硬いが、目のしっかりした良い生地である。強いて言えば、もう少し目の粗さがあっても良いか……とはこの前も書いたが、東京を離れて常に思うのは「ロールパン」と「バンズ」の境(あわい)である。

 パティはオージー100%。つなぎ無し。挽き具合が丁度良く、食感のやわらかさを出しつつ、ホロホロとほぐれる感じはココチを思わせる。コショウがもう少しガッツリかかっても面白いかと。スイートレリッシュがオニオンと出会いイタリアンドレッシングのような、さわやかな酸味と甘味を引き出して美味。チーズもしっかり味を効かせていたが、三重県ではチェダーチーズも手に入りにくいのだとか――。


●東京的ハンバーガーカフェの誕生

 スイートレリッシュの使い方などに「東京的」なスタイルが多分に感じられる。原宿のTHE GREAT BURGER(以下「GB」)などの雰囲気に近いだろうか。ところが実際にGBを訪ねたのは北さんであり、同じくアップタウンダイナーOB、ダウニー(Cafe Downey)の中條さんであり、Yさん自身は一度も行ったことがないという。それでいてこれだけのスタイルのバーガーが出来上がるというのが、Y氏&北氏のホットラインの強味だろう。

 アメリカンダイナー風にオープンフェイス・スタイルで出しながら、東京的な味の工夫を凝らしている――"ダイナー熱"が今なお盛んな名古屋・東海地方にあって、これまであまり見かけることのなかった、新しいタイプのハンバーガーカフェの登場である。桑名来て 喰わぬ手は無し、と――。




― shop data ―
所在地: 三重県桑名市末広町36番地 末広パーキング1F
      JR・近鉄・養老鉄道 桑名駅歩10分 地図
TEL: 0594-22-3146
URL: http://www.joinfo.jp/brownflavor/
オープン: 2009年2月17日
営業時間: 11:30〜23:00(22:30LO)
定休日: 火曜日(要確認)

2009.9.16 Y.M

BROWN FLAVOR cafe&food カフェ / 西桑名駅桑名駅
夜総合点★★★★ 4.0

posted by ハンバーガーストリート at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 西国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック