2008年12月06日

# 204 EAST VILLAGE [池袋]



 不思議な不思議な池袋……


●池袋と巣鴨

 高層ビル「サンシャイン60」が建つのが東口、先ごろオートマンダイナーの出来た、立教大学や芸術劇場のある側が西口である。私はどうしても東西を逆にとらえてしまう……いや、東武だ西武だいう問題ではなく、完全に逆にインプットされてしまっているのだ――たぶん一生直らぬだろう。


 サンシャイン60の建つ場所は、かつての巣鴨拘置所(GHQ統治下の所謂「巣鴨プリズン」)の跡である。現在の豊島区東池袋は当時、豊島区巣鴨だった……正直その辺も解りにくい。

 巣鴨と聞くと、どうしてもとげぬき地蔵のある方を探してしまう。山手線で二駅も離れているのだから(池袋−大塚−巣鴨)、まぁ無理もないことと大目に見ていただきたく。厚木に無いのに「厚木基地」と呼ぶのに匹敵する違和感である。但し厚木基地の方こそ、地名・自治体名の「厚木」とは本気で関係無い。


●サンシャイン60通り

 東口から斜めに伸びるサンシャイン60通りからやや入った所に、コノ店はある。オープンは今年の8月28日――それまでこの角地は30年以上続く立ち食いそば屋だった。


 角地ゆえの狭くて不便な三角形、3坪×2階建。ロフト風の2階部分は、そば屋の昔は屋根裏の物置といった使われ方で、改装に当たり、その低い天井を2メートルばかり押し上げた。

 急な階段を上ると7席――狭いなりに"憎い"造りである。店内そこかしこに「キャプション」が付けられているのが面白い。1階レジ上には「COME ON IN MY KITCHEN」、トイレの扉には「KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR」……って、どれも曲名ぢゃん!



天国への階段


●Bar SORA

 店の向かって左に「栄町通り商店街」なる緑の看板があり、ちょっとした飲み屋街が続いている。オーナー・竹河内(たけごうち)さんが「Bar SORA(ソラ、空)」を始めた7年前、この横町は廃墟同然に寂れていた。


 もう5年ほど借り手がつかない、天井は破れ、ネコの棲み着く荒れ果てた物件を手にした竹河内さんは、店の半分は天井を無くして吹き抜けに、もう半分は2階を残して中2階風にアレンジし、狭いながらもワクワクするような立体空間に生まれ変わらせた。寂れた「シャッター横町」が、今の賑わいを取り戻したのは、SORAがオープンして後のことである。

 70's〜80'sをメインに、ディープな空間に爽やかなスウィートミュージックの流れるミュージックバーである。

 竹河内さんの親友に洋楽レコードのディーラーがいる。毎月のように渡米してはアナログ盤を買い付ける彼の口から、アチラの食の情報などつぶさに聞かされ、また開店の際には共に渡って、レコード収集の傍らあらゆるファストフードを食べ尽くして回るなどした末、竹河内さんは、とある食べ物のおいしさに心奪われることとなる――。


●フィリーチーズステーキ

 横町の角の空き物件を使って、SORAの次に竹河内さんがやりたかったのは「フィリーチーズステーキ」の店だった。


 フィラデルフィアが発祥。ダイスオニオンを飴色になるまで牛肉と炒め、チーズソースをかけてドックパンに挟んだ、ただそれだけの食べ物なのだが、アメリカ全土に広く知られた、ポピュラーなファストフードである――と聞く。

 竹河内さんと店長・古川さんは、フィラデルフィアのGENO'S STEAKSという老舗の味にKOされ(そんなにおいしいのか)、是非この味を日本に……と考えたのだが、しかし日本で商売するにはあまりに知名度が低過ぎると、代わりに古川さんが愛して止まぬアメリカンフード=ハンバーガーをその「先遣」として、この池袋の裏路地に送り込むことにした。ちなみにフィリーチーズステーキの野望は、いまだ諦めてはいない。

 店長・古川さんはイタリアン・和食などの調理歴の持ち主。元々SORAの常連だったのが竹河内さんと意気投合、コノ店を始めることになった。


 「三食ハンバーガー食べられる」と豪語する、熱き人である。ハンバーガーはどれも個性的な9品。多年厨房で培った技術を駆使して、ソースやスパイスの類はすべて自家製――まぁ、最強のスパイスは「情熱」なのだが。

 パティはレギュラー130g。スモール110gを選べば50円オフ。この狭さにして瓶ビールの品揃えが5種類と豊富。着席後、おしぼりタオルを渡される辺り、なるほどバー的。


●3種×3種

 チーズバーガー¥1,260。見た目の印象に比して、軽くソフトなバーガー。


 たっぷり載せたタルタルソースに、チーズの下はケチャップ(トマトソース)、パティ、ダイスオニオン、トマト、レタス、下バンズの上にマーガリン。

 ご近所の小さな有名パン店より日に2回配送されるバンズは、ニオイにややクセがあるものの、ソフトで軽く(フワーッと言うより、フニャ〜)、とにかく食べやすい。特に強い主張は持たぬが、ボワンとやや横に広がったような、音質に例えるなら「ブーミー」な味でもあるので、もう少しシャープに絞り込む手もあるか。

 片面焼いて後、返して蒸し焼きにするビーフパティは食感やわらか、サーッと口溶けが実に良い。3種類の部位と国産の牛脂をブレンドした、つなぎ無し。中に薄赤く色味が残るのは、脂の少ない上質な肉を使っているからである。

 チーズは香りの良いUS産のレッドチェダー……の筈が、タルタルが幅を利かせ過ぎていて、すっかり負けてしまっている――とご意見申し上げたところ、次に食べた折には程良いバランスに改められていた。ただそれでも若干チーズは埋没傾向。ホールトマトを漉して作った自家製"高級"ケチャップの酸味が陽気に躍る中、ダイスに切った淡路たまねぎがサクサクした歯応えで軽快。


 付け合わせはポテト盛り合わせ3種――シュースト、丸いの、皮付きの黄色はインカのめざめ。ピクルスも3種――きゅうり、パプリカ、ホワイトマッシュルームという豪勢さ。「小さい店だから出来る付加価値」と、古川さん。

 食べやすいバーガーを目指した。バンズとパティ、両者のソフトな食感がうまく同期し、間を自家製ケチャップやソースが取り持つ――昨今めずらしいアプローチのハンバーガーである。やわらかいので味がよく混ざる。


●風に吹かれて

 憧れの食べ物はフィリーチーズステーキだが、憧れの地はニューヨーク。池袋の「東口」に位置することと掛け、この店名を付けた。壁に掛かるボブ・ディランの「THE FREEWHEELIN'」('63)は、写真のグリニッジビレッジの街並みがイーストビレッジと似ているから。BGMはいろいろ流れたが、中でもスローでオーガニックなカントリーソングが、2階のロフトな雰囲気によく合っていた。

 ちなみにSORAは、外苑前のバーBootsが絶賛する店である。初めて訪ねた日は、そのBootsのオーナー・奥山雄さんとGORO'S・吉澤さんと共に伺った。

 寂れていた裏通りを甦らせた救世主・SORAに続く、商店街の星となるか――それにしてもショートフィルムでも撮れそうな、「絵になる」横町である。



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― shop data ―
所在地: 東京都豊島区東池袋1-13-1 栄町通り
      JR・東京メトロ・東武鉄道・西武鉄道 池袋駅歩5分 地図
TEL: 03-3981-9177
オープン: 2008年8月28日
営業時間: 11:30〜22:00
定休日: 無休(要確認)

2008.12.6 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 帝都編◆都西 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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