Junk Food Parlor
HOT CHOP
前回の「マハロ」よりの続き。桂川サイクリングロードを下れば鳥羽、上ればやがて嵐山――さて、どちらに進もうか。
●バーガーとハーレー屋
桂川をもそっと進むと京都競馬場、真南に折れて木津川沿いに下れば、ほどなく国会図書館関西館のある相楽郡精華町(そうらくぐん せいかちょう)。我が『HAMBURGER STREET創刊準備号』はココにも所蔵されている――って宣伝ですが(笑)。さらにもう少し行くと終点、木津。
但し今回は自転車でなく、バイクのお話である。
鳥羽のすぐ先、桂川と鴨川との合流点に羽束師橋(はづかしばし)という、変わった名前の橋が架かっている。ざっくり言うと、Junk Food Parlor HOT CHOP(ホットチョップ)はその辺に在る。
オーナー"けんたろー"さんはバイクのビルダー歴19年。「ハーレー屋」でビルダーをしながら、念願のハンバーガーショップを始めた。半年ほどの間、昼はハーレー屋に勤務、夜は自分の店に立つという、会社公認の完全掛け持ち状態だったという。やがてハーレー屋を退職、自身の店に専念する。
●20年越しの夢
けんたろーさんは洋食のコックだったのである。アメリカ好きでハンバーガーが好きで、いつかハンバーガーをやろうと思っていた――「いつかはネ」。
16歳で古着とバイクに目覚める。初めてのバイクはヤマハのSR。
その当時、「モスバーガー」をよく食べていたが、箕面と大阪市内に「カールスジュニア」が在り、コレにもよく通った。この辺り、西宮の「エスケール」さんの話とも一致する。
洋食のコックとクルマ屋の掛け持ち時代の後、古着とSK8(スケートボード)の買い付けで約2年の間、ロサンゼルス、サンフランシスコ、メキシコなど主に西海岸に渡ることが多かった。ハーレー屋に"定住"するのはその後のこと。
そして3年前の秋10月、ハーレー屋に身を置きながら、念願のハンバーガーショップ「Junk Food Parlor HOT CHOP」をオープンさせた。コックの時代から数えて、実に20年越しの夢の実現である。
さらにその1年後の2007年10月、今度はハーレー屋「HOT CHOP SPEED SHOP」をオープン。てっきり私は「バイク屋がバーガー屋を始めた」ものと思い込んでいたのだが、実際には逆、「瓢箪から駒」ならぬ「バーガーから鉄馬」が正しい順番である。
●ピンストライプ
あえて郊外を選んだ。クルマとバイクが停めやすく、また幹線道沿いゆえ、音の心配も要らない。そういう人たちに向けられた立地である。
カウンター6席、テーブル6席。横長な店内は直線を多用した、すっきり清潔感あるデザインに、世界中にファンを持つローブローアーチスト(lowbrow artist)・GRIMB氏の手になる、それはそれは美しい曲線が随所に書き入れられて、その対比が見事! 特にトイレが秀逸なのだが、ちょとココでは写真は控えておきます――ぜひ実物をご堪能下さい。
そしてカウンターの幅の広さと来たら! ひんやりとした天板の上に、思わず寝そべり……いやいや、うつ伏せたくなる心地好さ。「俺たちは白でもない、黒でもない」"ニュートラルグレー"な色合いが、じわり心の隙間を埋めてくれます。
漆黒のテーブル席の頭上には細長く窓が空いていて、ライトアップされたガレージの内部が見える……おぉ、コレもカッコよい! 今どき流行りのデザイナーズ何とかみたいですな。どこか爽やかな透明感のある店である。
バーガー類9品、ドック3品。ごはんもの6品、そしてステーキ3品。
ネーミングにクセあり。「チーズバーガー」が無く、そもそもスタンダードバーガーにデフォルトでチーズが入っている。ウエスタンバーガー¥800とはベーコン入りのこと。「ベーコンが入ってるのがウエスタンぽいやろ?」
●バンズは自家製
スタンダードバーガー¥700。上バンズ(クラウン)の裏にマスタード、レタス、チーズ、グリルドオニオン、ピクルス、自家製ソース(デミ系)、パティ、今度はリーフレタス、マスタード、下バンズ(ヒール)。
バンズは自家製。奥様が料理の先生していたので「思ったパンができる」。定番のライ麦のバンズに加え、月替わりでアイデアを凝らした創作バンズが登場。1月はクリームチーズバンズ、2月はレーズン。過去には黒ゴマ、金時にんじん、ほうれん草など、新境地を歩み続けている。いつも書くように、中の食材と直径が揃って、かつ、こんがり茶色く焼き色が付くと、よりハンバーガーらしさが引き立ちます。
一方、パティはあえて「肉感を抑えている」というのだが、コレはちともったいない。ぜひゴリッゴリで肉クサ〜い、ビーフパティらしいビーフパティを味わいたいものである。その方がむしろコノ店のイメージだろう――手加減無用!
オージー産。つなぎにベーコンとタマネギ。そんな洋食的アプローチからそろそろ脱却してもよいかなと。きっと周囲の理解も得られる時期だろう。
洋食のコックさんらしく、デミグラスソースがリードするバーガーである。バンズの食感がふっくらと締めて、後味を上手くまとめている。そうした意味では、このバーガーの主役はバンズだろうか。
●クルマは趣味、バイクは仕事
しかし丹精込めて作った自家製バンズを伝家の宝刀としながら、「Junk Food Parlor」と冠する辺りがユニーク。ローブローアーチスト(lowbrow artist)然り、この世界は自嘲気味な名乗りが常なのだろうか。ある種のおくゆかしさを感じる。
「クルマは何持ってます?」と尋ねたら、カウンターの上にドン! と置かれたのがコレ、33年式フォード HOTROD(モデルB)。クルマは趣味、バイクは仕事だそうで――ワカル?
ちなみにSPEED SHOPの倉庫には現在20台ほどのハーレーが所蔵されている。うち売り物は4台ほど。40年代から85年頃までと範囲広めで、お値段は下は80万から上は700万、平均で400万円といったところだそうである。30万円を切る乗用車が販売されようというこの御時世、400万円とはさすが鉄馬!
隔月で謎の「夜走り」が開催される、とかく話題には事欠かぬ店である。しかし夜走りってなんだろ? 意外やハーレー乗って町内の防犯パトロールをして回る地域活動だったりして……コノ店は番小屋かい(笑)。見回りご苦労様ですッ!
心やさしいハーレー乗り達が集う、町外れのホームメード・ハンバーガーショップ。
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カラミティ・ジェーン・バーガー
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― shop data ―
所在地: 京都府京都市伏見区羽束師志水町180-2
JR長岡京駅、京阪中書島駅より京都市バス「菱川」下車 地図
TEL: 075-935-5595
URL: http://hotchop.seesaa.net/
オープン: 2006年10月13日
営業時間: 18:00〜24:00
ランチ: 11:30〜15:00(土日祝のみ)
定休日: 水曜日・第3火曜日(要確認)